グロスオーフェン(15) 『パイナップルのタルトレット』

大阪府箕面市、阪急箕面線・桜井駅の改札からまっすぐ進み、道路を渡って左手2軒目にあるのがドイツ菓子の「グロスオーフェン」さん。美味しさのために一切の手抜きをしないことが菓子職人としてのごくごく当たり前の姿、と謙虚に語る清水敬之シェフ。私たちが敬愛して止まない第一級の職人さんです。
第18回「3.14=π(パイ)の日 R 」キャンペーンには、ちょっと変わった趣向のあるパイを登場させてくれました。新作です。


●『パイナップルのタルトレット』  径8cm 高さ3.2cm 70gほど。
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中華街に行くと見かけますが、パイナップルを使ったタルトって、珍しいですね。

オーソドックスに折られたフィユタージュを薄く延ばしてポンポネットの型に敷き込みます。
クレームダマンドを少し詰め、パイナップルと、前もって茹でた聖護院大根(なぬ ?!)を三温湯と水飴で炊いたものを流し入れ、硬めのビスケット生地でクロス模様を作り、焼き上げています。

パイを焼くのに、あえて水っぽい大根を加えているところが凄いですね。しかも、断面を見ていただければお分かりのように、底の部分も完璧に焼けているのです。さすがはパイ名人。

口に入れると、サクッパリッという小気味のいい響きとともに、パイのバターの豊かな香りとパイナップルの南国風の香りと……ん? 大根の香りも微かに。
パイナップルの甘酸っぱさがメインの味わいですが、どこか円やかで優しい甘さに感じられるのは大根の効果なのでしょう。水気で薄めているというのではなく、野菜の柔らかな甘味が加わった結果ではないでしょうか。

画像普通、パイにこれだけしっかり火が通ると、ダマンドはふっくらとした食感に焼き上がるもの。が、パイナップルと大根の果汁を吸ってしっとりとした食感になっていて、フィリングとの一体感が素晴しい。
いや、どちらかというと“瑞々しい”のですよ、なんとクレームダマンドが! 驚きです。
軽い粘度も感じるので水飴も利いていると思われます。
トップのビスケットのサクサク感が世界を広げ、アクセントとなるだけでなく、より豊かな印象を与えています。
すべての打った手が狙い通りの効果を上げて、いつもながら見事なお菓子に仕上げてくれました。



清水シェフ、台湾旅行で現地の名物パイナップルタルト(鳳林酥ホウリンスウ)を食べて気に入ったそうです。現地ではラード入りのサラサラとした食感のタルト生地が一般的。帰国して普通のタルト生地で早速作ってみて美味しさを再確認したとか。
今回は“パイの日”用としてフィユタージュに置き換え、聖護院大根を取り入れるというチャレンジ。
私たちも土産物で、台湾のものも本土のものも食べた経験がありますが、ねっとりとした硬めのジャムという感じのものが大半です。たまたまスーパーで甘いと書かれた聖護院大根を見てアイデアが閃いたとか。えーっ、パイナップルと聖護院大根って普通、結びつきます? 大根の香りが少し過りますが、おかげで洗練された食感が得られているのが素晴しいですね。



●『パイナップルのタルトレット』280円  (※内税)

●「グロスオーフェン」
  大阪府箕面市桜井1-1-31  TEL072-723-9151  定休日/毎水曜、木曜(月に2回ほど)  営業時間/10:00~19:0