エルベラン(5)『木夢(もくむ)』

兵庫県西宮市、阪急電鉄神戸線・夙川駅から、北へ2分ほどのところにある「エルベラン」さん。
今年の9月には、創業50周年を迎えるという老舗。創業当時から、オリジナルの工夫、開発が目立つお店です。
今回ご紹介する『木夢』も、お父さんである柿田衛さんのオリジナル開発に、二代目の衛二さんが現代的なアレンジを加えたものです。

●『木夢』   長さ25cm強 径3.3~3.7cm 130gほど。
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おっ、細い丸太のような不思議な外見。
パイ菓子でこういうのは珍しいですね。

カードには“夢をそっとつつんで送ります”と書かれているように、木で夢を包んでいるというネーミングなのでしょう。
名前からすでに、オリジナリティが息づいていますね。

木の皮は、パイ生地(フィユタージュラピッド)。
薄く延ばした生地で、こちらの代表商品の一つである『マンデルマッセ(ホワイト)』の生地を包み込んでいます。
生地の中には、ダークチェリーを砂糖とレモンで炊き直したものが。


パイ生地なのに、ほとんど浮いていない。コルネなどだと自由に浮いて、ボコボコとした見掛けになってしまいます。
生地作りも強力粉を使わず、薄力粉100%。グルテンをつながず、生地が空気を抱き込んで膨らむのを予め防いでいるということでしょう。

でも、それだけでなく、焼く際にまだ何か一工夫があるらしいのです。筒状のパンを焼く時のような型に入れて焼くのでしょうか?  むむっ、謎です。

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ともかく、軽いサクサク感が軽快で、もうそれだけで魅力たっぷり。
そして、中から弾け出るアーモンドの香りの豊かなことと云ったら、もう! 

生地に含まれているホワイトチョコとの相性もいいし、オレンジやアプリコットの香りと味わいも品がいい。
ダークチェリーは真ん中にいて、主役のようだけどじつは引立て役。ほのかな酸味が全体に円やかなコクを与えてくれています。




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こちらのオリジナルのお菓子だというのに、ヨーロッパの伝統の歴史の波に洗われたお菓子のように、無駄のなさと落ち着き、そして風格すら感じられます。
いやはや、お見事。



こういう実力のある人気店が地元にあるのは、嬉しい限り。
お父さんの偉業もさることながら、代替わりした息子の衛二さんもお客さんの支持が得られて自信満々。自分の店として、お父さんのレシピにも、素材の変化に応じた手を加えリフレッシュ。
次の50年を見定めて、腕を揮っています。期待の上にも期待の持てるお店です。



●『木夢』900円

●「エルベラン」
 兵庫県西宮市相生町7-12  TEL0120-440-380  定休日/火曜、水曜不定休  営業時間/8:00~18:30

※ブログ「パイ日和・おまけ」では、このお店の生ケーキを紹介しています。