坂利太(サリータ)(1) 『スフォリアテッラ』『アラゴスタ2種』

赤穂市・坂越にある「パスティッチェリア 坂利太(salita サリータ)」さん。ブログ「パイ日和・おまけ」に書いている「SAKURAGUMI」の姉妹店です。そこでランチをいただいた後、おやつが欲しくて「坂利太」へ向かったのでした。さっ、紀行文を続けましょう。

「SAKURAGUMI」の眼前に広がる穏やかな海。その海岸縁の歩道があまりに素敵なので、駅でいうと赤穂の一つ手前の坂越(さこし)になるのだけど、距離でいうと3、4km程度といったところ。お酒に酔った勢いではなく、それくらいは平気で歩く暮らしを常々しているので、景色を堪能しながらのんびり歩こうということになったのです。
お店の女性が「歩く話しは聞いたことがない」というのを軽く一蹴して、勇躍歩きはじめたのでした。「かんぽの宿」のあたりで道が途切れるから上のバス道に上がれば道は通じていますけどね、という言葉を唯一の頼りに、まったく知らない道をテクテクと。

鱈腹食べてワインも飲んで、上機嫌。ピカッと晴れて天気はいいし、海風も心地よく、二人揃って“余は満足じゃ”。さっき時間つぶしに来た砂浜を軽く通り越し、岬を回り込んで山陰を通り越しするうちに意外にもすぐに行き止まりに。仕方なく、浜にちょっとした施設があり公衆トイレなどもあるところまで戻ると、上のバス道に上がれそうな道が見えています。
ちょうどトイレ掃除のお姉さんがいたので、「上の道を行ったら坂越まで行けますよね」と気軽に尋ねたら、目を丸くして「私んとこ、坂越の漁師で今日は車でここまで来とるけど、車で15分は掛かるよ」「多めに見て4倍しても1時間ですね」とクボタが能天気に言うと、「船だったら直線距離で直ぐやけど、坂道やからそうはいかんよ、どこ行くの?」「サリータ~ぁ」「えっ、あそこ5時で閉まるやろ。間に合わんから今から車で送って行くわ」となんという親切なと感激して、もうお言葉に甘えそうになって心の中で万歳三唱の私。ところが、クボタが即座に「それはできません」と断るので、しぶしぶ私も「まだお仕事中じゃないですか」と被せてしまいました、はーっ。
「じゃ、上のかんぽの宿からタクシー呼ぶといいわ」と最後まで親切な人、自分の町に客を招くのが嬉しくて堪らないという雰囲気でした。乗せてもらっていたら、車中賑やかでさぞ楽しかっただろうなぁ。

画像タクシーは呼んだら待ち構えていたように、すぐ駆けつけてきたのでした。道はたしかに七曲がりのアップダウンの多い道。足は耐えられただろうけど、時間は間に合わなかったかも。しかも歩道ないじゃん、危ないし、結構な暑さでしたからね。
坂越は、江戸時代の面影を残す歴史的な景観を楽しめる町ということでお店の少し手前で降ろしてとお願いしたら、そこでメーターを止めて、ここから先見るべきものはないから、直前(坂越港)までお連れしましょう、と大サービス。
車中、「赤穂名物の塩味饅頭は地元の人はどの店のを持って行くのか」を尋ねたり、「アース製薬の工場の秘密の話」やら「牡蠣の話」などで盛り上がりました。なんとも優しい人たちの町なのでした。

感激しっぱなしテンション高めのまま、白壁と焼板の町家が並ぶ道をゆったり歩いて行くと、古民家風の素朴な菓子店が。暖簾がひらひら。軒先では笑顔でアイスクリームをほおばっている外国の女性がひとり。さぁ、いよいよ「サリータ」の『アラゴスタ』です。
以前企業が運営するお店のものを当ブログで紹介しましたが“ナポリで修業した職人の手になるものをぜひ”というのが、じつは今回の小旅行の大きな目的の一つだったのです。


