アグレアーブル(京都)(7) 『タルト オ フランボワーズ』『タルト オ フレーズ』

京都・御所南、近年飲食のお店が急速に増え、活況を呈している地域。そのなかでもキャリア・実績が図抜け、一人気を吐いているのが「パティスリー アグレアーブル」さん。パリの大人気店「ジェラール・ミュロ」仕込みの技で素材の魅力を満開にして味わわせてくれます。
第18回「3.14=π(パイ)の日 R 」キャンペーンの対象商品は、すべて定番の商品です。オープン以来ずっと愛されつづけている、こちらの顔ともいうべき絶品パイ菓子です。
さて、本日のブログでは、今までにご紹介していなかった春タルトをご紹介しましょう。


●『タルト オ フランボワーズ』  径8.5cm 高さ6cmほど。
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うわぁ、豪勢! 盛りましたねぇ。
豪快だけど、赤いフランボワーズのまるっこい果実が可愛くて、眼がハートに。

思わず、しっかり数えてしまいました。なんと総数23個。
誰もが数えたくなるとみえて、他のお客さんの時は粒が小さめで28個だったこともあるようです。ひゃあ~!

もちろん、このタルトの魅力、数だけではありませんよ。それはほんの序の口。
いつものアーモンドプードル入りのシュクレ。フランスで習い覚えた空焼きです。その香ばしさと軽快なサクサクッ感。
詰められたフランジパーヌのほっこりとした豊かさ。たっぷりのフランボワーズジュレのキュンとした鋭さ。このジュレがあるからナパージュは無し。

画像そういった土台が核にあって、たっぷりのカスタードでフレッシュなフランボワーズの迸る果汁を受け止めるので、瑞々しさを楽しみつつ、優しい甘酸っぱさに、深い奥行きが感じられるのです。

シンプルだけどタルトの作り方の基本に忠実なことと、山盛りサービスをきっちりとしたバランス感覚で支えているので、美味しさ満開・満載のタルトに仕上がっています。

フランボワーズとタルト台の一体感が素晴しい。果汁のみずみずしさをカスタードのもったり感の中に取り込んで行くあたりが絶妙です。いやぁ、お見事!



●『タルト オ フレーズ』  径7cm 高さ7.8cmほど。
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春爛漫の苺のタルト。
こちらは一転、苺はゆめのか(その時季で変わります)、たっぷりのナパージュで光り輝いています。春の明るい陽光を浴びているかのようですね。

まずは、断面をご覧下さい。
ほぅ、なんて鮮やかな彩りなんでしょう。フランジパーヌの濃い黄色・ピスタチオクリームの黄緑・苺の鮮やかな赤・シャンティの純白。この奇麗な取り合わせ、溜め息ものです。

肝心の味わいも同様に、それぞれの個性が明確に主張しつつ調和の極にあります。
土台のタルトは上記のフランボワーズと同じ、シュクレとフランジパーヌ。その重厚な味わいに、苺のピューレを加えたナパージュでより一層苺感を強めた苺が同格の強さで存在を主張しつつ、協調しあっています。

そこへさらにピスタチオクリーム(ムースリーヌ+ピスタチオペースト+イタメレ)。軽くなめらかに苺に寄り添うのですが、十分な濃度があり、ピスタチオの風味も強く、苺との組合せならではの豊かなコクが感じられるのです。酸味と油脂が一体となってエマルジョンを作っていくかのような、といえば分かりやすいでしょうか。
と同時に、タルト台に対してはた~っぷりのシャンティとともに口の中での流動性を高める働きをして、フレッシュな苺のジューシーさを裏切らない役割も。
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というのも、一般に『苺のタルト』は土台が強過ぎて、苺が主役じゃないことが多く、これだったらタルトではなく苺だけ食べたいよぉと感じることが多いのです。せっかくの苺が泣いています。私たちは敬して遠ざける日々。
が、私たちの先入観を吹っ飛ばすように、ピスタチオクリームの見事な働きですべてが一体になり切っています。素晴しいバランス。流石です。

ふっふっふぁはははっ~、美味しいッ、美味しいです。
タルトと出会った苺が活き活きと春を唱っています。天晴れ、お見事です!




外からちらっと見ただけでは分からないかもしれませんが、フランスのエスプリが息づくお店です。フランス菓子通の方なら頷いてくれるでしょう。
でもご心配なく、ウェルカムな空気が流れているので“おフランス”を知らなくても大丈夫、きっとお気に入りのお菓子が見つかりますよ。

月2回ほどのお休みが基本で、休みがこんなに少ない個人店はほとんどありません。毎年フランスへ行くことを精神の糧とすることで、加藤シェフご夫妻は日頃のハードな仕事ぶりを乗り切っているようです。珍しく先日は静岡の「MOA美術館」に尾形光琳の“紅白梅図屏風”を観るために小旅行をしてきたとか。何か心を震わせるものと触れ合うことでビビッドな制作意欲を保っている、そんな気がしました。



●『タルト オ フランボワーズ』480円  『タルト オ フレーズ』500円  (※内税)

●「パティスリー アグレアーブル」
  京都市中京区夷川通り高倉東入天守町75-7  TEL075-231-9005  定休日/不定休(3月は4日と31日のみ)  営業時間/10:00~20:00