シャルパンティエ マツイ(1)『泉州玉ねぎのリーフパイ』『フランボワーズのタルト』『焼りんごのタルト

大阪府岸和田市、JR阪和線・下松駅から西へ4分ほどのところにある「シャルパンティエ マツイ」さん。オープンは、2010年です。
昨年「なかたに亭」さん25周年の取材をした時、中谷シェフから教えていただいた、初期のお弟子さんのお店。岸和田方面へ向かう機会がなかなか作れないまま1年が経過してしまい、“これはいけない”と、意を決して行ってきました。
中谷シェフからは“ファミリー向けですが”と、エクスキューズが入っていました。
「パイ日和」を本格好きと思っての発言でしょうか。いえいえ、我々はフランス菓子に限らず、本腰を入れて作っているものであれば、ジャンルに捉われることなく“好きなものは好き”と書くように努めています。
お目にかかった当の松井シェフ本人も、“いずれワンステップ上がったら、本格フランス菓子を作りますよ、カフェもしたいし”と、まだまだ進化系の発言。頼もしいですね。


●『泉州玉ねぎのリーフパイ』 5.5×11cm 厚み0.8cmほど。
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岸和田駅前商店街で6月2日開催の“南大阪FESTA”に出品するために開発されたお菓子。
“南大阪料理人の会”の24人が参加という、かなりの規模のイベントのようです。

松井孝シェフが張り切るのも当然。
地元泉州特産の“水茄子”“玉ねぎ”を使って、という条件にしっかり立ち向かっています。
料理なら当然の素材ですが、お菓子ではちょっと難しい。
玉ねぎをオーブンで焼くと、濃厚な香りが立ち上り、ほかのお菓子に匂いが移ってしまうかも、という心配を押しての開発だったとのこと。

下の2種類のお菓子(『フィナンシェ』と『チョコサブレ』)も同時に開発し、1袋に2個ずつ詰め合わせて特別価格500円での提供。

サックリ焼けたパイにチーズと塩・コショーに、飴色に炒めた玉ねぎが載っています。
“ビール欲しいな”と言いたくなる、良くできたスナック。玉ねぎはけっこう強く主張していて、テーマ素材としての存在感たっぷり。

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『フィナンシェ』は、ほとんど総菜。
『チョコサブレ』は、逆にチョコレートに隠れた感じ。
それぞれのレベルで旨味を追求しています。
なかなか面白い試みですね。

※『泉州玉ねぎのフイナンシェ』 4.3×8.5cm 厚み1.5cm
※『泉州玉ねぎのチョコサブレ』 径5.8cm 厚み1.3cm
 





●『フランボワーズのタルト』 辺8.5cm 高さ4.3cmほど。
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松井シェフにお勧めを訊いたところ、言下に“タルトですね”との答え。
なるほど、9種類ものタルトが毎日焼かれていて、どれも好評だとのこと。

各タルト共通のタルト台。
パートシュクレはかなり分厚く8mmほど。中のクレームダマンドも含めてやや薄味で、ふっくら軟らかめの焼き上がり。
タルトの端のところはチョコレートを薄く塗ってあります。

生クリームを加えたカスタードを敷いて、フランボワーズを8個ないし9個分。
トッピング1粒1粒の空洞にもカスタードが詰まっています。

しかもうれしいことに、フレッシュのものを贅沢に、びっしり。
“フリュイルージュ”や“いちご”は数多く見掛けますが、“フランボワーズ”だけというのは、ありそうであまりないですね。

キュンと酸味が利いていて、しかも量が多いので、どっしりとした量感のあるタルト台がピッタリ。酸味を優しく包み込んで、安定感のある味わいを作り出しています。
人気があるのも当然ですね。




●『焼りんごのタルト』 辺8.5cm 高さmax.6cmほど。
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ほぼ同じタルト台にカスタード。
その上に、ど~っさりの“焼りんご”。

作り方が凝っていて、お手間入り。
シーズンにいいリンゴに出会うと大量に買って、まとめて仕込み、通年商品となるようにストックしているそうです。種類が毎回違うので、酸味はそのつど調整。
今回のものはブレンドされたもの。

グラニュー糖と合わせて5時間鍋で煮込み、水分を飛ばすために低温のオーブンで8時間焼いているとか。
えぇ、それって、ほとんど、タルトタタンじゃないですか。

手を掛けたおかげで、独特のねっとり、とろとろ~、の不思議な食感が生み出されています。長時間加熱し、濃い色合いになっている割には、ほとんど苦みは感じられず、やや甘酸っぱい。

トッピングはクルミとカボチャの種。とろとろ~の邪魔になることもなく、食感の刺激がいいリズムを刻みます。

濃厚な味わいではあるのですが、トロリと一瞬で消えることと、タルト台が優しい味わいなので、強さを味わいつつ、優しいお菓子として食べられますね。




どこか懐かしさを伴った、フレンチレトロの匂いのする自店のポスターが気を惹きます。可愛いデザイン。よくよく見れば、床材はボルドーのものを、飾りのランプはベルギー、壁のフランス風漆喰も独特の風合いが。小さな空間ですが、松井シェフの想いがぎっしり詰まっているのですね。
松井さんは(1967年生まれ)「なかたに亭」「カンテグランデ」それぞれ4年余り勤め、双方から強い刺激を受けたと語っています。
行く行くはカフェスペースのある店にし、ランチも出して、と「なかたに亭」のスタイルを目指しています。
しかし、現在のお菓子の味わいは、“かなり攻撃的なお菓子を作っていました”という「カンテグランデ」時代のスタイルが表に出ているようにも感じました。若い頃、「カンテ」さん好きだったんだよなぁ、私。
“ファミリー向け”を標榜するけれど(私たちがやや濃厚系を選びがちということもあるかもしれませんが)、ただ、やわやわ、甘々というものは作らない人のようです。
今後が楽しみですね。



●『泉州玉ねぎのリーフパイ』100円  『フランボワーズのタルト』380円  『焼りんごのタルト』380円

●「シャルパンティエ マツイ」
  大阪府岸和田市下松町1-15-3  TEL072-493-3379  定休日/火曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」には、このお店のケーキを紹介しています。