リエルグ(5) 『フランジパーヌレザン』(焼きっぱなしのタルトレット)

大阪府東大阪市、近鉄東花園駅から南へ10分ほどのところにある「パティスリー リエルグ」さん。
東京の焼菓子専門店「シュシュクル」で名を上げた下永恵美さんに「フレンチパウンドハウス」時代に、関西空港近くの「シャルルフレーデル」で門前有さんに、どちらも焼き切ることに秀でたシェフの下で、修業した小森理江さんのお店。
修業先のカラーである慈しみと荒々しいまでの大胆さの両方を兼ね備えた、希有のキャラクターがお菓子にも表れています。
こちらは、なんといっても充実の品揃え。初めて訪れた時は、そのあまりの凄さに、その賑やかさにびっくりしてぽかーんとしてしまいました。なかでも、焼きっぱなしのヴァリエーションといったら、もう。
また、タルトレットの新しい仲間が出来ましたね。


●『フランジパーヌレザン』   径6cm 高さ3.5cmほど。
画像
フィユタージュの器に、フランジパーヌにラムレーズン(ネグリタ使用)を数粒忍ばせたものを詰め、アーモンド風味のクランブルを載せて焼き上げています。
最後に、アプリコットのジャムを細く糸状に流しかけています。
チラッとピスタチオの緑。

フランジパーヌがふっくらとした優しい味わい。
クランブル(シナモン、ナツメグ入り)によって強調されたアーモンドの香りが豊かですね。

ラムレーズンが程のいいアクセント。それほど強く利かせていなくて、主役はあくまでフランジパーヌ。
ベース素材として脇に回りがちなものにスポットライトを当てたところに、このタルトレットの魅力があります。

画像これを支えているのが、完全に焼き切れたフィユタージュのバリバリッとした強烈な食感。
その荒々しさが、フランジパーヌの優しさをさらに引き立てているのです。
そうそう、ほんの少しのアプリットも甘みを補強していて、ちゃんと仕事しています。

なーんでもないような顔をしたタルトレットですが、このコントラストの妙、味のバランス、じつにいいですねぇ。



ここで、少し 3.14=π(パイ)の日R キャンペーンの裏話を。
申し訳ないなと思いつつ、パティスリーがとても忙しい時期にキャンペーン対象商品アップを依頼したのです。
小森さん、「ヴァレンタインデー後に」と返事することもできたのに快諾。依頼からほんの数日、おそらく試作する暇もなかっただろうと思います。
そんな中での即興的な仕上げだけに、逆に身に付いた個性が表面に浮き上がってきたのではないでしょうか。
食べやすくて印象的、親しみやすい味わいなのに、意表を突く生地の主張。素晴らしいですね。


最近、パティシエールという括りでは語りきれない実力とパワーを兼ね備えたシェフが増えてきました。
小森さんはまさにその代表格。新作がつねに期待を裏切らない水準をはるかに超えてくるところに充実ぶりが感じられます。ほぅ頼もしい!



●『フランジパーヌレザン』245円   (※内税)

●「パティスリー リエルグ」
  大阪府東大阪市玉串町東3-1-11  TEL072-973-7194  定休日/不定休  営業時間/10:00~19:00