ロトス洋菓子店(15) 『ピュイダムール』

京都、四条烏丸から南東に5、6分のところにある、当ブログではお馴染み「ロトス洋菓子店」さん。
小体な店ですが、生真面目に手を掛けて作られたケーキは、素材の良さも手伝って風味の良さは目を瞠るものがあります。
生地好きの木村良一シェフは、フィユタージュも大のお得意。さっそく新たなパイのレパートリーをご紹介しましょう。


●『ピュイダムール』   径8cm  高さ4.7cmほど。
画像
こちらの『ミルフィーユ』と同じ生地。
ザックリと力強く、サクサクッと崩れてくれる素晴らしい食感に仕上がっています。

ピュイダムール puits d'amour に使う時には、器の中が膨らみすぎて、クリームを入れる場所が無くなるのは困るので、浮かないように焼いています。
底の部分、とても薄いですね。パリパリ感が強く、心に残る鮮やかさです。

生クリーム入りのカスタードはぽってりとした口当たりで、卵のコクも甘みもたっぷり。シューのカスタードよりはややゆるく、水面がゆらゆらと揺れるよう。
中にバナナのカラメルソテー、ラム酒でフランベしたものがゴロンと入っています。
表面をカラメリゼ。カラメルの芳ばしくて甘やかな香りにくすぐられながら、口元へ運びます。

ザクッとろ~り ……… わぁお! 美味しいなぁ。一口ごとに、気持ちがとろけてゆきます。

た~っぷり甘~いお菓子。
その豊満な甘さを受け止めて、一歩も引かないパイ生地の力強さが目立ちます。ほぅ、バランスいいですね。
底の部分は薄く、側の部分は少し分厚めで食感に広がりがあること。
完全に焼き切っていて、歯触りに冴えがあること(即食べることがお約束のお菓子だというのに、帰宅が遅く、私イワモトのみ翌朝食べましたが、底の部分も湿気ていませんでしたね)。

パイとカスタードとバナナ(季節により異なる)、そしてカラメリゼ。
その一つ一つの満足感が高いおかげで、シンプルなお菓子なのに、愉しみがぎっしりと詰まっている印象を抱きました。食べ終わって充足の吐息を漏らすほど。ふぅ~っ。


白状致しますと、組み合わせ的に大好きなお菓子なのですが、どこか分かり切った味と思っていました。
ところが、ハッとさせられたのです。
ピュイダムールって美味しいなと感じることはあっても、今の今まで、ハッと視界が開けていくような甘美な高揚感を抱いたことはありませんでした。もちろん、どこか懐かしさもあって…。

こりゃ、ただごとではございませんぞ。木村シェフの『ピュイダムール』、じつに見事でございました。



●『ピュイダムール』520円  (※内税)

●「ロトス洋菓子店」
 京都市下京区烏丸通松原上ル因幡堂町699  TEL075-353-2050  定休日/火曜(水曜不定もあり)  営業時間/12:00~19:00

※ブログ「パイ日和・おまけ」では、このお店の『モンブラン』を紹介しています。