お菓子の店ヨシカワ YOSHIKAWA(13)『リーフパイ』『レアル』

兵庫県芦屋市、阪急神戸線・芦屋川駅から東へ線路の南側を10分ほど行ったところにある「お菓子の店YOSHIKAWA」さん。東京の名店「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」のお菓子教室で師範の資格を取得している名手、吉川和子さん。少量ずつこまめに、丁寧に焼かれる焼菓子は新鮮な分、ご本家より美味しいなぁといつも感心しきりの私たち。それに加えて、いやだからこそ、なのか、賞味期限がとても短い希有なお店でもあります。
ここのところ年1回の訪問のご無沙汰になっているにもかかわらず、夏と冬に必ず案内の葉書を届けてくれて(慣例になっていていつも楽しみにしています)、待っていてくれるのが嬉しいかぎり。ずっとお忙しくてなかなか話しができていませんでしたが、今回は近況報告とお菓子のおしゃべりができて愉快なひとときを過ごし、お互いホッと心を温めたのでした。


●『リーフパイ』  6×3.4cm 厚み2cmほど。
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ずっと以前にご紹介していますが、名品なので再登場。
可愛いコロコロとした葉っぱのパイ。葉脈もきっちり。これでも浮きすぎないようにとラピッドの生地で折っているそうです。

こちらでは『シナモンパイ』にはバターを包み込む普通のフィユタージュ、『チーズのサクリスタン』ではまた別の特殊な生地、と使い分けているそうです。ご本人曰く「作るのを飽きないように」とおっしゃっていましたが、パイを複数選んでも食べ飽きないようにという心遣い。生地の種類が増えればそれだけ大変なのに、惜しみなく手間を掛けてくれるのです。
しかも、このリーフパイ、ラピッドなのに層が編目ではなく、折りパイのように層が水平にまっすぐ伸びているではないですか。もうこれを見ただけでも腕の良さが伝わってきます。
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果たせるかな、なんという軽い食感、サクサクッとあくまで軽快。空気を食べているような。この湿気の多い時季に、購入翌日に食べた(賞味期限3日以内)というのにまったく湿気なし。強すぎないグラニュー糖のカラメリゼもカリカリと痛快。生地の香ばしさとカラメル香が一体となって、甘やかな世界を作り上げています。
一つ食べるともう止まりません。カシャサク、カシャサク…。わぉ、美味しいよぉ! あっという間の夢幻劇、覚めるのがもったいない。お見事です。


●『レアル』  径7.3cm 高さ3.5cm 60gほど。
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巨匠弓田亨氏の盟友ドゥニ・リュッフェル氏、かつてのフランスを代表する名店「ジャン・ミエ」のシェフです。
このお菓子はドゥニさんのルセット。菓名“レアル real ”とはスペインの昔の硬貨のこと。丸い形と時代を感じさせるような素朴なお菓子だからでしょうか。
シュクレ生地にフランボワーズペパンのジャムを載せ、アーモンドプードルに卵と砂糖だけ、バターも小麦粉も入らないという生地を流し込んで同時焼しています。タルトレットではなくタルトの大きさだったら空焼きした方がいいでしょうね、とのこと。
奇を衒った驚くような組み合わせでもなく、シンプルなお菓子。素朴とも云えますね。そういう意味で、内容は違いますが起源の旧いドイツ菓子の“マザリン”をふと思い出しました。
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はふぅ~なんとも幸せな気分。なんて穏やかで豊かなお菓子なのでしょう。ふっくらと優しくアーモンドの香り高い生地の包容力、ベタベタしない感じも魅力的です。
そこへ、自家製のフランボワーズジャムのキリリとした酸味が全体を引き締め、印象深くしています。でも、その効果はこの生地とそこにぴったり寄り添っているシュクレの美味しさ、説得力があってこそ。素晴しい!


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今回はブログ「パイ日和おまけ」でご紹介すべき『レモンスクウェア』(これまた逸品)も食べて、またまたメロメロになっていますが、去年もご紹介しているのでそちらをご参照下さいませ。

●『リーフパイ(9個入)』570円  『レアル』310円  (※内税)
●「お菓子の店 YOSHIKAWA」
 兵庫県芦屋市大原町23-20  TEL0797-23-2370  定休日/日曜・月曜・第一火曜  営業時間/11:00~18:15  (8/9~9/7は夏休・定休日も季節によって変更の可能性あり、ご確認のほどを)