クレーヴ(2) 『ベーコンと春野菜たちのキッシュ』

兵庫県西宮市、阪急甲陽線・苦楽園口駅の西側の本通を100mほど進んで右に曲がったところにある「クレーヴ CREVE 」さん。シェフ小川雅世さんがお一人で、チーズケーキ・焼き菓子・キッシュなどを作っています。
ラテン語・フランス語の想像と夢を繋ぎ合わせた造語だと言うことは初回にお伝えしました。店名の一文字ずつを頭文字にした折句も作っているのでご紹介しましょう。
Creative Refined Excellent Victory Everyone's happiness!! 
言葉遊びの世界だとはいえ、小川さんの心意気が図らずも表れています。

このお店ほど元気を貰って笑顔で帰るお店は、稀。
シェフは若々しい人ですが、すでに二人の子供が巣立っている人生キャリアの豊かな人。来る客来る客に話し掛け、あっという間に友達にしてしまいます。一人一人姿が見えなくなるまでお見送り。毎回ですよ。
それに、話だけに来店するお客さんが寛げるようにと椅子を用意したりも。そうかと思えば逆に、職業病の腰痛を心配して「これ履きぃ」と靴を貰ったり、毎日何かしらの差し入れがあったり、お店の前を通る人は挨拶してくれたり。彼女曰く「なーんか愛の手差しのばされて、ばっかり。あぶなっかしく見えるのかなぁ」。
一人で切り盛りする小さなお店だからこそのホットな交流。どうです、幸せを貰えるでしょう?

私たちも小川さんから「もう友達だから」宣言。この歳になって友達ができるなんて、なんだか嬉しいよ。
彼女は、♪友達100人できるかな~♪という歌の返歌に、即イエース!と答えることができるはず。
だから、大人気で目の回るほどの大忙し。お客さんは来るわ(そしてお喋べりタイム)、予約のバースディケーキやパーティ用のお菓子にキッシュづくりの日々。

第17回「3.14=π(パイ)の日 R」キャンペーンへの参加も「お客さん押し掛けへんやろね、これ。そんなんできへんよん」と笑いのめして決めてくれました。「えぇえぇぜーんぜん盛り上がらないキャンペーンなんですぅ」と、こちとらも平気の平左であります。
でもさ、パイローラーもなく手折りというのに、頑張ってくれています。サンキュです!


●『ベーコンと春野菜たちのキッシュ』(カット) 辺10cm 高さ3cm 110gほど。
画像
わぉ! 明るく賑やか、元気印のキッシュです。

ほぼ毎日キッシュを焼いています。旬の新鮮な食材で日替わりのキッシュ。
先日も予約で100カット作ったそうで、月に1回くらいは大口注文が入る人気アイテムなのです。

キャンペーンということで、3月8日以降、月内は“春を食べる”というテーマで、春野菜をたっぷり盛り込んだキッシュということになりました。

小川さんは手抜きや誤摩化しを嫌う厳密なところがありますが、パティシエとは違い、元料理人だけあって手の感覚、舌の感覚に忠実なライブ感覚に溢れた作り方。
パイ生地にしても、「3ツ折は3ツ折やけど、何回折ってるかな。みんなそんなにきっちり回数数えてはんのぉ」と暢気な態度。いやあ、これは教科書のように1回、2回と指の跡を付けるまでもなく、手の感覚で生地の状態が分かるだろう、数えるまでもない、と言いたいのかもしれませんね。ハハハ、本当にアバウトだったりして~。

が、しかーし。焼き上がりの生地は繊細極まりないんだよなぁ。どうも不思議なことがいっぱい起こりそうなお店なので、“クレーヴの7不思議”の第一弾として、「アバウトなのに繊細なパイ生地」を挙げておきましょう。
分かっているのは薄力粉と強力粉を量らずに適当に混ぜ、カルピス醗酵バターと塩を少し加え、捏ねに捏ねて、カルピスバターを折り込むこと。回数不明。

画像アパレイユは卵2個に生クリーム多め、牛乳、出汁醤油、塩胡椒、パルメザンチーズ。
この日の具材は、ニンニクとオリーブオイルでベーコンを炒めたところに、新玉ネギ、シメジ、アスパラガス、菜の花、春キャベツ、プチトマト。豪勢だよ、盛りだくさんだね。

パイ生地を器に敷き込んだところに具材を並べ、アパレイユを流し、最後に中央に卵を割り入れビスマルク風に。もちろん途中で味見、そしてじっくりと焼き上げています。

私たちはホールの1/8カットを1ピースずつそのままで、そして2ピースずつ焼き戻して(上下にアルミホイルで覆い、オーブントースターで6分。4、5分冷ますと、側の部分がサックリ! イキイキした食感に)食べました。あんまり美味しいので、一度の夕食に一人3ピース、翌朝残りの1ピースという猛烈食欲!


画像だいたい、持って帰るときから美味しい香りが上がってきて、お腹が鳴っていたという、前奏曲付き。
パルメザンやニンニクのコク、生クリームの濃厚さなどのそそる度に加えて、出汁醤油が極っているんだなあ。もちろんベーコンの味も深いし、キャベツのサクッに、玉ネギ・シメジ・トマトと旨味成分満載。

旨味たっぷりなんだけど、出汁のせいか、どこか茶碗蒸しを思わせるさっぱり感もあり、飽きがこない。だからいっぺんに3ピースもぺろり。
さすが、惣菜としての完成度が高いですね。お見事!



あっご近所の方だったら、大皿を持ってきたら「リボンとか野菜やらでちょっとおめかししますよ」とのこと。お客さんを喜ばせるのが大好きな彼女らしいな。
これだけ誉めると厭がるかもしれません、うーむ。「ちゃらんぽらんに書いてね」だって、「キャラ8割、味2割の店なんだから」と宣う。こういう謙虚なところも可愛いのですが、本当に誉めずにいられない美味しさなのです。



●『ベーコンと春野菜たちのキッシュ』350円  2800円(ホール要予約/箱代100円)  (※内税)

●「クレーヴ CREVE」
  兵庫県西宮市南越木岩町11-22  TEL0798-74-7820  定休日/日曜・月曜・火曜(でも大体仕込みをしているから、どうぞ)  営業時間/10:00~20:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの『ガトーショコラ』をご紹介しています。