レーヴァンデ ユース(1)『栗とカシスのタルト』

神戸市灘区、阪急電鉄神戸線・王子公園駅を南側に下りて、東へ5分。水道筋商店街から山側へ2、3軒目にあるのが「レーヴァンデユース」さん。昨年、2013年5月5日にオープンした新店です。
オーナーシェフは、岸本哲男(1972年生まれ)さん。一人で作っておられます。
出身は、御影の銘店「セセシオン」さん。先日、ディレクターの吉谷さんに教えてもらいました。
岸本さんは、オープン1週間後に入社して以来12年間にわたって修業、もうベテランの域に達していると云っていいでしょう。

店名「レーヴァンデ ユース」、スウェーデン語だそうです。独語や仏語にしてしまうと、ウィーン菓子店フランス菓子店という固定観念に捉われてしまいやすく、馴染みのないスウェーンデン語を選ばれたのでしょう。
levande ljus(人生の、光)、生きた光という直接的な意味のほかに、“蝋燭”という意味もあるそうです。食卓に灯される蝋燭は家庭の幸せと平和の象徴。また、バースデーケーキの象徴でもあるとか。
自分が作るお菓子で、幸せな時間を過ごしてもらえれば、との願いが込められたネーミング。大らかで豊かな味わいのお菓子は、間違いなく幸せなひとときをもたらしてくれるでしょう。



●『栗とカシスのタルト』   辺8cm 高さ4cmほど。
画像
シュクレ生地の上にカシスのジャムを塗り、クレームダマンド、刻んだ渋皮栗の甘煮。
上からダクワーズ生地で覆っています。

栗とカシスの組み合わせはフランスでは定番で、最近は日本でも増えてきた取り合わせです。

でも、気を付けないとちょいと危険。
栗は繊細な味わいで、カシスの強い個性の前に霞んでしまったり、まとまりのない味わいになったりしがちなのです。

さて、どうでしょう。
ダクワーズから底のシュクレまでザクッと切って……、一口サクッ。
むふふふ~、これです、これっ! 

カシスの酸味は遠慮なく発揮させておいて、栗とダマンドをしっかり甘く仕上げることで、酸味をマイルドに受け止めているのです。
シュクレとダクワーズの生地は共に、甘さやや控えめにすることで、くどさは回避。うん、いいですねえ。

味わいはシンプルですが、食感はにぎやか。シュクレのサクサク、ダクワーズのサクッとした後のネッチリ、栗のホクホク、ダマンドのねっとり。
これは楽しい! お見事です。




水道筋商店街は、ここで商売に成功すれば、どこへ行っても成功すると言われているほどシビアなお客さんで有名なところ。価格競争も激しいようで、お客さんはすべての喫茶店のコーヒーの価格を記憶していて、10円でも安いところを選ぶと言われているそうです。
たしかに、帰り道、私たちも八百屋さんの前を通って何気なく見てみると、水菜58円、小松菜58円! かなりの安値だったのでつい購入してしまいました。
岸本さんも、過去のキャリアにこだわらず、分かりやすい味わいと優れた品質で、お客様たちに納得してもらおうと懸命です。

新店とはいえ、さすがにキャリア十分、「セセシオン」以前のお店でも長く“焼き”を任されていたようですし、すべてのパーツの火の通り加減が素晴らしい。これが、こちらのケーキの美味しさの元となっていますね。
この円熟した味わいは、長く付き合って行きたい種類のもの。ご活躍のほどを。



●『栗とカシスのタルト』340円  

●「洋菓子店 レーヴァンデ ユース」
 神戸市灘区水道筋5丁目2-10-102ハイマート王子公園  TEL078-882-5568   定休日/水曜、第1・第2火曜  営業時間/10:00~19:00

※ブログ「パイ日和・おまけ」では、このお店の生ケーキ&焼菓子を紹介しています。