グロス・オーフェン(9) 『栗のタルト』

大阪府箕面市、阪急箕面線・桜井駅から1分の「グロス・オーフェン」さん。久しぶりです。当ブログの常連ですが、未だに、なんだか知っていることを自慢してしまうお店ですね。
オーナーシェフの清水敬之さんは、語りたがらず、淡々とやるべきことをやっているだけという風情のご仁。その人柄も含めて、しみじみとした美味しさは、こちらの全商品に通じるキーワード。ご紹介するのが嬉しくなってしまいます。


●『栗のタルト』  径15.5cm 高さ4.5cm 500gほど。
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ほぅ、ツヤツヤと黄金色に輝く焼き色。
見た目だけはチーズケーキの古典“フィアドーネ”に似ていますが、中身はまったく違っています。

サックサクのパートシュクレに、スポンジ生地が納まっています。
そのスポンジの中にチョコスポンジが混ざっています。マーブルにして流し込んだのではなく、焼かれたスポンジを刻んだものを散らしたような具合。ドイツ菓子でよく見かける手法ですね。

その上に、焼き栗を刻んだものをぎっしり。
そして、カスタードとアーモンドプードル、バターを混ぜたものを流して覆い尽くし、もう一度焼いています。
カスタードにヴァニラビーンズが使われていて、香り高く漂っています。

画像さほど甘いケーキではないのですが、ヴァニラの香りが甘い雰囲気で、甘さの満足感もちゃんとあるし、栗の食感が残って存在感も楽しめます。

『栗のタルト』という名からすると、上の部分だけでも成り立つと思うのですが、その構造をスポンジ生地で模した(チョコ生地がコロコロと栗のように見える)ものが下支えするところに、このお菓子の妙諦がありそうです。


スポンジ、カスタード、焼き栗、ヴァニラ。
懐かしさを生み出す素材が勢揃い。
派手さはありませんが、二口目くらいにはもう“しみじみ”感にひたってしまいますねぇ。

子供の頃に、このタルトを食べた訳でもないし、他のドイツ菓子のお店でも見掛けたことがないのに、久しぶりの再会、という気持ちになってしまいました。
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なんと、500gもあって、ヴォリュームがあるので、大勢で分けるのもいいし、毎日一切れずつ食べるのもいいかな。
日常の良き友です。






ドイツ菓子の華美に走らない“日常の上質”の世界が繰り広げられているのは、清水さんが生活の質をよく心得ているから。
けっして美食を語らない人なのに、こちらのお菓子が素晴らしく美味しいのは、最低限備えておくべき美味しさの基準が高いところにあることを物語っています。日常が高度に磨き込まれていたら、あえて美食を追い求める必要はない、ということでしょう。
深い境地を、ことさら哲学的になることもなく、サラリと実践しているところが清水さんの魅力ですね。



●『栗のタルト』1550円  (※外税)

●「グロス・オーフェン」
  大阪府箕面市桜井1-1-31  TEL072-723-9151  定休日/水曜、木曜不定  営業時間/10:00~19:00