お菓子工房 sampo さんぽ (1)『リンゴのタルト』『金柑パイ』『ミルリトン』

京都、河原町通を北へ上がり、丸太町を過ぎて荒神口の手前、道路に面してあるのが「お菓子工房 sampo さんぽ」さん。田中希実子さんが一人で営む焼菓子専門店です。
オープンしてもう9年目を迎えているそうです。うかつにも存在に気が付いていませんでした。一時期、女性一人の焼菓子専門店が雨後の筍のように次々できていて、いずれも同じような紹介ばかりで紛れてしまったのかもしれません。ぼんやりの私たちです。反省。
じつは、何年かぶりに四条から北白川先まで歩くというスパルタ計画を実施したおかげ(往復ね)で、貴重な発見ができたのです。往路の時、“あれ、お菓子屋さんがある”と喜び、外から中をちらっと覗くと、冷ケースがなくタルトやパイが並んでいるではありませんか。うーむこれはいいな!とビビッとくるものが。先を急いでいたので復路で立ち寄ろうと決めました。やっぱり気になるお店を見つけるには、自分の足で歩かないといけませんね。
あまりお話は伺えませんでしたので、ひとまず独断の感想をお伝えすることにしましょう。

●『リンゴのタルト』  辺8.5cm 高さ4.5cm 90gほど。
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ブリゼ生地にダマンドを詰め、紅玉のスライスを立ててたっぷり並べる珍しいプレゼンテーション。同時にしっかり焼き込み、仕上げにアプリコットのナパージュ。ピューレを用いているそうです。
ほほぅ、よく焼けていますねぇ。もう、サックサクの食感の気持ちの良さといったら。紅玉の酸味にアプリコットの甘酸っぱさが響きあって、深い味わいを作り出し、ダマンドの円やかな旨味が包み込んでくれます。オーソドックスで誠実に作られていて、一口ごとに充実感が伝わってきます。
紅玉はそろそろ終わりということで、名残りの紅玉林檎タルト。最後に美味しいタルトに出会えて幸せです。

●『金柑パイ』  径5.8cm 高さ4.4cm 50gほど。
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あら、小さくて可愛い姿のパイ。フィユタージュで金柑の甘露煮と白餡入りのダマンドを包んで焼いています。トップにピスタチオのダイスをパラリ。
これまたよく焼けていますね。パリッサクッと景気のいい食感とともに、金柑の甘酸っぱさと清々しい香りに満たされます。こういう包む形のパイの場合、生地とフィリングの量のバランスが取れていないことがままあるのですが、ちょうどいいバランス。わっ美味しい!
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もう一人の書き手のクボタは白餡が入っていることでフルーツ大福の味を思い出したと言っています。
私は少し柔らかな味わいになっているような気がしました。
しっとりとしたフィリングとサクサクのパイとの食感の対比がよく出来ています。

●『ミルリトン ド ルーアン』  径5.7cm 高さ2.9cm 30gほど。
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じつは大好きなお菓子。最近、通っているお店ではあまりお見掛けしなかったので、あると嬉しいなぁ。迷わず購入しました。
ブリゼ生地に、全卵、砂糖、醗酵バターのアパレイユを流し、表面に粉糖をたっぷり振りかけて焼くと、表面の部分だけが一層浮き上がって焼き上がるというルーアン地方の伝統菓子。「オーボン ヴュータン」のポンポネットシリーズですっかり有名になりましたね。
優しい甘さですが、卵の風味が生きた深い味わいに、小さいながらたっぷりした満足感があります。アパレイユがまっ黄色で、全卵より卵黄多めの配合ではないかと想像しています。それほどに豊かな味わい。ふうぅ~。
うんうん、これこれ。シンプルでなんでもないようでいて、いやだからこそと云うべきか、本当の豊かさを感じるのです。心が笑顔になります。お見事です!

全体的に小さめですが、とてもお安いですね。田中さんは伊丹出身だそうですが、ご自分でも笑いながらなぜだか京都でオープン。国内であちこち修業の後、アルザスの名店「ジャック」で1年修業(ジャック時代の集合写真も飾ってありました)。フランスへは都合3回ほど行っているとか。
信頼のおける技術の持ち主が、オーソドックスなレパートリーを誠実に焼いてくれています。世の中、流行りなんかよりずっと大切なものがある、と再認識させられる感じもあって、かなり気になるお店となりました。
パイ・タルトの品揃えが多いことでもあるので、遅ればせながら、今後繰り返し訪ねることになるでしょう。

●『リンゴのタルト』420円  『金柑パイ』280円  『ミルリトン』250円  (※内税)
●「お菓子工房 sampo」
京都市上京区河原町通荒神口下ル上生洲町221  TEL075-241-3673  提供日/不定休  営業時間/11:00~19:00