ブーランジュリー グルマン(4) 『パン・オ・ショコラ』『マロンパイ』

神戸市東灘区、JR神戸線・摂津本山駅から東南へ5分ほどのところにある「ブーランジュリー グルマン」さん。個々のパンがどうあるべきかについて明確な目標と、それを実現するための技術の追求を精緻なほどに高めている池田匡(たすく)シェフ。お若いにも関わらず、その姿勢は“パンの匠”といっていい人。
ですが、看板商品には魅力的なパイが数種あって、しかも人気商品なので「パイの人です~っ」とにっこり。そういった柔軟さを持ち合わせているところがとても気に入っています。
では、ご自慢のパイをいただきましょう。


●『パン オ ショコラ』  11.1×7.8cm 高さ4cm 50gほど。
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パン・オ・ショコラ、好きです。
時々食べたくなるので、またしても購入(以前には品数が多くてご紹介しておりませんでした)。
今回ちょいと面白い話しを聞きました。

池田シェフによるとパン オ ショコラはチョコレートメーカーのカカオバリー社がチョコバトンを売るために開発した商品なのだとか。パン オ ショコラ1個にバトン2本というのがその時からの決まり事。
チョコを沢山入れた方が美味しいからといって入れ過ぎては別の商品になってしまうのですね。それでこちらではオーソドックスにカカオバリーのバトン2本入。

幼少期4年間ほどパリで暮らしていた池田さん曰く「その頃食べていたものと同じ“パリの味”です」と懐かしそう。
ある日、フランス人のお客さんがやって来て「これだよこれ! これをずっと探していたんだっ」と大喜び。それ以来『パン オ ショコラ』と『クロワッサン』のリピーターになっているとのこと。

画像クロワッサン生地がパリッサクッとして中は引きの強い、フランス産AOP醗酵バターの風味も良く、大甘過ぎない食事向きの味わい。そこへビターチョコが絶妙の配分でおやつらしさを加えてくれています。

うんうん、また食べたくなるのも当然かな。フランス人じゃないけれど、ほほっいいですねぇ、これ。




●『マロンパイ』  径14cm 高さ2.4cm 200gほど。
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池田シェフは「ドンク」時代から『ガレット デ ロワ』を焼いていました。大の得意で、今では通年商品(予約が必要)に。

そして、さらに季節商品のシリーズを追加しようかと計画中。その第一弾が、この『マロンパイ』。

ガレットと同じように仏産小麦粉(中力)を使い、仏産AOPバターを折り込んでいます。
フィリングは下からブリオッシュ生地のちぎったもの、栗の甘煮、カスタードクリーム、マロンクリーム(仏産マロンペースト、アーモンドプードル、水飴、ラム酒)。

食欲をそそる焼き色だなと思っていたら、「もっと奇麗にできるのにぃ~」と少し不満げ。卵黄塗って→粉糖2回→最後は霧吹きと4工程ですが、“もっともっと美しく”ということのようです。
シェフの現状に安易に満足しない気持ちはこんなところにも。プロの心意気を感じます。


画像いざナイフ入刀、おっサクッと軽い食感。
バターにも粉が入っているのかな、ほぼアンヴェルセのように感じられます。焼き戻して食べたので、ますますいい風味。

フィリングはカスタードも入っているので、円やかな印象。オールドジャマイカラムがよく香っています。50度という強烈なお酒で本来強いパンチを持っている。
もちろんアルコールは飛んでいるけれど、香りがよく残っていて、おかげで栗の風味が豊かです。


画像マロンパイは生涯初の挑戦だそうですが、よくある信玄袋というかシューマイ包みの形は避けたかったと断固主張。「パイはパイ、栗は栗でバラバラでしょ」ということで、パイと栗の一体感を目指すこともガレットの形にしてクリア出来たのが誇らしそう。
たしかに、サクッと優しい生地と、優しいマロンクリーム。生地の香りとラムの香り。ともにバランスが取れていて、一体感抜群! 親しみがわくパイです。

秋冬定番のマロンパイ、ゆっくり味わうためにちょうどいい大きさ。カジュアルなパッケージも洒落ています。
一口ごとに深まり往く秋を感じるでしょう。



池田さん、じつはお父さんの仕事の関係で0歳から4歳までパリ暮らし。しっかりその当時の記憶をとどめていると宣う。そんな小さい時のことと疑問を挟んだけれど、風景が違うので、パリでの出来事か、神戸へ戻って来てからのことなのかはっきりと区別がついているという。
食に限って云えば、向こうではレストランには子供は連れて行ってもらえないので、カフェやピザ屋さん、クレープリー、アイスクリームの屋台、カスクート屋さんなどが中心になりますが、それでも洋梨がフランベされて出て来るようなフランスならではのシーンが蘇って来ると懐かしそうに話してくれました。
曾祖母がイギリス人なので元々、たとえばクリスマスには定番の七面鳥を食べるような本場洋食系の家庭だったそうです。さらにパリから帰ると、お母さんのレパートリーにフランス料理が当然のように加わったのでした。
幼時から洋風の食体験を重ねて来ているだけに、パンとフランスのお菓子にはどうしても深くこだわってしまうようです。一つひとつの味わいに納得感があるのも、そんな背景があるからでしょうね。その積み重ねが彼の個性を輝かせることでしょう。



●『パン オ ショコラ』240円  『マロンパイ』900円  (※外税)

●「ブーランジュリー グルマン」
  神戸市東灘区本山中町3-6-23  TEL078-262-1025  定休日/月曜・火曜  営業時間/8:30~18:00(水~土) 8:30~14:00(日・祝)