ストレル(1) 『ミラベル』『ポムダマンド』

東京の下町、千駄木が誇る老舗名店「ストレル」(1958年創業)さん。前回(2018年3月)缶クッキーを購入したのですが、その時に気になっていた『ミラベルのタルト』を食べにやってきました。
お話しした際に「エスワイル」の名が出ていたのも確認したかったところです(「パイ日和おまけ」をご参照ください)。
が、もちろんそれだけではありません。御年90歳のお母様がお店に立っておられるのです。にこにこと優しい笑顔にまた会いたくなったというのが、一番の動機のような気がします。


●『ミラベル』  辺10cm 高さ2.5cmほど。
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ミラベルはヨーロッパではポピュラーな果物、辞書では黄色い小さなプラムと書かれています。

若かりし頃、誰だったかの小説の中に出て来て、美しい響きに惹かれ手に入らないだけに憧れを抱いたものです。こちらでは“小梅のような”と説明しています。

塩気控えめのブリゼに皮付きのクレームダマンド、ミラベルを並べて焼き込み、ナパージュを塗って完成。

わぁ~ねっとりしたミラベルの果実感、たっぷり! 
ミラベルはもともと酸っぱくないものだそうです。優しい甘さとほのかな酸味が、土台と溶け合って温和だけど独自の世界を作り上げています。
品のいい大人しい味わいですが、ブリゼ、ダマンド、ミラベルの諧調に惹きつけられるタルトです。


●『ポムダマンド』  辺11cm 高さ3.2cmほど。
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こちらもブリゼにダマンド、林檎の甘煮、ラムレーズンと林檎のアリュメットを載せ、シナモンを振って焼き込んでいます。

林檎の優しい甘酸っぱさを活かそうとしたタルト。
たっぷりのダマンドがふっくらとした基盤を築いていて、ラムレーズンも一度水に晒してアルコールの刺激を取り去ったものに感じました。シナモンもほんのり。

優しい慈しみの味わいが作り上げられています。昨今の強い刺激のお菓子と比べると穏やかすぎるくらい。
ですが、不思議に満足感があるのです。この場には美味しい空気が流れているようです。



前回の『缶クッキー』の感想、といっても「美味しかったです。それぞれ一つずつ個性があって…」レベルのごくごく簡単で平凡な内容をお話しすると、お母様と娘さんは初めて褒めてもらったかのような初々しい笑顔に、気持ちのこもった「ありがとうございます」、そしてお辞儀。もう何百回、何千回聞かされてきたはずなのに、この応対。ますます好きになってしまいました。

ケーキの下に敷く紙がロゴ&イラスト入りで、ゆかしいですね。歴史のあるお店だけにファンも多く、壁に著名人の色紙が飾られています。娘さん(創業者の長谷川崇志さんは92歳でご健在ですが、腰を痛めて療養中)は「どこの駅からも遠くて」と謙遜口調ですが、それを押してでも人が訪ねて来るお店です。



●『ミラベル』360円  『ポムダマンド』360円 『アイスミルクティー』2杯@450円/ケーキセットで50円引き(※内税)

●「フランス菓子 ストレル」
  東京都文京区千駄木5-50-4  TEL03-3828-0615  定休日/木曜・日曜  営業時間/10:00~18:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの『ルロードモカ』をご紹介しています。