ビガロー(2) 『ミルフィーユ』『パルミエ』『バトンフロマージュ』

全国に名を知られた桜新町、サザエさん通りにある「パティスリー ビガロー」さん。
今回の旅のテーマを与えてくれたお店です。石井亮シェフはオペラやモンブランなどの伝統菓子には明確に自己主張を加えているのに『ルーローモカ』は「エスワイル」「レピドール」と受け継がれているルセットをそのまま踏襲しているというのがとても気になったのです。
帰って調べた話と、受け継いでいるお店のそれぞれのモカロールについては特集でお伝えした通り。
腕自慢、味自慢の石井シェフのモットーは“品の良さ”。シェフの真摯な仕事ぶりと味に惚れ込んでいる奥様のめぐみさんによると、“品がないね”というのが一番のけなし言葉だそうです。
個性を出しながら節度を守ることに「ビガロー」の生命線があるようです。


●『ミルフィーユ』  8.5×3.2cm 高さ6cmほど。
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ほぅ! 見るからによく焼き込まれています。

パイ生地の層は1.5cmほども。なんともパイ生地の存在感の強いミルフィーユです。
粉はVIRON粉100%、カルピス醗酵バター。最高の素材を使ったパイ生地は切るときから華々しく香っています。

サクッと小気味良い響きを残してサラサラ~と気持ちよく解れて行きます。
折りはアンヴェルセなのでしょう。芯の芯まで完全に焼き込まれているのにまったく苦みがありません。難しい粉なので毎回見極めが大変なようです。

バターと粉を焼き込んだ香りをじっくりと抽き出し、力強い味わいを満足させつつエレガントさを保っているのです。荒々しさの際までギリギリ攻め寄せながら、寸前で止まる冷静な判断力と、それを強いる趣味の良さ。まさに“品”の問題。

クリームもこの存在感に負けませんが、あくまで生地を美味しく食べさせるためのものという位置づけで、しゃしゃり出て来ることがありません。素晴らしいバランス。
トップのたっぷりと撒かれた粉糖といい、甘味の量、クリームの量が計算されつくしています。お見事!!!



●『パルミエ』  8.6×6.5cm 厚み1.2cm 20gほど。(※雑に持ち運びしたせいか左側欠けてしまいました、乞う御寛容)
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同じVIRON粉を使った生地ですが、巻き込んでいるにもかかわらず、比較的自由に浮かせようとしています。

押さえ込んでいないので、どこかふっくらサワサワと繊細な食感。
焼き込みも深くないので香りもソフトです。

ん、どこからかメープルシュガーの香りが。
甘い風味がよく似合っています。







●『バトンフロマージュ(23本入)』 7.6cm 0.8×0.8cm 合計60~70gほど。
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ブリゼ生地でしょうか、かなり押しつぶされサブレのようになっていますが、かすかに層を残しています。
チーズの他に、ガーリック、黒胡椒、パプリカも。

ザクッ、ボリッという食感とともに、とてもコクの強い味わいが広がります。チーズはエダムなのかな、旨味だけでなく比較的甘味の強いタイプです。
黒胡椒の時折の刺激が癖になります。ガーリックも後を引きますから、食べ始めると止まりません。

1本1本は小さめですが、パンチあります、ありすぎます、 ひゃあぁ~! 
途中で慌てて赤ワインを開けました。それほどワインにピッタリ。いやはや、いいですねぇ。


画像3種のパイ菓子がそれぞれまったく異なる食感。
着地点を明確に見極め、生地の扱い、温度、時間がピンポイントで見定められているのでしょう。かくあるべきという範囲にピタリと収めて、なおかつ一般的なイメージ以上の味わいを抽き出して、食べ手の目を見開かせる。とんでもない名人がいたものです。

この日は専門学校で朝教えて戻って来たばかりで作業の遅れを取り戻したいはずなのに、ニコニコと丁寧にご挨拶してくれる人柄の良さも併せもっていて、美味しさだけでなく、もてなしの心まで味わわせてくれるお店です(ということで詳しく聞くのは遠慮しましたので間違っていたらごめんなさい)。うんうん、しあわせ!



●『ミルフィーユ』540円  『パルミエ』220円  『バトンフロマージュ』550円  (※内税)

●「パティスリー ビガロー」
  東京都世田谷区桜新町1-15-22  TEL03-6804-4184  定休日/水曜 営業時間/9:00~19:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらのケーキ&焼菓子をご紹介しています。