3月14日はパイの日、ということで…手作り(15) 『春巻きパイ』/日本パイ協会

「3.14=π(パイ)の日 R 」キャンペーンも、18回目を迎えることができました。
ということで、恒例、日本パイ協会の手作りパイ。毎年、素人の小生でもできる簡単で気を惹くパイをご紹介している。
おっとー、突然オーブンが壊れた。スイッチのバネが切れたんだけど、取り替え部品がもうないという。どうもシステムキッチンごとの入れ替えになりそうで、当座の間に合わない。
ふぅむ、レストランがパートフィロでよくやるように春巻きの皮でやってみるか。と、暗澹たる気持ちの中で選んだ道が“超簡単!”。安直ながらいかにもパイらしいものが出来上がったのだった。(※担当クボタ)


●『春巻きパイ(バナナ&レーズン/粒餡)』  長さ17cm 高さ3cm(バナナ&レーズン) 高さ1.6cm(粒餡)ほど。
画像
オーブンが使えないのでやむなくトースターで挑戦。

春巻きの皮に溶かしバターを塗って、フィリングを載せてクルクル巻き上げて、予熱したトースターに放り込む。こんがり香ばしい色が付いたら焼き上がり。

フィリングは手元にあったバナナとレーズン、そして缶詰の粒餡。思いつきのアイデアには安手の材料でと決めたまでだが。これもピタリとハマった。
レーズンはラム酒で戻し、バナナとともにバターと三温糖でソテーして冷ましておく。
粒餡は濾し器にかけて汁気を切った方がいい。

溶かしバターを作って、春巻きの皮全面に薄く塗る。端の方に一列。フィリングを載せ、端からクルクルと巻き上げ、のり巻き状に。予熱したトースターで約2分(上下600W)。こんがり色付いてくれた。
中が温まりきれないようだったら、上下にアルミフォイルを敷いてもう1、2分加熱してもいい。くれぐれも湿気が籠らないように。上下の近い火、薄い皮ときているのでサイドまで均一に焼き色を付けるのは手間過ぎるけれど、サイドが白いのを我慢すれば大満足。
「ちょっとしたシュトゥルーデルじゃん」と一人悦に入ってしまった。
けっこうパリパリ感が生きているし、バターの香りもする。もう少し生地に重厚感が欲しければ2枚重ねにする方法もあるだろう。


画像いつもの書き手イワモトが面白がって横で自分も、とやりだした。

春巻きの皮を斜めに半分に切って斜辺のところに細くフィリングを載せてくるっと巻き上げた。「くるりんぱっ」と陽気にしゃべりながら、一丁出来上がり。
ちょっと細巻き。端と中央で皮の厚みが変わるので少し心配したが、ほぼ同じ時間で問題なく焼けた。
ふむ、スマートで軽やかだね。こっちの方が、よりパリパリッ感が強い。


春巻きといって馬鹿には出来ないね。追究次第ではかなりのバリエーションが出来るのではないだろうか。とくに家庭にオーブンのないお宅では重宝する方法だと思う。
調理時間が短いので、フィリングさえ先に用意しておけば、来客を迎えてから簡単に焼き上げられる。花冷えの頃にも出来立てのホットパイ、いかがですか。


*  *  *  *

ここからは、いつもの書き手イワモトの雑感です。

ここ最近、新店が登場してもあれれ? 意外とパイ菓子がありません。若手の方たちは苦手なのか好きじゃないのか、売れないものは作らないと決めているのか、はたまたパイローラーを置くスペースがないからなのか…ともかくフランス菓子を標榜していてもまったく作っておられません。少し残念ですね。ここ数年、パイどころかケーキからも逃げる人までいて、ショコラトリーが雨後の筍という状況。
また大方の中堅どころ、ベテランからは「3月14日は一年で一番忙しい時期だから、簡単に大量に作れて長期保存もできるものを売りたい」という声が。お店をやる以上は利益を上げるのが基本ですから、その気持ちも分かるつもりです。

ということは私たち、個人店をマイナス方向へ巻き込んでる? と不安になりそうになりますが、お店の方たちの「面白いじゃないですか、パイファン増やしましょうよ」「儲けがないのに業界のためにやっていただいてとても感謝しています」「パイ好きだからもっと色々挑戦して作りたいな、いい機会です」「パイ人気ですよ」「年々パイを目指してこられるお客さんがいます」「この技は後進に伝えて行きたい」といった想いや真摯に取り組む姿に触れると、知名度をあげて広げなきゃと毎年のことながら姿勢がしゃんとします。
そんなご参加店の確固たる意思を持ったシェフたちは、作るのは得意なのです。お茶の子サイサイ、という方も。
キャンペーン参加店の多くで日常のルーティンのなかにパイを折る作業が組み込まれています。こういうお店は意識の上でも、技術の上でも一段上に位置していると云えそうです。私たちが標榜している“パイの美味しいお店はいいお店”をまさに体現しているのです。
が、発信が下手といいますか奥床しいといいますか(なかには上手な発信を手がけている方もたまにおられますが)。忙しい時季にこんなにいろいろ工夫して丁寧に、誠実に作っているのに言わぬが花とばかり。
そこが魅力と言えば魅力ですし、個人的にはそういうシェフたちが大好きです。が、やっぱりもったいなさすぎます。
できることなら、こんな素敵で寡黙なシェフたちの想いを伝えたいのです。傍らで見聞きしている私たちが“作り手と食べ手を繋ぐ”お手伝いが出来れば、と。あまりに細い糸ですが、これこそがこのキャンペーンの核なのかなぁとこの頃思っています。
とまれ。シェフたちが心を込めて作った、多彩なパイが揃っています。自信をもってオススメできるパイばかりです。どうぞ楽しんでくださいね。


3月14日、パイの日。いつもの辛夷が咲き始めました。春ですね。
皆様にとって、心に花が咲くような佳き一日となりますように!

いつも拙文にお付き合いいただきありがとうございます。深謝。



●『春巻きパイ(バナナ&レーズン/粒餡)』600円くらい(買い置きも含めた材料費総計)

●「日本パイ協会」  兵庫県西宮市在