焼き菓子の里(2) 『タルトタタン』『リンツァートルテ』

大阪市東淀川区、阪急京都線・淡路駅から北東へ7、8分のところに「焼き菓子の里」さんがあります。周辺は準工業地帯のようなところですが、小さなオアシスが出来た趣きですね。
オーナーシェフの古井和也さんはドイツ菓子のマイスターの資格を持つ名手ですが、ほかにも幅広い飲食の体験があり、ドイツ菓子に収まり切らない大きさを持つ人。一つひとつのお菓子に、食感や風味に対する強いこだわりが込められています。それが煩くは感じられず、素直な美味しさに昇華しているところが名手の証ですね。


●『タルトタタン』  径9cm 高さ3.5cmほど。
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わっ、安い。
タタンで300円台は快挙(ほかに例がない訳ではないですけどね)!

思わず価格に反応してしまいましたが、価格抜きにしてもどうしてもご紹介したいタタンです。

林檎は紅玉。最初は長野産を使っていたそうですが、今は甘味も加味された山形産にしているそうです。
カラメルソテーして低温で1時間焼き込み。
珍しくパイ生地ではなくシュクレを合わせています。周囲にアーモンドスライス。
このシュクレ、手に持つだけで崩れてしまいそうなほど、危ういくらい脆いサクサク感。

淡い食感と同時に襲って来るのが、トロトロ~と流れ出すような林檎のなめらかさ。
ほおっ、舌で潰れるほどの柔らかさ。うんうん、甘酸っぱくて美味しいなぁ。

常温で置かれているため、口馴染みが良く、林檎の濃厚な味わいが瞬時に、口一杯に押し寄せて来るのです。
生地があくまで脇役に徹して、地味なビスケットのような味わいなのも似つかわしい。お見事です。



●『リンツァートルテ』  径6.8cm 高さ1.8cmほど。
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しっかりタルトの形で焼かれていますが、生地は絞るタイプのもの。ややふっくらした食感。
シナモンとナツメグで香り付けされています。

ジャムはフランス産のフランボワーズ。
生地の縁にヘーゼルナッツの細かなダイスを貼付け、粉糖を振っています。

スパイスはほんのりと香るレベルで、ヘーゼルを引き立てています。
ヘーゼルも主張は強くなく、フランボワーズの風味があくまで主役です。ジャムの量も控えめ。

結局は生地のほんのりとした味わいに還元されて行くような、素朴さの中に華がある味わい。楚々として可憐な華のよう、品がありますね。



ドイツ菓子のお店でよく体験することですが、地味の極致をいくような生地がしみじみ美味しい。フランス菓子のようにこれでもかと主張させないからこそ、粉本来の旨味を抽き出しているのでしょうか。
ともあれ。この2品からも分かるように古井シェフの作り出す生地は味わい深いのです。ほっとするような、そして心がゆっくりと満たされて行くような。



●『タルトタタン』320円  『リンツァートルテ』280円  (※内税)

●「焼き菓子の里」
  大阪市東淀川区菅原4-10-35  TEL06-6648-8357  定休日/第1・3日曜&第2・4水曜  営業時間/10:30~19:00

  ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの焼菓子をご紹介しています。