発見! プレフェレ(1) 『ミルフィーユ ポム』『タルトフロマージュ』『キャフェキャラメル』

神戸市灘区、阪急神戸線・六甲駅から南西に10分余り、山手幹線沿いにあるのが「パティスリー プレフェレ PREFERE (お気に入り)」さん。2016年4月オープン。
春にたまたま御影から六甲まで歩くことがあって、お店を見付けたのですが、その時は所用があって購入できず、半年後の今、ようやく再訪が叶いました。
シェフは児玉浩一(ひろかず)さん。1980年生まれ。元々、料理好きで学生時代から飲食のバイトをしており、専門学校の後に、町のケーキ屋さん、レストラン、ブライダル関係など、さまざまな職場で実践的に基本技術を身につけるかたわら、独自にお菓子の研究をつづけ、ポケットを増やしてきたようです。ヒントは好きなお酒や料理から得ることが多いとか。
では、いただきましょう。


●『ミルフィーユ ポム』 3×11cm 高さ4.7cmほど。
画像
ほぅ、スタイリッシュなミルフィーユ。

しかも、旬の林檎を使ったミルフィーユです。わっ嬉しい、珍しいな。

強力が多めのグルテンをしっかり出した強めのパイ生地(3つ折り6回、片面カラメリゼ)と聞いたのですが、児玉シェフの趣味はケーキの姿からも分かるように、かなり繊細な方向にシフトしているようです。
というのも、このパイ生地、うっかり食べればアンヴェルセかと思うほどサクサクと軽いのです。

間に挟んでいるのはディプロマットとタタン風の林檎。
焼き込んだ林檎を薄くシート状に並べて、個別サイズに切り分けて、パイ生地、林檎、ディプロマットと重ねています。

画像林檎が強く焼き込まれている訳ではないのですが、味わいが深く、パイ生地を軽く感じさせているかもしれません。
クリームは林檎をより豊かに感じさせる役割のようで、やや控えめ。

分厚い生地とクリームを競わせる濃厚なミルフィーユが主流になっている今、わずか5mmほどの繊細な生地で、これだけ印象的なミルフィーユを作り出すとは! 

甘酸っぱく瑞々しい林檎に、パイ生地、そしてそっとディプロマット。素直に美味しく、きれいなハーモニー。
うんうん、いいですねぇ。お見事です。



●『タルトフロマージュ』  辺8.5cm 高さ6cmほど。
画像
シェフも「タルトと捉えると少し物足りないかも」というように、これはそもそもチーズケーキであって、底生地のパートシュクレはあくまで、土台の役目。

でも、薄く敷き込んだフォンサージュの腕を見るだけで巧者だということが分かりますね。

チーズケーキは下がクリームチーズとカマンベールを使ったベイクド。
上がクリームチーズのレア。生クリーム、塩、レモンが入っています。トップにシャンティ。

先にも言ったようにシェフの趣味は、繊細。ベイクドはカマンベールも使って風味を強く、といいますが、十分にノーマル範囲。ウォッシュタイプやブルーチーズが好きというチーズマニアにはやや物足りないかもしれませんが、清潔で品のいい味わいの路線としてはよく出来ています。

レアチーズ単独で食べるとやや塩気を強く感じるけれど、シャンティと会わせるとピタリと決まっています。




●『キャフェキャラメル』  径7cm 高さ4.3cmほど。
画像
一番人気の品だそうです。

何を隠そう、私たちも気に入りました。
これだけ強烈な味わいが人気とは、うーむ六甲も進んでいますね。さすがケーキ激戦区。

強烈と云いましたが、シェフの繊細路線を裏切るものではないのです。その辺のことは追々。

パートシュクレを空焼きし、カラメルソース、クルミのカラメリゼ、ミルクチョコのガナッシュ、チョコスポンジを敷いて、コーヒームース。
ムースの中にもスポンジ(コーヒーをアンビベ? ムースから滲みた?)、シュクレの縁に沿ってカカオニブ。
トップにはコーヒー豆とチョコプラック、スウィートとミルク。

基本的に“アンブルノワ”の組合せが芯にあるので、美味しくって当然。
が、食べた時の新鮮な驚きは特筆に値します。カラメリゼしたクルミが景気良く弾け、苦さと芳ばしさが迸り出るのです。そして時折、ニブのアクセント。 ワォ! 圧倒されますね。

ともかくカラメリゼもカラメルソースもよく焦がしていて、ほろ苦。その苦さは珈琲に勝っているほど。だけど、それがけしてキツク感じないのですよ。
ミルクチョコガナッシュの甘さ、カラメルソースの苦さだけでない甘さ、くるみのカラメリゼの甘さが、優しさも兼ね備えた味わいを築いているのです。柔らかな味わいの珈琲ムースなのも、驚嘆しつつ食べやすさを感じる所以でしょう。
強さだけを競うのではなく、人を寛がせる部分を見付けているのがいいですね。

『キャフェキャラメル』は、独自性の主張と美味しいお菓子という2つの欲求がうまく調和しています。このバランス感覚こそ、児玉シェフの繊細さ、作り出したお菓子が本当に美味しいかと自問する理性の証明だと云えるのでないでしょうか。お見事です。



春にショーケースを見た時の直感は正しかったようです。
最近は皆とても器用になって、奇麗なケーキを作るようになっていますが、こちらのケーキはその域を超えて美しさのレベルに達していると思いました。



●『ミルフィーユポム』500円  『タルトフロマージュ』450円  『キャフェキャラメル』470円  (※外税)

●「パティスリー プレフェレ PREFERE 」
  神戸市灘区高徳町3-1-9  TEL078-806-8310  定休日/月曜、月2回不定休  営業時間/9:30~20:00