パティスリー ミラヴェイユ(3)『パルミエ』

兵庫県宝塚市、阪急今津線・逆瀬川駅から東へ7、8分のところにある「パティスリー ミラヴェイユ Miraveille」さん。繊細鋭敏な味覚で特別なお菓子を生み出し続けている、妻鹿祐介(1980年生)シェフのお店です。
繊細だけど神経質ではない、というお菓子好きにとって願ってもない世界を切り開き、本格フランス菓子の品揃えで大人気店に育て上げています。スーパーシェフと呼ぶべき実力者ですが、優しくにこやかな表情で接してくれるのが嬉しいですね。
第20回「3.14=π(パイ)の日R」キャンペーンは、定番で時折顔を見せている『パルミエ』の登場となりました。それがもぅ絶品だったのです。

●『パルミエ』  幅8cm 中心の高さ5.3cm 厚み0.7cm 30gほど。
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わーい、パルミエ、大好きです。ハート型の可愛さもさることながら、生地の魅力を存分に楽しめるお菓子だからです。パイ好きには堪りません。
大人気の『ミルフォイユ』(これまた素晴しい!)に使う生地とは作り分けていて、薄力粉2に対して中力粉1の割合。アンヴェルセ、折り込む醗酵バターにも粉入り。グルテンが少なめなので軽やかでサクサクとした食感です。
折り終えた生地を広いシートに延ばしてカソナードを振り、両端から巻き込んでハート形に。小口切りにして段面にまたカソナードをビッシリとまぶして焼き上げています。

前回の印象と少し違うような気がするので、ブラッシュアップされたのでしょうか。その眼目は、このカソナードの量だと感じたのですが、さてどうかな。
以前は今回ほど全面を完全に覆うほどではなかった(たまたま?)のです。生地の塩気と甘味が拮抗する部分があり、甘味が深く感じられ、充分に美味しかったのを覚えています。

でも、なのです。
カソナードのミネラル豊かで柔らかな甘味に塩気が隠されたことで、なんとも柔和な優しいお菓子に仕立てられています。あぁ美味しいなぁ~。
雑味のある砂糖ですから、どちらかというと野太い味になりそうなのですが、品のよさを実現しているのが、妻鹿シェフならでは。そう、砂糖の量が多いのにその甘さに浸るというより、より一層生地の甘味やバターの旨味がクローズアップされる感じ。砂糖に引っ張られることがありません、あら不思議。
さらに、砂糖たっぷりだから食べ疲れるだろうと思うかもしれませんが、さにあらず。塩の隠し味が隠れたことで、むしろ疲れを感じさせない。カラメリゼのカリッジャリッとした響きの後の、サクサクッとした軽やかな食感も含めて、とにかく軽やか。ふうぅ!
気品も感じられるので、ダージリンなど深い味わいの紅茶といただきたくなりますね。お見事!

今年2021年7月でオープン10周年。次から次へとお客様が訪れ、好調なのが分かります。大人気店です。
他店のシェフから聞いた、「ミラヴェイユさん凄いよね」とか「ガレットデロワ最高ですよ」「シュトーレン絶品」といった賞賛を伝えても、はにかむような笑顔。ちっとも自慢したりドヤ顔されたりしないのです。
妻鹿シェフは「お菓子に気軽に親しんでもらえるような店構えや値段設定を心掛けています」とつねに優しい眼差し。たしかに入りやすいカジュアルな雰囲気ですし、洗練された気品のあるお菓子づくりの実現はさぞかし大変だろうと思うのですが、かなりの良心価格。
一般に、シェフがおっしゃっていることと、目指すべき店の有り様をちゃんと合わせるのは、いろいろな要因も絡まって難しいもの。それを10年という時間の積み重ねのなかで、少しずつ実現されてこられたのでしょう。
今回、美味しいお菓子とともに、誠実な妻鹿シェフの笑顔が、心をふわっと柔らかにしてくれました。

●『パルミエ』180円  (※外税)
●「パティスリー ミラヴェイユ」
 兵庫県宝塚市伊孑志3-12-23  TEL0797-62-7222  定休日/水曜、第2&4木曜  営業時間/10:00~19:00
※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらのお店の『ボンボンショコラ』をご紹介しています。