パティスリージャック(6) 『タルトマロン』

福岡の名店「パティスリージャック」さん。本店は大濠公園近くの荒戸。岩田屋近くにカフェ「ソフィアディモンシュ」を新規開店。岩田屋のお店は閉店となりました。
大塚良成シェフの目指すサービスの在り方に向かって、変貌を遂げているということなのでしょう。
福岡に帰省していても忙しく時間がなかなか取れないのですが、それにもめげずに通いたくなります。今回も素敵なタルトに出会いました。


●『タルトマロン』  底径10.5cm 高さ5.3cm 390gほど。
画像
わっ美しい姿のタルト、一目惚れしました。
クランブルの並び方が将棋倒しみたいにきれいに整列しています。

トップに渋皮煮が載っていますが、洋栗のタルトです。
お店でスタッフに構成を訊ねたのですが、残念ながら内容に不案内な人に当たってしまい、ショーカードに書いてあるマロンクリーム2種類の意味がわからないまま。
ふむ、トップに1周くるりと巻いているクリームが明るい色をしているから、本体を埋め尽くしているクリームとの2種ということかな、と予測しながら切り分けてみました。

ムムッ、違う。上のクリームはマーマレードというかオレンジのぺーストというか、ともかくマロンではありません。おや、本体のマロンクリームの中にも黄色いものが薄く敷いてあります。どうやらセミドライのアプリコットを戻したもののよう。
ということはマロンクリームが2種というのはこの詰められているクリームを作る材料のマロンがペーストとピューレを合わせている、というようなことだったのでしょうか、はて?

画像私たちの観察では、パートシュクレ(HPを拝見するとアーモンドプードル入りとありましたが、プレーンな印象でした)の器にケーキクラムを敷き、その上にマロンクリームをたっぷりと。その中にアプリコットを中央に少し。
トップはたくさんのクランブルをきれいに並べ、外側に円くオレンジを絞り、大きな渋皮付きの甘露煮を2個、粉糖で仕上げ。


もぅ箱を開けた時から、ラム酒の芳醇な香りが漂っています。濃厚なマロンを期待して、口へ運ぶと……。
アレレレ~甘酸っぱい! 所謂『タルトマロン』の名前からは想像しない味。
その一瞬の戸惑いの後に、「美味しいなぁ!」思わず言葉が口を衝いて出ました。マロンは十分に濃厚でラム酒とともに豊満な世界を築き上げています。
が、マロンの10分の1程度しかないオレンジとアプリコットがマロンと同等以上に存在を主張。異質のようでいて、この組合せには華やかな響きがあります。明るく賑やかなまとまりがあるのです。

画像マロンに酸味を合わせるという意味では“マロンカシス”がありますが、こちらが陰に引きこもるというか、日陰で咲くようなところあるのに比べて、オレンジアプリコットはとてもご陽気。
表へ飛び出して来る勢いを秘めています。黄色い光を放射しているような。春先のタルトという印象です。

この新奇な組合せが無理矢理感がなく、自然ですんなりと受け入れられるところも見事ですね。


私たちの勝手な考えですが、“カシスが陰でオレンジやアプリコットが陽”だとすると、視覚と味覚に共感覚があるのかな。漢方で食物を陰陽に分類する感じ方も洋の東西を問わない普遍的な真実を言い当てているのかもしれませんね。
ちなみに、サービスを担当してくれたスタッフは、遠来の客であることが分かり、新幹線の室温の高さを心配して保冷剤を入れてくれたり(ボンボンショコラも購入)、「気を付けてお帰りくださいませ」と優しく見送ってくれたのでした。



●『タルトマロン』1620円  (※内税)

●「パティスリージャック」
  福岡市中央区荒戸3-2-1  TEL092-762-7700  定休日/火曜、第1&3月曜  営業時間/10:00~18:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの『ボンボンショコラ』をご紹介しています。