●『スフォリアテッラ(テ・ベルデ)』  7.8×7.5cm 高さ3.5cm 70gほど。
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スフォリアテッラ、もう何度もご紹介していますね。貝の形のパイ菓子です。

イタリア産の強力粉・セモリナ粉を合わせ、シチリア産海塩、純正ラードを合わせて捏ね、薄く伸ばし、ラードを塗りながらクルクルと巻き込み、短く切り分けて層をズラし、一般的には中にクリームを絞って焼き上げます。

定番のリコッタ&オレンジピールのものがなく、本日は抹茶餡のみ。
淡い色の抹茶餡と大きな栗が入っています。ダマンドのようにふっくらとした食感。抹茶はほんのりレベルなのですが、意外と美味しいですね。へぇ栗ともよく合っています。

画像お約束通り、生地はバッリバリッと力強い食感。
『播州名物かりんとう』にも匹敵するような強さ、とも云えるでしょうか。端の方は引きが強く、ややもったりとするかな。
目覚ましい食感が目立つだけでなく、ラードで揚げたような香ばしさも出色。
強い個性の生地の中に優しいクリーム。うんうん、いい取り合わせですね。



●『コーダ・ディ・アラゴスタ/クレーマ』  7.5×15.5cm 高さ4.5cm 120gほど。
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菓名は“伊勢海老の尻尾 coda di aragosta”という意味。
ふふっ、見るからにそうですね。

生地の作り方は『スフォリアテッラ』と同じようなパイ生地の中にシュー生地を絞って焼き上げます(原材料名を見ると、セモリナ粉は入らず強力粉のみ)。
その後に、いろいろなクリームを詰めて出来上がり。

わぁ、パリッサクッ! 生地はこちらの方が柔らかな食感です。


画像カスタードは生クリームをかなり加えた滑らかなもの。口溶けを重視するとカスタード本来の味わいを失いがちですが、しっかり風味を残しています。ん? 檸檬風味のよう。爽やかな印象です。

クリームと生地との対比。これが醍醐味。いっそうバリバリの生地を活かして、美味しさに浸れます。




●『コーダ・ディ・アラゴスタ/ジャンドゥーヤ』  7.5×15.5cm 高さ4.5cm 130gほど。
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クリームがジャンドゥーヤに変わり、トップにアマレーナが一粒載っています。

するすると滑らかなクリーム。チョコの味わいの深さに、さらにヘーゼルの豊満な香りとコクが加わるジャンドゥーヤは好物です。
いろいろな種類があったのですが、迷わずこれを選びました。クボタは毎朝パンにスプレッドを塗って食べているほど。血糖値、大丈夫かぁ?

はてさて。濃厚なクリームの満足感にも負けない、生地の個性の強さはさすがですね。
たった1粒ですが、アマレーナはとってもいいアクセント。なんでもない飾りのようですが、これぞ画竜点睛。天晴れ!



パイ好きには堪らないお店です。『アラゴスタソフト』はソフトクリームの下のカップのところがパイ生地だったり、『アラゴスタ』をラスクにした『アラゴスク』があったり、パイ生地を名産牡蠣の殻にのせて焼き上げた『てーてってー』、さらに『アラゴスタ』のなかにマシュマロが入っているものもありました。
他にも向いの造り酒屋さんの『純米吟醸忠臣蔵を使ったパウンドケーキ』もあり…… じつに多彩な品揃え。稀少糖を使っているものもあるようです。
期待あふれるパイを提げて、歴史ある造り酒屋を覗いたりして、風情ある町並みをぶらぶら楽しみながら帰路に着いたのでした。



●『スフォリアテッラ』360円  『アラゴスタ(クレーマ)』486円  『アラゴスタ(ジャンドゥーヤ)』540円  (※内税)

●「坂道のお菓子屋さん パスティッチェリア坂利太(サリータ)」
  兵庫県赤穂市坂越2083  TEL0791-48-8658  定休日/火曜  営業時間/10:00~17:00

※ブログ「パイ日和おまけ」では、「SAKURAGUMI」のランチをご紹介しています。