パティスリーエメラ(4) 『ミルフォイユ』

奈良市、近鉄奈良線・富雄駅の南3分ほどのところにある「パティスリー&ショコラトリー エメラ」さん。ここのところ集中的に取り上げているので、お馴染み感が生まれてきましたね。
でもまだ、ご紹介する私たちまでがなんだか期待感で胸を躍らせてしまうほど、新鮮なイメージでお菓子と向き合っています。
それほどまでにシェフの藤原尚樹さんがひた向きにお菓子に取り組んでいるということでしょう。


●『ミルフォイユ』   4.2×8.5cm 高さ4.3cmほど。
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おっ? ミルフィーユがいつものと違う! 

とはしゃいでいたら、販売担当の辰見さんがすぐさまショーケースから取り出して見せてくれ、構成も教えてくれたのでした。
みなさん、商品のことをよく理解しているのを小さな驚きとともに嬉しく感じました。さすがエメラさん。

なんでも、3月8日から登場した新作だそうです。
元々の『ミルフィーユ』は所謂ナチュール(フィユタージュ3枚にカスタードのみ)で、フランス菓子を標榜する若手が定番としてよく作っているタイプのもの。
アンヴェルセで、クリームは、カスタードに立てたバターを少し加えた、質の高い、美味しい出来上がりでした。

が、今回シェフは全面的に見直して、違う味わいのミルフィーユを作っています。
前回のものとは、まったく別のケーキです。

生地は普通折り、3つ折り6回、しっかり両面カラメリゼ。3枚だったものを2枚に。
クリームは2種類に。多めの下の層はヴァニラ風味のクレムー。生クリームとカカオバター、ミルクリキュールが入ります。上の層はカスタード。
パイ生地が1枚少なくなった上に、1枚の厚みも薄くなっているし、クリームはえぇこんなにぃと言うほど、た~っぷり。
もしかして、バランスが悪くなっているのでは、という危惧を抱きながら、ドキドキ一口。


画像ザクッと強い食感の直後にサラサラと崩れてくれます。焼き込んだ香り、香ばしい!
と同時に、クレムーの優しい甘さ、ミルクっぽい懐かしさがゆるゆると包み込むように迫ってきます。
もうこの時点でうっとり。

カスタードも相変わらず美味しいのですが、今回は思わず、
わぉミルキー! と声を上げたくなるほどミルク感が上回っています。惚れ惚れ。
それにカカオバターを使った溶け足の速さ。クリーミーな柔らかさだからクレムー。やりましたね。
しかも、たっぷりなのに大甘過ぎないから、最後までもたれることがないのです。

生地はよく焼き込まれ、ほとんど苦みが出る寸前で止められていて、焦げ茶色。うんうん、味わい深いですね。
焼き込み、これだけギリギリの焼き込みを敢行するのは至難の業でしょう。分厚めのカラメリゼを両面に施すことも考え、少し手前のタイミングで後の進み具合を予測した上で出すのですから。修練を必要としますね。
カラメリゼは、食感、香り、甘みのすべてが全体の味わいにはっきり関わっていますから必須。生地の強い主張を丸く収める貢献は大です。
このようにしてパイ生地は少ない比率ながら、たっぷりの独特なクリームの存在感に太刀打ちするために、とことん追いつめて濃厚な味わいを獲得しているのです。

だからこそ、バランスが素晴らしくいいのですねぇ。
夢見るようなミルクの豊かさと優しさ、相対するパイ生地。ただただ、この世界に浸っていたいような……ふう~っ、甘いため息を漏らしてしまいました。

今回のアイデアといい技術といい、お見事です!



藤原シェフはいつも着地点が明確で、技術的な追求もとことんまで追いつめるタイプ。
今回も今まで作っていた『ミルフィーユ』にオリジナリティを感じなくなって、自分の世界を探り出そうとしたものと云えるでしょう。そして確実に自分の世界を切り開くことに成功しています。



●『ミルフォイユ』450円   (※外税)

●「パティスリー&ショコラトリー エメラ」
  奈良市富雄元町2-6-40  TEL0742-44-6006  定休日/水曜  営業時間/11:00~20:00(日祝~19:00)


※ブログ「パイ日和おまけ」にて、こちらのチョコレートやフィナンシェをご紹介しています。