グランヴァニーユ (2) 『クィニーアマン』

京都、地下鉄烏丸御池駅から北東に5分ほどのところにあるパティスリー「グラン・ヴァニーユ」さん。久々の訪問です。
嬉しいことに、しばらくお休みだったマダムの恵理さんが復帰されていました。やはり、独特の人間味あふれる空気感が生まれて、心の底にどこか温かいものが伝わってくるのでした。
品揃えも、『ミルフィーユ』(売り切れ)が登場していたし、ご紹介する『クィニーアマン』も。食感の多様性が生まれていたのが嬉しい変化。ということで、心弾むウキウキご報告。


●『クィニーアマン』 径7.5cm 厚み3.5cmほど。
画像
たしか土日限定だったかな。
写真ではカラメリゼの部分が湿度で泣いてしまっています。雨期なのでご寛恕のほどを。

ブルターニュの郷土菓子で、海塩バターをたっぷり使ったデニッシュ生地に、さらにたっぷりの砂糖を折り込み、丸くたたみ込んで、セルクルに入れて焼き上げるもの、というのはもう有名な話ですね。

一時期、ブームのように取り上げられたお菓子で、あちこち置いているお店も少なくありません。
そのほとんどが、製法からも分かる通り、ベタ甘のカリッネチネチ、くどい、というのが一般的。溶け出した砂糖が分厚くカラメリゼされて、パリンパリンというのも、よく見掛けます。そういったところが本来の魅力です。

ところがこちらのものは、塩気が控えめで、砂糖の量もぐんと少なくなっています。

そのおかげでクローズアップされているのが、デニッシュ生地。ふっくらとした食感、醗酵の馥郁とした香り、バターの豊かな香りがじっくりと楽しめるのです。
そこへ、カラメルの甘い香りと優しい甘さが全体を満たしていきます。
ふうぅ、口元へ持って来た時の陶然とするカラメルの魅惑的な香りから、至福のひとときが始まります。


いやぁ、単純に甘いお菓子なんだけど、その、たおやかな甘さがいいですね。品下る、なんてことはなく上品さが際立っています。『クィニーアマン』は日本で広く知られたのが最近のことで、まだまだ珍しい存在でもありますが、作り方はシンプルで誰でも作れそう。
だけど、こういうシンプルなものこそ、素材の力と作り手の力量が如実に現れてしまう、じつは難度の高いお菓子でもあるのですね。
津田シェフは、一般的なルセットから、思いきった引き算をして、本当に素直に美味しいお菓子に到達。夢見るように淡く、清々しい他の生ケーキなどの味わいを裏切らない、「グランヴァニーユ」さんらしい特別の『クィニーアマン』を作り上げています。お見事です。



パイ・タルト系、折り込み生地などが増えるのは、嬉しいかぎり。こちらは一瞬で消えるような繊細さの極致をいくプチガトーが主体ですから、食感のあるものはイメージを壊しかねないところがありますからね。
でも、今回のお楽しみ、素晴らしい結果でした。こうなると、売り切れていた『ミルフィーユ』も俄然食べたくなってきました。



●『クィニーアマン』350円

●「グラン・ヴァニーユ」
 京都市中京区間之町通二条下ル鍵屋町486  TEL075-241-7726  定休日/水曜、第2&4火曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」には、このお店の生ケーキを紹介しています。