パティスリー イデ(4) 『ミルフィユ ノワゼット』『カネル』

兵庫県尼崎市、阪急神戸線・武庫之荘駅から北西に7、8分のところにある「パティスリー イデ」さん。フランス経験もある井伊秀仁シェフはフランス風のダイナミックな素材の組合せを取り入れながら、繊細な優しさを追究してやみません。力強さと優しさの同居という珍しい成功例をぜひ味わって欲しいお店です。
第18回「3.14=π(パイ)の日 R 」キャンペーンには、昨年好評だった2品に変わって、新たなパイ菓子が登場します。おっと驚くぜ! という出来映え。さぁどうぞ。


●『ミルフィユ ノワゼット』  8×3cm 高さ5.7cmほど。
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ほぅ、端正で奇麗なミルフィーユ。
姿からでも腕の確かさが見て取れます。

パイ生地は中力粉のメルヴェイユと強力粉のイーグルをミックス。四ツ葉の醗酵バターを使ったアンヴェルセタイプ。3ツ折り5回。

ノワゼット(ヘーゼルナッツ)のプラリネの色が食欲をそそられますね。クリームは自家製のプラリネのペーストをムースリーヌに加えたもの。
下の層にはよく焼いたフィヤンティーヌが食感の補助として入っています。


オーッと、ナイフが気持ちよく入りますね。アンヴェルセ生地への期待が高まります。
クリームと一緒に一口パクリ。
サクサクッサワサワ、サラリ~と気持ちよく解れて、スルリと喉へ堕ちて行き …… わぉ、何なのこれ! 
パイ生地の軽やかさと、甘さ控えめのムースリーヌの浮遊感すら覚える口溶けのなめらかさ、その相性は見事というしかないですね。
ほんの少しのフィヤンティーヌで食感を補うというのが頷けるほどに、繊細さの極致にあるパイ生地の食感。

画像プラリネの香りやホロ苦さはほのかで品良く香るレベルにとどめ、トップを飾るヘーゼルナッツのカラメリゼがカリッカリで目覚ましい香ばしさを。まさに画龍点晴、ピシッと決まった感がありますね。

全体としては甘さ控えめで、パイ生地のカラメリゼに甘みの焦点が当たるのも面白い趣向です。
いやぁ、上品で洗練されたミルフィーユ、じつにいいですねぇ。






●『カネル』  サイズいろいろ最大2.3×2.3cm 高さ1.5cmほど。
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cannelle とは、仏語でシナモンのことです。

ミルフィーユに使ったアンヴェルセの余り生地をそのまま焼いたものに、シナモンシュガーをたっぷりまぶしたパイ菓子。

一般にパイ生地は最後まで使いきる始末菓子(生地)ではありますが、そう聞くと「なーんだ残っていたものか」などと思われる方がいるようです。
しかーし、パイの潜在能力を見くびってはいけません。これは見事に再生、いや明らかに“創造的な”お菓子なのですよ。

まず、指で摘んだ瞬間から、その軽さにビックリ! 口に入れて儚いほどの軽さに、二度ビックリ。
生地をこねる段階でビネガーを入れ、あえてグルテンを切り、焼くときも自由に浮かせているので特別に繊細な生地が生まれているのです。得られた食感はただのサクサクだけでなく、ふんわり感を含んだ極上の優しさ、柔らかさ。

画像おまけにシナモンシュガーの清々しさを感じさせるほどに、洗練された甘さ。気品あるほのかな香り。しばし陶然としてしまうほど、は~っ。
正気に戻ると、格別な美味しさを求めて一気呵成に食べてしまいます。

ふむ、凄い、凄すぎる! 
もぅ断言してしまいましょう、これほどまでに繊細なパイは今まで出会ったことがありません。
絶品です、天晴れお見事!




テレビで紹介されたりしても、お店ではほんの小さな告知にとどめて派手な宣伝をしないお店です。淡々とマイペースを貫いています。
つねにお菓子作りに真摯な姿勢で取り組む井伊シェフ。今回のキャンペーン対象商品では、強烈な自己主張をしてきましたね。パイ作りへの自信の表れでしょうね。



●『ミルフィユ ノワゼット』440円  『カネル』200円  (※外税)

●「パティリー イデ」
  兵庫県尼崎市武庫之荘2-23-16  TEL06-6433-1171  定休日/水曜  営業時間/10:00~20:00