ロトス洋菓子店(22) 『いちごのタルト(冷蔵)』『いちごのタルト(常温)』

京都、四条烏丸の交差点から南東に5分ほどのところにある「ロトス洋菓子店」さん。伝統的なお菓子の作り方を一から見直し、結果としての美味しさのために必要な作業手順、ルセットを極めようとしているお店です。
木村良一シェフは探究心を緩めることがありません。その一本気な生真面目さがお菓子にも表れていて、素材の持ち味をストレートに表現し切っています。
第18回「3.14=π(パイ)の日 R 」キャンペーンの対象商品はすべて定番の商品です。いずれも心を奪われる逸品ばかり。
本日のブログでは今までにご紹介していなかった2つのタルトをご紹介します。
いずれも主役は苺。同じ『いちごのタルト』で、生(フレッシュさ) vs 焼き(凝縮した濃厚さ)と食べ比べできるのも面白い趣向ですね。


●『いちごのタルト(冷蔵)』  径4.7cm 高さ7cmほど。
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苺が輝く、素敵な姿です。

いつも通りの絶品シュクレ。アーモンドプードル入りのパートシュクレ生地にクレームダマンド。
少しカスタードを絞って、大粒のさちのか(苺はその時季で変わります)を5粒。ナパージュでぴかぴか。
トップにピスタチオペースト入りのクレームシャンティ、キルシュ風味。ピスタチオを1片。

淡いピスタチオ色がきれいですね。
一般によく見掛ける『苺のタルト』だと、生クリームだけを絞るのが大方の相場。何故ピスタチオ? 
シェフ曰く「生クリームだけだと、タルト台の重さに負けてしまうので、重さを出したくて。極論すれば、ピスタチオの味に焦点を当てるのではなく、バランスを取るため」とのこと。

ふむ、たしかに苺ショートのような柔らかな生地の時に“苺と生クリーム”がベストの組合せと感じるんだから、シュクレとダマンドでは重過ぎ。タルト側から云えば、シャンティが軽過ぎというのはよく分かります。重さの話、興味深いですね。

うぅむ、どれ一口。なるほど、ピスタチオ自体はそれほど香りませんが、重さは出ていますね、へ~ぇ。
まさに狙い通り。生クリームと比べると、ずいぶん改善されています。
土台の香ばしい風味と苺の甘酸っぱさが口一杯に広がる快感が存分に味わえます。さぁ春色タルト、食べに行こう!


●『いちごのタルト(常温)』  辺10cm 高さ3cmほど。
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焼きっぱなしの苺のタルト。
毎度のことながら、美味しそうに焼けています。

『いちごの焼きタルト』という菓名でもいいような気がしますが、お店では同じ名前にして、常温・冷蔵と呼んでいるそうですよ。

フィユタージュの2番生地を使用。焼き込んだ苺とフランジパーヌの強さに対抗するには、シュクレでは弱すぎ、そしてブリゼでもまだ少し弱く、2番の強さが必要との判断。
例によって“木村スペシャル”(私たち勝手に命名)= ザラメを側面と底面に貼り付け。甘味のアクセントになっています。
「こんなに美味しいのに誰も真似してくれないですよ~」って、シェフ余裕の笑顔。

空焼きしてフランジパーヌを詰め、苺を埋め込んで焼いています。
フランジパーヌにしたのも、ダマンドだけだとアーモンド香が強過ぎ、苺とアーモンドが主張すぎるので、まろやかにするためなのだとか。

苺、グジュグジュに焼けて味と香りがぎゅっと凝縮されています。たしかに、フィユタージュのザクッパリッとした強さがピッタリ。フランジパーヌのアーモンドも香っていますが、カスタードがすべてを優しく包み込んでいます。
アッ、ほんの時折チャリッとザラメのカラメリゼが。小気味いいリズムだし、この甘さ(ホロ苦さまではなかったです)が苺をより美味しく感じさせていますね。
フランジパーヌの優しい包容力が、焼き込まれて力強くなった苺とフィユタージュの個性をしっかり受け止め、円く収めています。名脇役といったところ。

うんうんうん、美味しいなぁ、シンプルでいながら懐が深いタルト。お見事です。



オープンから7年経って、人気が定着してきたようで夕刻に訪れると品薄状態。ずっと応援してきているので嬉しくもあり、食べられない残念さもちょびっとあり。
いま熱中している本のことを冷静に分析し語る木村さんを見ていると、親戚の甥っ子がいつのまにか立派な大人になっていた、という図を思い浮かべたりして。あははっ。ともあれ喜ばしいことですね。



●『いちごのタルト(冷蔵)』580円  『いちごのタルト(常温)』450円  (※内税)

●「ロトス洋菓子店」
  京都市下京区烏丸通松原上ル因幡堂町699  TEL075-353-2050  定休日/日曜・月曜  営業時間/12:00~19:00