ロトス洋菓子店(20) 『グレープフルーツのタルト』『マロンパイ』『タルトタタン』
京都。四条烏丸の交差点から南東に5分ほどのところにある「ロトス洋菓子店」さん。当ブログ常連の久々の登場です。
パティスリーでも季節感が重視されるようになってきていますが、こちらほどカレンダーをめくるように商品(果物)が移り変る店も少ないのではないでしょうか。足繁く通って、季節の味覚のアルバムを完成させてみてはいかがでしょう。
●『グレープフルーツのタルト』 径7cm 高さ4.3cmほど。

マーガレットのような可憐な姿。
いつものアーモンドプードル入りのシュクレを空焼き。
そこへレモンカードをつくるときのようなアパレイユにグレープフルーツの果汁と果肉(ごろごろ入っています)を加えて器に流して焼きあげています。
中央にバタークリームベースのムースリーヌ。
周囲にイタリアンメレンゲを絞り、ほんの少し焦がし、糸のように細いグレープフルーツのゼストを散らしています。
ザクッと小気味のいい食感とともに、クリームの酸味とほろ苦いジュースが迸り出ます。
わぁ、快~感、この果実感、なにこれ!
閉じ込めて焼いているというのに、みずみずしさにびっくり。そして、ほろ苦く、爽やか。グレープフルーツの魅力が全開。
いつものことながら、果実の魅力を抽き出し、より一層美味しくする手腕には感心させられますね。
イタメレは甘さ控えめでくどさにいたらず、食感の軽妙さと甘味の満足感を助けています。ムースリーヌも全体の旨味をグレードアップ。
どこにも過不足のない、宮大工の仕事のように精密にピタリと収まった美味しさ。タルト名人ならではの美味しさです。うんうん、お見事!
●『マロンパイ』 8×8cm 高さ4.5cmほど。

以前にもご紹介したことがあります。
前回の紹介文は形の新奇さに捕われ過ぎて、マロンパイとしての美味しさにストレートに迫れていなかったようです。猛省。
ということで、心を入れ替えてまっさらな気持ちでいただきましょう。
グラニュー糖とザラメをまぶしたパイ生地をクイニーアマンのようにセルクルに敷き込んで、軽いラム酒風味のクレームダマンドと渋皮煮を詰めています。パイ生地を閉じる時に、わざとセルクルから外へ四角くはみ出るように畳むやり方。
前回との違いは、栗が1.5個から2個と増えたこと、ラム酒で香り付けしたダマンドの量を減らしたことだそうです。
帽子のような珍しい形のマロンパイですが、中身はいたってオーソドックス。
よく見かける信玄袋型との違いは、焼き上がりにアプリコットジャムとグラスロワイヤルをかけるのではなく、カラメリゼだけでシンプルに栗の味わいを押し立てているところ。
渋皮煮のほっくりとした甘味をダマンドとラムの香りで輪郭が広がったような印象を作り出し、栗のタンニンの渋み(かすかなもので旨味のうち)をパイの芳ばしさとカラメルのほろ苦さがより大きな美味しさの核に育てているようです。
はみ出している“耳”の部分の生地の美味しさ(カラメリゼされず、砂糖がそのまま残っている)も目先が変わっていいですね。
結果的に、人がイメージするマロンパイの範疇に留まりながら、栗の魅力をストレートに味わわせてくれる最右翼のパイを完成させたと云えるでしょう。やるねぇ!
●『タルトタタン』 辺10.5cm 高さ3.8cmほど。

初秋から始まる、大好評の『モンブラン』の次は、秋の深まりとともにこの『タルトタタン』。
いずれも、こちらの名物です。
何度もご紹介していますので簡略に。これまた絶品なのですよ。
さて。前回に比べて容器の直系が3cmほど大きくなり、ややお値段も上がりました。ということは1台で8個使っていた林檎の数が多くなったということですね。1回の仕込み量を多くできるようにという作業上の理由だそうです。
とはいえ、林檎の魅力の充満したタタンをより一層満喫できるというのは嬉しいですね。
じっくりとトータルで 5、6時間ほどオーブンに置いて、旨味、酸味、渋みを凝縮し切っていること、皮や芯も一緒に炊き込んで香り、タンニン、ペクチンもすべて使い切り、紅玉の旨味を深めているということに尽きるでしょう。
この凝縮感というか紅玉を深化させているというか…、そこへ香り高いフィユタージュ(2番)が一層華やぎを添えていて、美味しいッ!
ねっちりとした食感のところまで焼き込んでいるのですが、溢れ出たジュースにはペクチンが含まれているので、全体に流しかけるとジュレのように覆ってくれ、全体に潤いを保ちます。おかげでジューシーさも湛えています。
とろとろねっとりとした重みのある口当たりと流れ出るジュース。相反する魅力は、素材の旨味を正攻法に追い求めることで手に入れられたもの。
昔、落語で“二斗を負うもの一斗をこぼす”という洒落がありましたが、二兎を追いつつ、林檎の旨味を一滴余さず詰め込むことに成功した、まさに究極のタタン! フルボディのワインもかくや、という深い色。
はーっ、何度食べても心奪われてしまうのです。
木村良一シェフ曰く「秋はフルーツのタンニンの旨味を味わう季節」。なるほど栗も林檎も葡萄も柿もタンニンの魅力を含んでいますね。へぇそういうアプローチ、面白い。
果実の美味しさの核心を突き詰めて考えているからこそ、人を感動させる美味しさに到達できるのですね。その研究心や天晴!
●『グレープフルーツのタルト』560円 『マロンパイ』550円 『タルトタタン』600円 (※内税)
●「ロトス洋菓子店」
京都市下京区烏丸通松原上ル因幡堂町699 TEL075-353-2050 定休日/月曜・火曜 営業時間/12:00~19:00
※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの生ケーキをご紹介しています。
パティスリーでも季節感が重視されるようになってきていますが、こちらほどカレンダーをめくるように商品(果物)が移り変る店も少ないのではないでしょうか。足繁く通って、季節の味覚のアルバムを完成させてみてはいかがでしょう。
●『グレープフルーツのタルト』 径7cm 高さ4.3cmほど。

