ブーランジュリーパリゴ(1)『クロワッサン』『クイニ・アマン』『キッシュ』

大阪メトロ、谷町線夕陽ケ丘駅から東へ3分。上町筋沿いに「ブーランジュリー パリゴ parigot 」がある。2005年オープンで、その当初からメディアで見る写真だけでも魅力溢れるパンであることは歴然だった。
にもかかわらず、夕陽ケ丘が個人的な闘いの場であり、重苦しい気分に包まれてしまう地であったので、つい行きそびれて早十余年。
人からの紹介に押されてようやく実際に足を運んでみれば、ブルーを基調にしたシックかつゴージャスな店構え、壮観ともいうべき品揃え。しかもいかにも美味しそうなものや、他店ではなかなかお目に掛からないアイテムなど知的な刺激にも満ちている。そして、溌剌としたスタッフたち。
文句の付けようのない店だった。後悔しきりである。個人的な愚痴はこのくらいにして、素晴しい商品の紹介をしよう。(※担当クボタ)


●『クロワッサン』 14.2×6.8cm 高さ4.4cm 40gほど。
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安倍竜三シェフは2001年にフランスで開催されたクロワッサンコンクールの職人部門で入賞をはたしている実力者。得意中の得意のパンだ。
京都・大徳寺近くのパティスリー「ミャーゴラ」の奥山さんから「抜群に美味しいクロワッサン!」と聞いていたこともあって気になっていた。

国産の強力粉をいくつかブレンドしたものを使っていて、バターはイズニーの醗酵バター。折りは3ツ折り、2ツ折りと少なめ。
内相を見ると理想的な編目が形成されていて、折りも醗酵もベスト。

parigot_croissantcut.jpg吃驚するような、いや惚れ惚れするような、まっ黄色! この色合いから見てもたっぷりのバターが使われていることが分かる。

食べたのは夕方で焼き立てではなかったにもかかわらず、とくに端の部分などはカリカリで華々しい食感。
クラムは引きが強くもっちり。噛むほどにじわりとバターが滲み出すような味わいだが、脂っぽく感じないところが妙手だろう。バターの甘味とクラストの芳ばしい香りで大満足。

これだけのクロワッサンがあれば、コンチネンタルブレックファーストといえども質素な朝食とはいえなくなるだろう。お見事!


●『クイニ・アマン』 径8.5cm 高さ2.5cm 40gほど。
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クロワッサン生地をセルクルに詰める際に、少量の塩カラメルを注入している。焼き上がりにザラメで分厚くカラメリゼ。本来有塩バターを使うものなので、その代わりに塩カラメルを使ってより美味しくということのようだ。


parigot_kouignamanncut.jpgクロワッサンに仕上げる生地よりはバターが少なめかもしれない。セルクルの中で、焦がしバターにするイメージで揚げ焼きしているそうだ。カラメリゼがわりと分厚いので、バターが多いとくどくなりすぎるのだろう。
面倒な生地の作り分けをしてまで、美味しさの追究がなされている。時折、ザラメの粒も加わる強い食感とたっぷりの甘さをしっかり受け止める生地の力(弾力と醗酵生地の良さ)があって、魅力あるパンに仕上がっている。
ほんの少しの塩カラメルがこれだけ雄弁に味を決めるとはね。いやはやお見事。


●『キッシュ』  径8cm 高さ2.8cm 80gほど。
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生地はパータフォンセ。アパレイユは卵が強く、牛乳と生クリームとグラナパダーノのチーズが少し入っている。仕上げのチーズはグリュイエール。ベーコンの角切り入り。やや塩気が強めか。
ノーマルな範囲だけど、ご飯のおかずというより酒のアテに良さそうだ。ザクザクとした強い食感の生地と滑らかなアパレイユの食感の対比で、アパレイユの魅力がよりいっそう引き立つ。シンプルながら力強い味わいだ。


平日で80点以上、週末は100点近くのアイテムがあるが、1品1品、しっかり作り込んでいて、適当に片付けているものはない。人手不足で困窮する店が多い中で、これだけの品揃えを維持し、手間暇掛けたパン作りを貫いていることに頭が下がる。
職人として飛び抜けた技量を持っているだけでなく、経営者としても並外れた人だと言えるだろう。スタッフたちの積極的な動きぶりからも、店の居心地の良さが推量できるというものだ。

●『クロワッサン』200円  『クイニ・アマン』220円  『キッシュ』240円  (※外税)
●「ブーランジュリー パリゴ」
 大阪市天王寺区上本町9-3-4  TEL06-6774-5087  定休日/月曜、第1&3火曜  営業時間/7:30~20:00

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