おやつラボソレイユ (1)『リーフパイ』

大阪市福島区、環状線の福島駅と野田駅の中間、高架下にある「おやつラボ ソレイユ」さん。知る人ぞ知る名人、小畑一徳シェフが気ままに(?)過ごしているお店です。
当然パティシエなのですが、それだけにとどまらない興味と才能の人(前回訪問した詳しい内容は「パイ日和おまけ」をご覧ください)。お菓子の隣の畑である料理に興味を持つのはありがちですが、なんと和食修業を果たし、お店で和食のランチを出しているのです。
売り切れ必至の予測のもと、前日にランチの予約を入れて臨んだところ、なんとなんと、わざわざ4時に起きてパイを折ってくれていたのです。
小畑シェフのパイ、食べたかったんだよなぁ、ヤッター! そして、ありがとうございます。


●『リーフパイ』  13.2×8.3cm 厚み0,9cmほど。
画像
うーむ…… リーフパイでノックアウトされるとはねぇ。

もちろん、シンプルだからこそ好きなお菓子だし、気に入っているものもいくつかはあります。
でも、ひゃぁ! と驚きを感じる種類の物ではありえないと思っていたのです。だって、パイ生地をカラメリゼするだけですからね。分かり切っているのです。

まだ袋詰めもされていない、天板に並んだ状態のリーフパイをひょいと、手渡してくれました。
外見通り、鉄板で圧えて浮きを抑えています。普通、生地が詰まってガッシリした食感になるはず。

ところが、なのです。口に入れて、ビックリ。
サクッと軽くサワサワ~。
儚く崩れるではないですか。これほど軽い生地はめったにあるものではありません。

さらに、ところが。
普通折りの3ツ折×4ツ折を2回繰り返し。デトランプは強力粉:薄力粉=3:1。しっかり捏ねて十分に延びる生地にして、向こうが透けて見えるくらいのところまで練り上げているとのこと。つまりグルテンはしっかり出ているのです。

なのに、バターを包んで延ばした時も、焼いた時も縮まないというのですから、不思議でしょうがありません。
シェフ曰く「折って、十分休ませて、パッと焼いて、そろそろかなと見て、ポンっと出来上がり」。
なーに、このカジュアル感満載の説明は…。
愚考するところ、透けて見えるということは、ブリオッシュ生地のようにデトランプにたっぷりバターを入れることで、グルテンをしっかりつないでおきながら、結合の間に油脂が入り込んで伸展力を増すと同時に収縮を抑えているのでしょうか。

画像だから、この生地はすごく浮きがよくて、鉄板を載せても完全には潰れてしまわず、わずかな空間を残して、まっすぐに延びた層が幾層も折り重なっているのが分かるのですね。
生地の1層1層がとても薄く、軽くはかなく、砕けてくれるのも納得です。

そして、ザラメ、甜菜糖とかすかにアニスのカラメリゼ。
「アニス、食べても分からないレベルなんだけど、大人ヴァージョンとして」と、毎度のことながら煙に巻く小畑シェフ。
むむむ、本当に分からなかったので、そのことはさておき。
カラメリゼの香りとバターの香りが渾然一体となった幸せな甘さ。生地のほのかな塩気とともに味わい深い世界を作り出しています。

軽~く繊細な食感とともに、サクサクッと枯れ葉を踏む音に耳を澄ませていると、ヒタヒタと感動が押し寄せてくるのでした。今更ながら、パイって奥が深いですね。

しっかし、葉っぱ一枚にやられるとは、くーっ! 



●『リーフパイ』150円  (※外税)

●「おやつラボソレイユ」
  大阪市福島区吉野1-4-12(JR高架下) TEL06-6446-2007  定休日/不定  営業時間/10:00~19:00  

※ブログ「パイ日和・おまけ」では、このお店のランチ&生ケーキを紹介しています。