マーガレットのような可憐な姿。
いつものアーモンドプードル入りのシュクレを空焼き。
そこへレモンカードをつくるときのようなアパレイユにグレープフルーツの果汁と果肉(ごろごろ入っています)を加えて器に流して焼きあげています。
中央にバタークリームベースのムースリーヌ。
周囲にイタリアンメレンゲを絞り、ほんの少し焦がし、糸のように細いグレープフルーツのゼストを散らしています。
ザクッと小気味のいい食感とともに、クリームの酸味とほろ苦いジュースが迸り出ます。
わぁ、快~感、この果実感、なにこれ!
閉じ込めて焼いているというのに、みずみずしさにびっくり。そして、ほろ苦く、爽やか。グレープフルーツの魅力が全開。
いつものことながら、果実の魅力を抽き出し、より一層美味しくする手腕には感心させられますね。
イタメレは甘さ控えめでくどさにいたらず、食感の軽妙さと甘味の満足感を助けています。ムースリーヌも全体の旨味をグレードアップ。
どこにも過不足のない、宮大工の仕事のように精密にピタリと収まった美味しさ。タルト名人ならではの美味しさです。うんうん、お見事!
●『マロンパイ』 8×8cm 高さ4.5cmほど。

以前にもご紹介したことがあります。
前回の紹介文は形の新奇さに捕われ過ぎて、マロンパイとしての美味しさにストレートに迫れていなかったようです。猛省。
ということで、心を入れ替えてまっさらな気持ちでいただきましょう。
グラニュー糖とザラメをまぶしたパイ生地をクイニーアマンのようにセルクルに敷き込んで、軽いラム酒風味のクレームダマンドと渋皮煮を詰めています。パイ生地を閉じる時に、わざとセルクルから外へ四角くはみ出るように畳むやり方。
前回との違いは、栗が1.5個から2個と増えたこと、ラム酒で香り付けしたダマンドの量を減らしたことだそうです。
帽子のような珍しい形のマロンパイですが、中身はいたってオーソドックス。
よく見かける信玄袋型との違いは、焼き上がりにアプリコットジャムとグラスロワイヤルをかけるのではなく、カラメリゼだけでシンプルに栗の味わいを押し立てているところ。
渋皮煮のほっくりとした甘味をダマンドとラムの香りで輪郭が広がったような印象を作り出し、栗のタンニンの渋み(かすかなもので旨味のうち)をパイの芳ばしさとカラメルのほろ苦さがより大きな美味しさの核に育てているようです。
はみ出している“耳”の部分の生地の美味しさ(カラメリゼされず、砂糖がそのまま残っている)も目先が変わっていいですね。
結果的に、人がイメージするマロンパイの範疇に留まりながら、栗の魅力をストレートに味わわせてくれる最右翼のパイを完成させたと云えるでしょう。やるねぇ!
●『タルトタタン』 辺10.5cm 高さ3.8cmほど。

初秋から始まる、大好評の『モンブラン』の次は、秋の深まりとともにこの『タルトタタン』。
いずれも、こちらの名物です。
何度もご紹介していますので簡略に。これまた絶品なのですよ。
さて。前回に比べて容器の直系が3cmほど大きくなり、ややお値段も上がりました。ということは1台で8個使っていた林檎の数が多くなったということですね。1回の仕込み量を多くできるようにという作業上の理由だそうです。
とはいえ、林檎の魅力の充満したタタンをより一層満喫できるというのは嬉しいですね。
じっくりとトータルで 5、6時間ほどオーブンに置いて、旨味、酸味、渋みを凝縮し切っていること、皮や芯も一緒に炊き込んで香り、タンニン、ペクチンもすべて使い切り、紅玉の旨味を深めているということに尽きるでしょう。
この凝縮感というか紅玉を深化させているというか…、そこへ香り高いフィユタージュ(2番)が一層華やぎを添えていて、美味しいッ!
ねっちりとした食感のところまで焼き込んでいるのですが、溢れ出たジュースにはペクチンが含まれているので、全体に流しかけるとジュレのように覆ってくれ、全体に潤いを保ちます。おかげでジューシーさも湛えています。
とろとろねっとりとした重みのある口当たりと流れ出るジュース。相反する魅力は、素材の旨味を正攻法に追い求めることで手に入れられたもの。
昔、落語で“二斗を負うもの一斗をこぼす”という洒落がありましたが、二兎を追いつつ、林檎の旨味を一滴余さず詰め込むことに成功した、まさに究極のタタン! フルボディのワインもかくや、という深い色。
はーっ、何度食べても心奪われてしまうのです。
木村良一シェフ曰く「秋はフルーツのタンニンの旨味を味わう季節」。なるほど栗も林檎も葡萄も柿もタンニンの魅力を含んでいますね。へぇそういうアプローチ、面白い。
果実の美味しさの核心を突き詰めて考えているからこそ、人を感動させる美味しさに到達できるのですね。その研究心や天晴!
●『グレープフルーツのタルト』560円 『マロンパイ』550円 『タルトタタン』600円 (※内税)
●「ロトス洋菓子店」
京都市下京区烏丸通松原上ル因幡堂町699 TEL075-353-2050 定休日/月曜・火曜 営業時間/12:00~19:00
※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの生ケーキをご紹介しています。