エミル(8)『子ブタのミミ』『ムシェル』

神戸市灘区、阪急神戸線・六甲駅から南東に5分ほど、日尾町バス停前にあるのが「エミル ツッカーベッカー」さん。老舗「フロインドリーブ」に30年に渡って勤め上げた名匠・奥村豊シェフのお店です。
ドイツ菓子にこだわらず、幅広い品揃えで、何を食べても味が極っていて感心させられますが、中でも焼き物の美味しさは格別。よく他店のシェフたちも「あぁエミルさんいいですよねぇ」と尊敬を寄せるほどなのです。うんうん、わかるよぉその気持ち。
本日は数ある名品のなかから、とびっきりのパイ菓子のご紹介。これまた、凄いのです。


●『子ブタのミミ』 4.5×3.8cm 厚み0.9cm 70g(12個)ほど。
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本家は“大ミミ”“小ミミ”と名付けていましたが、“子ブタ”は可愛いですね。
カラメリゼが不均一でグラニュー糖が溶け切らずに残っているところがあります。美観上は不揃いに感じますが、食べた味わいはまったく問題無し。

カリッザクッサクッ! わぉ美味しいっ!! これほど感心するパイを食べるのは久々というほどの、完璧さです。
小麦粉・バター・砂糖・塩。
たったこれだけで、否、これだけだからこその究極の美味しさ。粉の旨味、バターの芳醇な風味、砂糖のとろけるような甘味とカラメル香、生地に含まれる塩のコク。どれも突出することないバランス。素晴しい!

生地の焼き込みがベスト。粉の焼き込んだ風味をたっぷり抽き出しつつ、苦みはほぼゼロ。カラメリゼはやや厚めで甘さの満足感が高く、後を引きます。食感も力強さと軽快さが織りなされていて、カリカリ、ザクサクッと楽しい限り。おかげで一袋あっという間になくなってしまいました。二人で食べたのですが「一人6個だからねっ」と牽制しあう美味しさ。嗚呼、独り占めしたかったな。へへっ。

うーん、凄い、凄すぎる、絶品です。改めて蓄積したものの豊かさを感じますね。お見事です。


●『ムシェル』 7.3×7.5cm 高さ2.6cm 50gほど(測り忘れ/前回データ)。
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定番のナポリ風パイ菓子、スフォリアテッレにドイツ語の貝 Muschel を菓名にしています。大好物で、あれば必ず買っているほど。ご紹介するのも何度目かなぁ。
ともかく。バリバリザクザクとして強烈無比な生地の魅力が断然、圧倒されてしまいます。分かっていて毎回、これこれと思いつつビックリするのですからね。
一方のフィリングはダマンドにリコッタとクリームチーズを加えたもので、オレンジピールがチラホラ。これがとても品がいい。生地の荒々しさと対極的なのに、うまく寄り添っているのです。

emil_kai2019cut.jpgやっぱり、何回食べても美味しい! そしてその度に、一口にパイといっても、いろいろな食感・味わいがあって奥が深いなと思うのです。



最近の若いパティシエの傾向として、パイを折れない人が増えてきているし、面倒がって後回しにして余裕ができたらと遠ざける人も。
こちらのように、毎日続けている匠の手練の技に触れると、圧倒的な差を感じます。なんとか優れた無形の財産、お菓子文化を引き継いで行って欲しいものです。

●『子ブタのミミ(12個入り)』565円 『ムシェル』360円 (※内税)
●「エミル ツッカーベッカー」
 神戸市灘区日尾町2-3-17  TEL078-843-1880  定休日/水曜、第1&3木曜  営業時間/10:30~19:30

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