パティスリーアキト AKITO(4)『タルトフロマージュ・ソフィー』

神戸、元町3丁目。広い道路を挟んで高架に向かい合っているのが「パティスリー AKITO」さん。ミルクジャムを筆頭に、ジャムのレパートリーが充実しているお店。パティスリーでこれほどの種類を作っているところがあったでしょうか。
そして、ケーキのレパートリーを拡大して行く背景には、いつも人とのつながりが。深く同感したり、新しい世界が拓けたり。田中哲人シェフは人との交わりを大切にして、心温まるケーキを作り出しているのです。
今回もそんな出会いから、取り入れられたレパートリーをご紹介しましょう。


●『タルトフロマージュ・ソフィー』  辺9.7cm 高さ3.3~4cmほど。
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あっ、これこれ。春にシェフからお話を聞いていて、ずっと食べたかったチーズケーキです。

じつは、フランス・アルザスの名店「マーク・ロジェル」のスペシャリテ。

今年(2015年)の3月に催された阪急百貨店の“フランスフェア/アルザス特集”で来日した、オーナー・パティシェールのソフィー・ロジェルさんから「AKITO」店内で直接習い、ルセットを譲り受けたもの。
というのも、こちらでの製造を田中シェフが引き受けていたから(毎年、シェフが引き受けることになっています)。

来日前にメールでやり取りしていたそうですが、やはりもの作りは直接人と接することが肝心で、考え方や細かなニュアンスを修正できるのだといいます。
目で見て、匂いを嗅いで、音を聞いて、手の感覚で体験して、味わって。そう、まさに五感なのですね。


いたってシンプルな作り。
パートシュクレに、北海道産のフロマージュブランをメインにしたアパレイユを流して焼くだけ。アパレイユに加えるものは卵、牛乳、砂糖、メレンゲ、小麦粉。

口へ運べば …… なんて、爽やかなのでしょう。
ほのかに、チーズの酸味と塩気が感じられます。その酸味が爽やかで、清新という言葉が浮かんでくるほど。
この爽やかさを強調しているのがメレンゲ。シュワシュワとかすかに弾ける感じもして、軽快さを演出しているのです。ベイクドタイプのチーズケーキではあるのですが、スフレタイプの良さを取り入れたところが出色。軽やかな口溶けが心地いいですね。

どちらかというと重厚なチーズケーキが好みなのですが、フロマージュブランの魅力が活きた、この軽快さ、清らかさには驚きました。
どこにもあざといところはなく、技巧もしゃしゃり出てはこず、限りなく自然の美味しさ。うーん、いいですねぇ。



11月の頭に売場を少し改装されました。主力商品のジャムの位置が変わったのです。入ってすぐ右側、キッチンの見える窓の手前にズラリと20種余りのジャムが並び、もちろん、試食用の瓶も用意されています。
いゃあ、壮観です。季節限定ものがあったり、シェフが出会ったお気に入りのフルーツが加わることもあり、レパートリーがよく入れ替わっているようですから、毎回、注意して見ないと美味しいものを見逃すことになりそうです。
そうそう、生ケーキにもこっそりジャムを偲ばせて、隠し味にしているケースもあるのですが、瓶入りで販売している商品だけではなく、そのためだけに別に作っているものも(今回「パイ日和おまけ」でご紹介する『エサンス』のオレンジジャムなど)、という徹底した姿勢を貫いています。
ニコニコと優しい雰囲気の田中哲人シェフですが、頑固な職人魂を窺わせますね。



●『タルトフロマージュ ソフィー』400円  (※外税)

●「パティスリー AKITO」
  神戸市中央区元町通3-17-6  TEL078-332-3620  定休日/火曜  営業時間/10:00~19:00

 ※ブログ「パイ日和おまけ」では、こちらの『モンブラン』などの生ケーキをご紹介しています。