ミラヴェイユ(1) 『ミルフォイユ』『栗と抹茶のタルト』『タルトアグリュムピスターシュ』『パルミエ』

兵庫県宝塚市伊孑志(いそし)で人気を誇る、本格フランス菓子のお店「パティスリー ミラヴェイユ Miraveille」さん。2011年オープンです。阪急の西宮北口で今津線に乗り換えて、5つ目の逆瀬川の駅から東へ10分と便利なところにあります。とくに理由は無いのですがこの線への乗り換えはじつに10数年ぶり。
ようやく意を決して行ってみたら、その豊かな品揃え・ひとつひとつのケーキの美しい佇まい、しかもお値段も今どき信じられない安さ。店名からイメージさせるように(あくまでも私たちのイメージです)、ミラクル miracle でメルヴェイユ merveille に満ちていたのでした。もっと早く行くべきお店ですね。お菓子好きの名が廃る、猛省。
なお、スタッフが優秀で商品知識がしっかりしているので、シェフとはお話しせずに終わりました。それに加えて、平日の暑い午後でしたがお客さんが続々、小さなスペースは満員御礼状態。こんなに混んでいたらご迷惑かけるなと遠慮致しました。大人気なのも当然ですね。


●『ミルフォイユ』  4.1×8cm 高さ4.5cm 100gほど。
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おっ、凛と美しい姿。思わず見蕩れてしまいました。

スタッフが確認してくれたところでは、普通折りながらバターにも粉を加えるタイプのパイだそうです(たしか「ラフルネ」さんの絶品『ショソン』もそうでしたね)。芯までむらなく茶色く焼き切っていますが、苦みを出していないのがいいですね。

クリームは生クリームを少し加えたディプロマット。食べる前からヴァニラがふわんと香っています。セロファンを取る時に指についたクリームを舐めたら、あらん美味しいな。切る時にクリームがはみ出すくらいにトロトロ(というか泡感あり)なのですが、カスタードの本来の魅力であるポッテリ感も少し残しています。

画像一緒にパクリッといくと…… ほぅ! なんて美味しいのでしょう。
フィユタージュがサクッと、その刹那、優しく崩れる繊細さ。嗚呼、いいなぁ、この独特の食感。

そして、口に長く止まる品のいい甘さのクリームと生地の風味がピッタリと寄り添っているのです。
生地は苦みだけでなく塩気も控えめにしてクリームを活かし切っています。鏡面仕上げで存在が目立っているカラメリゼの甘さもきいているようです。
このバランス感覚がじつに素晴しいっ。お見事です!



●『抹茶と栗のタルト』  辺9cm 高さ4.5cm 80gほど。
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カットした断面までもがきれいです。

空焼きした分厚めのパートシュクレに、薄くスポンジを噛ませて抹茶風味のダマンドを流し、渋皮栗の甘煮を並べて二度焼き、上からアーモンド風味のダクワーズを流してもう一度焼いています。

水分のでるパーツがなくてスポンジを使うのはダマンドをしっとり系にしつつ、シュクレのサクサク感を活かしたいという配慮なのでしょうか。このサクッサク感、特筆に値するサクッサク感です。
果たせるかな、ほくほくとした栗を抹茶ダマンドがしっとりと抱き込んでいます。さらにダクワーズがふっくらと包み込んでいます。

栗と抹茶のマッチングもさることながら、この食感の四重奏が見事です。それぞれ個性が際立っていて、しかもよく調和しているのです。弦楽四重奏の均質性ではなく、木管四重奏の多様性の世界が広がっています。ふうぅ~。



●『タルトアグリュムピスターシュ』  辺9.5cm 高さ3.5cm 90g強ほど。
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爽やかな agrume(柑橘)のタルト、これまたなんでもないのに、美しいですね。

こちらは同じく空焼きしたパートシュクレにスポンジを敷いて、ピスタチオのプードルを入れたダマンドを詰めて二度焼き。
上に オレンジとグレープフルーツ(ルビー)を交互に並べてバーナー。ナパージュをたっぷり流しています。チラチラとピスタチオのダイス。

わぉ! 驚いたことに、こちらの方が水気たっぷりなのに、シュクレがより以上にサックサクッ(出来立てだったのかな)。もぅ~別格。
対する果実の瑞々しさ、やや苦みを含んだ酸味が鮮烈でいいですねぇ。ダマンドピスターシュが遅れて豊かなコクで全体を覆い尽くそうとしてきます。その最中、ずっとサクサクと軽快なシュクレの食感が響いているのです。

シンプルな焼きっぱなしのタルトですが、一つひとつのパーツの味わいが深くて説得力があります。いやぁお見事です。



●『パルミエ』 8.2×8.2cm 厚み0.7cm 20gほど。
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定番のパイの焼菓子。

『ミルフォイユ』とは異なる、ややパリパリとした少し強めの食感。
砂糖はカソナードを使っているそうです。表面に見える小粒の黄色っぽい結晶は小粒の黄ザラメでしょうか。
カソナードの優しいコクのある甘さに、少しだけ強めの塩気がよくあっています。

この日は30℃を超えるような暑さでしたが、それでもパイを焼きつづけてくれているのが嬉しいですね。




当ブログに初登場する場合は、経歴やお菓子への想い、お店の位置付けなどを詳細に書くことを基本にしていますが、今回シェフとお話ししていませんので、軽い内容になってしまったことをお許しください。
ですが、確かな技に洗練されたセンス、どこか清らかな余韻、スタッフの感じの良さ、注目すべきお店ですね。
正確に数えていませんが、生ケーキと焼き菓子がどちらも20種前後、焼きっぱなし2種。チョコレート用の小さなショーケースもありボンボンショコラ(1粒190円)が10種程度。はーっ、なんとも意欲的な品揃え。
ケーキ激戦地ではないこの地で、最初から本格フランス菓子(もちろんプリン、シュー、ショートケーキなどもあり)が全面的に受け入れられたのでしょうか? 根気よく出しつづけて今の盛況があると察するのですが…。いずれにせよ、その信念と努力に頭が下がります。



●『ミルフォイユ』410円  『抹茶と栗のタルト』390円  『タルトアグリュムピスターシュ』390円  『パルミエ』170円  (※外税)

●「パティスリー ミラヴェイユ」
  兵庫県宝塚市伊孑志3-12-23  TEL0797-62-7222  定休日/水曜、第2&4木曜  営業時間/10:00~19:00