ロトス洋菓子店(7)『ミルフィーユ』『さくらんぼのタルト』『ルバーブのタルト』

京都、四条烏丸を少し下がったところにある「ロトス洋菓子店」さん。もうすっかりお馴染みになりましたね。
今回は、一番最初にご紹介した『ミルフィーユ』が、少しルセットが変わったということなので再登場となりました。


●『ミルフィーユ』 3.5×9cm 高さ5.8cmほど。
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1年余り前にご紹介した時(2011年4月)は、ぎっしり目の詰まった生地とボッテリ濃厚なクリームをかなり誉めています。大好きなスタイルです。

ただ、カラメリゼの香りが強くて、せっかくの生地やクリームの魅力をやや妨げている嫌いがあり、とてももったいないな、と書いていました。
ほかのお客さんからも少し重いという声を聞いていたそうです。
そんな背景があって、木村シェフは気にしていたようで、ルセットを替えたとのこと。

お客に迎合するという意味ではなく、お客に喜ばれてこそという原点に立ち返って、シェフの許容範囲のなかでのアレンジを加えたということ。

元々、アンヴェルセで、4つ折り、3つ折りを交互に繰り替えして6回折っていたものを5回へ。
以前のものが目が潰れてびっしりと詰まっていたのにたいし、今回のものは層と層の間にかすかに空間が空いて、少しだけ軽い食感。
生地の変更に応じて、カスタードも生リームを少し増やして軽くしたということです。


画像まぁ、なんということでしょう。
わずかな手直しが、見違えるような『ミルフィーユ』に変身させています。

カラメリゼも生地に火が通り易くなった分、軽く仕上げられるようになったとのこと。
生地のバターの芳醇な香りの魅力、カスタードの卵の風味を覆う事が無くなり、ストレートに生地の旨味、カスタードの滋味豊かさに気持ちが集中するようになりました。
さっくりサワサワとした楽しい食感もじっくり楽しめます。

うーん、前回の力強さが名残り惜しい気がします(シェフも強い生地が好みだそうです)が、今回の素直な美味しさの方が、食べ終わって疲れを感じない良さがあるようにも思います。
よりリラックスしたお菓子になったのではないでしょうか。素晴らしいアレンジ能力ですね。見極めの力、味、ともにお見事。

そうそう、生地をきっちり四角く切る几帳面な仕上がりもミルフィーユとしては珍しく、美しいプレゼンテーション。一際、輝いています。




●『さくらんぼのタルト』 辺7cm 高さ3.5cmほど。
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ブリゼ生地のタルトにクレームダマンド。
冷凍もののグリオットチェリーを一晩砂糖に漬け、アメリカンチェリーと合わせて載せ、上からクランブルをたっぷりまぶしています。
周囲に、ほんのすこしの粉糖。

グリオットがしっかりした酸味を、アメリカンのほうは味は弱いけれど、冷凍のグリオットが失った果肉感を主張しています。
グリオットがなかなかいい酸味を出しています。
ダマンドの豊かさと、ブリゼのほのかなコク、クランブルの優しい甘さが、グリオットの酸味を包み込んで美味しく食べられるタルトです。

木村シェフのオリジナルの工夫は、ブリゼの外周の下部分に、びっしりのザラメを貼付けたこと(底にも少し)。
ザラメが強い甘さとチャリチャリとした食感のアクセントを加えて、新しい愉しみをもたらしてくれています。面白い試みです。




●『ルバーブのタルト』 辺7cm 高さ2.7cmほど。
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昨年いただいた『ルバーブのタルト』に比べると、カジュアルな姿に変わっています。

同じくザラメ付きのブリゼの生地。
中にはリュバーブのジャムを少し塗って、赤いルバーブがたっぷり、リッチなアパレイユを流して焼いています。

口に運ぶと、ひゃあぁすっぺ~っ! 
相変わらず、鮮烈な酸味。

長野県富士見町のルバーブだとか。真っ赤な色が目立ちます。鮮やかです。

アパレイユは、生クリームも全卵も多めのプリン種。とてもよく出来たアパレイユで単独で食べて美味しいものです。ブリュレ生地に近い感じですかね。トローリ、ねっとりした食感といい、上質ですね。

ただ、強い酸味と合わせた時に、どちらかというと緩和作用ではなく、相乗効果を引き起こしていて、へぇと感じる人がいても不思議ではありません。

私たちは、ルバーブとアパレイユの味の濃度がバランスが取れているし、ザラメの甘さも、刺激もこちらがよりふさわしいように感じられました。
夏に食べたい、元気印のタルトです。




ブリゼ生地にザラメをトッピングするアイデア、いいなあ。どこかで誰かが同じようなことを考えているかもしれませんが、シェフが自力で発想したもの。オリジナリティがあるし、現に美味しい。
でも、すべてに使わなくてもいいだろうし(あはは~)、焼きっぱなしのタルト、とくにチェリーなどは優しさ穏やかさで食べさせてもいいものなので、ザラメなしでも良かったかなと思います。
まあ、深く考え、自分の世界を主張するのも若さの特権ですから、その頑張りも含めて楽しく、美味しくいただきました。



●『ミルフィーユ』390円  『さくらんぼのタルト』420円  『ルバーブのタルト』420円

●「ロトス洋菓子店」
 京都市下京区烏丸通松原上ル因幡堂町699  TEL075-353-2050  定休日/火曜・水曜(6月7月は火曜日もお休みに)