アグレアーブル(9)『りんごの焼タルト』(本日のタルト)

京都、御所南の名店「パティスリー アグレアーブル」さん。オープンしてまだ6年半と日は浅いのですが、フランス修業でみっちり身に付いた技と精神性、豊富な品揃えと的を外さない味わいの安定感が魅力のお店です。
そして行き届いたサービス(奥様の加藤かをるさんの心地いい接客に加えて、シェフの晃生さんも営業中はお客様のお相手をするのが当たり前というスタンスを持てる精神的なゆとりの持ち主)も含めた総合力が、和菓子の老舗を思わせる大人の世界を創り出しているのです。お店のキャリアを無視してあえて“名店”と呼ぶ所以です。


●『りんごの焼タルト』(本日のタルト)  辺9cm 高さ4cmほど。
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わーい、加藤さんの林檎のタルトがあるっ、早くキープしなきゃ目の前からどんどん売れていきます。絶品なのです。
そう、“本日のタルト”として、ほぼ即興で焼かれるタルトが毎度とても美味しいのが、シェフの長年叩き込まれた技の深みから生まれるものであることは論を待たないでしょう。

林檎(フジ)を櫛形に切ったものをカラメルとバターでソテーしフランベした後に、水を少し加えて林檎の芯まで火を通して、トロッとした食感を抽き出しておきます。水気が飛ぶまで鍋を振るそうですよ。
空焼きしたパートシュクレにクラフティ生地を流し、林檎を加えて焼き上げ、さらに林檎を盛り、アプリコットジャム、クルミのクラクランを載せています。

たっぷりの林檎を目の前に、食べる前からニマニマが止まりません。さぁ、一口 …… お、おいしいなぁ、ふうぅ!
クラフティ生地に象徴されるように優しい味わい。品のいい甘酸っぱさにクラフティの優しい甘さが寄り添っています。
林檎はトロッとした食感で口当たりも喉越しも滑らか。ふふっ気持ちいい。
が、ここまで火を通し、カラメルの味わいも載っているのに、フレッシュな印象なのです。タルトが林檎の水気でジットリしないように水気を飛ばしているにもかかわらず、あら不思議、清らかで瑞々しい。火を入れることで林檎のジューシーさが増しているような。うーむ、やるなー、技というしかないですね。

本当は紅玉を使うはずだったのですが、今年の紅玉は火を通すと型崩れしてしまうそうでフジに変更した由。紅玉の酸味であれば鋭角的な味わいになったでしょうが、このようなメロウな爽やかさとはすこし異なるタルトに仕上がったでしょう。
ケーキの材料は林檎に限らず、工業製品じゃないのだから、その年や時期、場所などでいろいろ変わって当然ですね。素材に応じて臨機応変に対応する、そこがまた、職人の腕の見せどころでもあります。食べ手もそこに面白さを感じるのです。

クラクランのアクセントも利いていて、間然するところのない素晴しさ。本日、と言わず、毎日定番で作ってほしいな。いつもながらお見事です!


いつも楽しいケーキ談義に花が咲いて、時間が経つのを忘れてしまいます。おっといけない、他のお店に回れなくなった、なんてことも。それだけ居心地がいいのですね。かをるさん晃生さん、ハッピーな時間をありがとう!

●『りんごの焼タルト』(本日のタルト) 500円  (※内税)
●「パティスリーアグレアーブル」
 京都市中京区夷川通高倉東入ル天守町75-7  TEL075-231-9005  定休日/不定休  営業時間/10:00~20:00

※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらのお店の『キャラメルポワール』や『ケック』などをご紹介しています。

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