2019年10月19日、苦楽園に本格パティスリーオープン!  パティスリー ルメルクール(1)『タルトジョンヌ』『フルーツフリュイルージュ』

阪急甲陽線、私たちの地元苦楽園に、久々期待の新星がお店を開きました。お店の名前は「パティスリー ルメルクール REMERCOEUR 」さん。仏語 remercier 感謝 + coeur 心 の造語だそうです。
阪急苦楽園口駅からメインの苦楽園通りをまっすぐ、徒歩3分ほどの好立地。白を基調にした、シンプルで洗練された空間でニコニコ笑顔で迎えてくれたのは、オーナーシェフの大江正さん、弱冠34歳。

作ることが好きで、高校生の時にお菓子作りに目覚め、高校卒業後、神戸国際調理製菓専門学校、そして地元の「リビエール」さんへ。その後、フランスへ学生ビザで語学留学しながら(いろいろなお店に履歴書を出したそうです)、ルレデセール会員のショコラトリー「セバスチャン ブロカール」で就労ビザに切り替えてみっちり1年。その後、帰国して東京・吉祥寺の「パティスリー アテスウェイ a tes souhaits! 」で8年じっくり修業。パティシエ修業歴14年。
もともと関西人(尼崎出身)ですから、場所を探しているときに苦楽園が気に入って…というお話でした。

さて、何が期待かというと、もうお分かりでしょう。大江シェフが東京の大人気店「パティスリー アテスウェイ」で修業し、川村英樹シェフからの信頼も篤かった優れた人材だということです。
川村シェフは日本で7人目のルレデセール会員(ルレデセールはフランスを中心に世界のトップパティシエだけが入会を許されるエリート組織)に選ばれた傑物。フランス菓子だけが絶対的な価値基準という訳ではありませんが、ともかく一つの頂点を極めているお店で鍛えられた逸材には、どうしても期待が沸いて来るというものです。
それに、最近の新店は製造シェフ一人、奥様が販売、というケースが多いですし(それはそれで応援したくなる親しみやすさがあります)、修業もかなり短め。が、こちらは奥様は事務などの裏方に徹していて、販売と製造に数名、若いスタッフが溌溂と働いていました。この規模のお店が苦楽園のメイン通りにオープンしたのですから、待ち構えて行ってきましたとも。
パティスリーの初日というのは、忙しく、また様子見ということもあり、しかもいろいろ応援が入って実力を図りにくい日ではあるのですが、まずは第一報ということで(シェフを初日に独り占めするのはよくないなぁと思い、中途半端な聞き方をしたのでいろいろ間違っているかもしれません。乞うご海容)。


●『タルトジョンヌ』  径6.5cm 高さ4.3cmほど。
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jaune とは黄色。きれいな檸檬色です。
おや、ショーカードには檸檬と胡麻のタルトという紹介が。
ん? 檸檬に胡麻って…と言うと、大江シェフは「檸檬と胡麻ってすごく合うんですよ」と自信たっぷり。へぇそうなの?

カットしようすると、タルトという菓名ですが、底生地はサブレブルトン。
その上に、薄く胡麻入りのチョコのフィアンティーヌ。そしてクレームシトロン。檸檬はもちろんフレッシュを使用、ゼストをアンフュゼ。
周囲にほんの少し、ココナッツを纏わせています。トップのイタメレにも檸檬果汁とゼストの香り。

ではいただきましょう。
おおっ! 胡麻が香る~っ。ひゃあ! 檸檬もすっぺー。檸檬の清々しい酸っぱさに胡麻の芳ばしさが甘く感じられるのです。
2つが仲良く強調しあっているというよりは、別々なんだけど、不思議な共存関係を築いていると云えるでしょう。クレームシトロンとイタメレの滑らかさに対して、サブレのザクザク、フィアンティーヌのチャリチャリの強めの食感の対比も見事に決まっています。
檸檬の爽やかさだけで終わるのではなく、胡麻の温かみを同時に感じられるのはとても面白い体験です。いいですね、お見事!


●『フルーツフリュイルージュ』  径7cm 高さ7cmほど。
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赤い果実のタルト、シックな赤ですね。
底生地は薄くクランブル。クレームダマンドはたっぷり。フランボワーズを砕いたものも入っています。
その上に、シャンティをひと塗り、苺・フランボワーズ(ペパン入り)・カシスのコンポートがどーんとた~っぷり。トップにはシャンティと果実を飾って。

赤い果実のコンポートがとてもフレッシュ! コンポートなのに、活き活きとしたフレッシュ感に溢れているのです。
厚めのダマンドの存在感が強く、いかにも素朴なタルトの雰囲気を醸し出しているのですが、その上に、赤い果実が本流となって溢れてくるイメージは、鮮烈。
果物のタルトは、普通はダマンドとフルーツが一体となったところに美味しさを感じるのですが、これは食感が別々であることが、逆にフルーツの存在を際立たせているところが妙味、と云えます。


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オープン当初は品数も絞り込んで、プチガトー10種程度、焼菓子15、6種程度でおもむろにスタートし、軌道に乗ってから徐々にレパートリーを拡大する予定とのことです。ショコラティエの修業歴もあるし、本日はフィユタージュは残念ながら無かったのですが、パイローラーは厨房に鎮座(新店でパイローラーがないお店最近頓に多いのですよ)しているそうですから、こちらもゆったりとした気持ちで待ちましょう。

ルレデセール会員店で修業したシェフでまったく同じ姿・ルセットのものを作っていることもありますから、「アテスウェイ」の超有名スペシャリテ『ガレットブルトンヌ』や『モンブラン』をそのまんま作っておられるのかなと思っていたのです。その方が手っ取り早くアピールできますからね。
でも大江シェフ曰く「スペシャリテはそのお店で食べてこそのものですし、尊敬する師匠の大切なスペシャリテですから」と、別のルセットにするとのこと。自分のスペシャリテを作る用意はあるようで、「コンクールで評価されたものもありますから、そのあたりから」と期待を持たせてくれました。
優しくスマートな外見のシェフですが、ご自分の味の構築、お店の在り方を冷静に見定めているようです。お若いのに肝が座っていますね、天晴です!

苦楽園はいま金木犀の香りがふわっと漂っています。遠くからわざわざ来ても満足できるパティスリーではないでしょうか。カフェはないので、焼菓子なら夙川堤のベンチでさっそくパクッといきましょう。美しくエレガントなお菓子が微笑みかけていますよ。

●『タルトジョンヌ』530円 『フルーツフリュイルージュ』530円(※内税/店頭では本体価格も併記)
●「パティスリー ルメルクール」
 兵庫県西宮市南越木岩14-2  TEL0798-71-4118  定休日/不定休(10月は21日・25日・29日)  営業時間/11:00~18:00

※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらのお店のプチガトーをご紹介しています。

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