ジョバンニカンパネルラ パリ(3) 『タルトタタン(紅玉&あずさ)』タルトタタン2種食べ比べ

兵庫県芦屋市、阪神電鉄・香櫨園駅と打出駅の中間、線路から300mくらい下がるのかな。西宮との市境の西側のマンションの1階にあるのが「ジョバンニカンパネルラ パリ」さん。アップルパイ専門店です。

さて。今年もまた、タルトタタンの季節がやって来ましたね。大好きなお菓子のひとつです。
こちらでは、夏場に冷やして食べられるお菓子として、季節外れながらスタート。季節ごとに林檎の品種が変わるので、ふじ、さんさ、あかね、と来て、いま紅玉からあずさに変わる所でした。
品種の食べ比べをしてみたかったので、2種類購入。さっそく味わってみましょう。


●『タルトタタン(紅玉)』  径6cm 高さ3.3cmほど。
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櫛形に切り分けた林檎をカルバドスとヴァニラで1日マリネした後、カラメリゼした砂糖とバターで軽くソテーし、ココットに詰めて、カラメル色になるまで1時間から1時間半焼き込み。
その後、一日ほど寝かし、別焼きにしたブリゼ生地と合体させます。
注文後に、表面を改めてカラメリゼ。

では、いただきまーす。
おぉ! なんという華やかで力強い味わいなんでしょう。
美味しいなぁ、私たちの好み、ど真ん中。頭の芯が痺れていくような。

紅玉特有のキュンとした鋭い酸味、凝縮した甘味、よく焦がしたカラメルのほろ苦さ。テリーヌを思わせるねっとりと舌に優しく絡み付く食感。
しばし陶~然。ふぅ、嬉しい甘いため息まで吐いてしまいます。

十分に焼き込んでいるのに、フルーティで瑞々しい。
香りも活き活きと息づいています。カルバドス、バター、ヴァニラ、カラメル、林檎、すべての素材が融合しつつ、一つひとつ個性を放っているのです。輝くばかり。
ブリゼは塩気も薄く、バターの風味も控えめ。それが濃厚な林檎の味わいの口安めになっていて、うーんいいバランス。

隅々まで追求された間然する所のない味わい。絶品です。天晴れ!



●『タルトタタン(あずさ)』   径6cm 高さ3.4cmほど。
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作り方は基本的に同じなのですが、酸味が弱い分レモン果汁を加えることだけが違っています。

よく吟味され、ほぼ同じレベルの酸度に調整されていて、同じ『タルトタタン』としての味の均一性が保たれています。
が、やはり品種の違いが現れるのが、じつに面白いところ。

紅玉にはコクがあり“酸味に奥行き”があるように感じます。
あずさは澄んだ香りで、“ストレートでスッキリ”した味わい。レモンの酸味も直線的な鋭さ。厚みや幅が感じにくい代わりに、全体に“透明感のある奇麗な印象”を抱きました。
うーむ、甲乙付け難いな。

微妙なほんの小さな変化で、印象が変わる。
蕩けるような甘美な食べ比べ、これを幸せと言わずして、何を幸せと言うのだろうか。



熊元広之シェフは徹底した凝り性タイプ。ここまで突き詰めた味わいを導き出すには大変な労力が必要でしょう。
なるほど、アップルパイ専門店の専門性を深め、ホールの予約販売のみにシフトして行くというのも性格から云って無理からぬところがあるようですね。
アイテムを絞って、訴求力を高めることで、話が伝わりやすくなり、全国に名を轟かせる日がやってくるのもそう遠い話ではないような気がします。そんな期待を確信にかえていく美味しさ、です。



●『タルトタタン(紅玉)』410円  『タルトタタン(あずさ)』410円  (※外税)

●「ジョバンニカンパネルラパリ」
  兵庫県芦屋市大東町11-20  TEL0797-75-8741  定休日/月曜・第1火曜  営業時間/10:00~売切れまで
 
 ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの焼菓子をご紹介しています。