焼き菓子の里(5)『伊勢海老パルミエ』『リンゴとチーズクリームのパイ』『2π+C』

大阪市淀川区、阪急京都線・淡路駅から北東に10分余りのところにある「焼き菓子の里」さん。長年ドイツで修業しマイスターを取得した、凄腕の職人 古井和也さんのお店です。
ドイツ菓子にこだわらず、独自に開拓したネットワークで飛び切りの素材を使いこなし、他店では味わうことの出来ない“古井ワールド”を展開しています。今回の「3.14=π(パイ)の日」キャンペーンのパイも目一杯主張していますよ!


●『伊勢海老パルミエ』 8×5.5cm 厚み0.9cm 35g(2枚)ほど。
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新作です。
しかも、おっ、サレ系のパルミエ! 珍しい。

パルミエといえば甘いというのが通り相場ですが、これは塩味です。
でも、ただ塩だけじゃありません。
普通パイ生地をこねる際、水を使いますが、その水を全量伊勢海老のブイヨン(タマネギ、ニンジン、セロリなども)に置き換えているのです。

ブイヨンで風味付けされた生地でバターを包んで3ツ折り4回。両端からクルクル撒いて小口切り。オーブンでしっかり焼き込んで出来上がり。

なんともシンプルな生地を焼いただけの、スナック菓子。いかにもB級路線ですが、口に含んで吃驚! なんてゴージャスなの!
パリパリッとした硬質な歯触りとともに、伊勢海老の香りがふんだんに香り出します。安っぽいブイヨンキューブの香りなど微塵も無し。しっかり自家製のブイヨンを取っていることが分かりますね。
お菓子の工程は簡略化されていますが、そこへ至るまでの素材作りの労を惜しんでいません。さすがお見事です。

キリッと辛口の日本酒か、サンセールあたりのキレのいい白ワインが欲しくなりますね。大人気で定番化すればいいのになぁ、もっと食べたいなぁ、いいなぁこれ。



●『リンゴとチーズクリームのパイ』  11×5.5cm 高さ3.8cm 90gほど。
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“リンゴとサツマイモ”など最近人気だったパイのシリーズとして、今回新たに登場しました。

生地はバターをスライスして生地の上に適当に間隔を空けて散らし、折り込んで行きます。ラピッドとブリゼの中間的な手法と云えるでしょうか。
伸ばしやすいし、打ち粉の量も減らせ、よく浮く、とお気に入りの様子。

フィリングは、牛乳の代わりに飲むヨーグルトで仕込んだカスタードにクリームチーズを加えたものと甘煮のリンゴ。
優しいコクを持ったクリームに、ほんのり甘酸っぱいリンゴ。大人しいけれど、いい組合せ。素直な美味しさです。
生地も深く焼き込まずにほんわかとしたイメージでフィリングの性格とよく合っています。
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ドイツのパイは白っぽいと言いますが、どこかにしっとり感を残した温和な性格が、このお菓子の基調をなしているようですね。

この大人しいだけに誰にでも受け入れられる優しさは、フランスの強いパイに対するアンチテーゼとしての存在感を主張しているのです。





●『2π+C』  10×3.5cm 高さ3cm 100gほど。
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ん、んん? なんじゃこれ~! 
パ、パイなのでしょうか? 一応パッケージには「π」の文字。
それに、780円とは…大きさの割に高いな、とお思いでしょう。私も初見、「ふーむ、やっちまったな古井さんっ」と叫びそうになりましたが、じつは全然OKなのでした。てへ。

2枚のパイ生地の間にガナッシュを挟み、外側全体もガナッシュで覆った上でパイクラムを張り付けているのです。ほとんどチョコレートの塊だったのです。小さいのに重い。
そう、これはチョコレートのミルフィーユ。パイなのに湿気ることなく日持ちのするお菓子です。

画像商品名は2枚のパイπ+チョコレートC とじつはストレートな内容なのですが、少しひねった感じ。ちょいと数学的です。
シェフが楽しんで作っているのが目に浮かびます、ふふっ。


さて。パイ生地は『りんごとチーズクリーム』と同じですが、1/3の薄さにまで伸ばしピケもしっかり打って浮きを抑えています。
ガナッシュは生クリームにバター、ヴァニラリキュール。この懐かしい香りがいかにもヨーロッパのチョコレートを食べている気分にさせてくれるのです。
ガナッシュに使っているのはダークの55%とメキシコ産の66%にカカオマス。上質なチョコレート感を満喫しつつ甘い誘惑も愉しめるのも嬉しいですね。

画像そして、ガナッシュが塊的な固さからゆ~っくりと溶けて行く口溶け感と、パイ生地のサクサク感の食感の妙、さらに味わいの妙 …… その対比の素晴らしさといったら、もぅもぅもぅ! お互いが相手を支えあっている絶妙のコンビ。

チョコバーのように手に持って齧りつく、なんてもったいない。ナイフで4~5にカットして、一口ずつ優雅に参りましょう。
いゃあ、湿気ない日持ちのするミルフィーユで、こんなに美味しいの初めて。お見事です!



ドイツ菓子マイスターというと堅いイメージですが、古井シェフの精神はいたって自由闊達。次々に面白いアイデアが飛び出してきて毎回楽しませてくれます。これほどワクワク感に満ちたお店も少ないのではないでしょうか。



●『伊勢海老パルミエ(2枚入)』230円  『りんごとチーズクリームのパイ』280円  『2π+C』780円  (※内税)

●「焼き菓子の里」
  大阪市淀川区菅原4-10-35  TEL06-6648-8357  定休日/第1・3日曜&第2・4水曜  営業時間/10:30~19:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらのチョコレートをご紹介しています。