マルク・パージュ (1) 『りんごのタルト』『アーモンドとグリオットのタルト』

京都、地下鉄丸太町駅から西南に5分ほどのところに、また新しいパティスリーがオープンしました。「マルクパージュ Marque - page」さん。
本の栞、という意味。暮らしの合間に、栞を挟むように、こちらのお菓子でティータイム。はたまた、記念日などその時々の人生の栞として。洒落たネーミングですね。

2011年10月14日オープンとのことなので、まだほんの一ヵ月過ぎたところ。オーナーシェフは秋山知晴さん(1972年生まれ)。奥様と二人のお店です。すでに栃木県でお店を持っていた経験があり、オープンほやほやとはいえ、ご本人からはゆとりが感じられました。
経歴は、「リリエンベルク」、「タダシヤナギ」と錚々たる実力店の名前が出てきました。どちらも、どこかに優しさを秘めたお菓子を作る方たちですね。

とはいえ、関東の方が何故、京都へ? 
京都はずっと憧れの地で、町家で暮らしたいという願望が先にあったようです。だから、現にお店の2階にご夫婦でお住まいなのだとか。
いゃあ、本当に町家。何も知らなかったら、通り過ぎてしまうでしょう。暖簾の右端に小さく店名が出ているだけなのです。看板すらありません。まるで、見つけてくれるな、といわんばかり。
ようやく探しあて、ガラガラガラと引き戸を手で開け、いそいそと中へ入ると……あらまっ、玄関のたたきに小さなショーケース。その日は、9種類ほどの生ケーキに、3種の焼きっぱなしのタルト。ケーキはそれぞれ、和風の器に並べられています。
そういえば、設えている家具類も建物と同様に年季の入ったもので揃えられているようです。玄関先だけでも十分、風情のある雰囲気を楽しめます。さらに、お宅にお邪魔するように靴を脱いで上がると、奥にカフェがあり、お庭も見えるとのこと。

残念ながら、この日は先を急いでいて、手持ちの時間は10分ほどしかなかったので、テイクアウトのみ。ということで、まずは、第一印象を。


●『りんごのタルト』 辺7.5cm 高さ3.5cmほど。
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パートシュクレにクレームダマンド、皮の色で赤く染まった紅玉がどっしりと載っています。

土台となるアーモンドタルトの部分に安定感がありますね。
かなり甘いダマンドなのですが、少しも嫌みではありません。この甘さがあるからこそ、紅玉の酸味をストレートに強く発揮させて、ピタリとバランスが取れています。

う~ん、なんといっても、紅玉のとろとろ感。
ジャムのようなねっとり感、ペクチンの自然なとろみが利いています。ハチミツで炊いたような濃厚さも感じられて、満足感が高いです。




●『アーモンドとグリオットのタルト』 辺7.5cm 高さ2.7cmほど。
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こちらは生地が、ブリゼ。

たっぷりのダマンドのなかにコンフィとキルシュ漬け、2種のグリオットが埋め込まれています。
うかつな食べ方をしてしまったのか、2種の差はよく分かりませんでしたけれど。

これはもう、ふっくらと優しいダマンドの魅力に尽きると言えるでしょう。
このベースがあるから、ほんのちょいと刺激的な甘酸っぱいグリオットも自然な相性として受け止めるだけの包容力を生んでいます。

ブリゼのほのかな塩気が引き締めているし、サクサクとした軽い食感が、心地いいアクセント。
表面のアーモンドスライスがパリッしているところなども抜かりなくていいですね。




シェフの秋山さん、新店といっても72年生まれですから、もう中堅と呼ぶべき方のようです。仕事ぶりも応対もじつに落ち着いています。ご本人曰く“オープンの日も宣伝とかせずに、しれっとオープンしました”。のんびりとひっそりと、でありたいそうです。
(まだ、5つしかいただいておりませんが)ケーキも過度な刺激を求めず、優しい印象のもの。それでいて、さりげなく独自性を出すところもあり、付き合い甲斐のあるパティシエだと予感しています。
まだまだ小手調べといったところだと思います。時間が経つに連れて、実力をどんどん魅せつけてくるのではないでしょうか。

ところは京、季節は晩秋、時は夕暮れ。
お次は、趣きのあるカフェでゆったり寛ぐことにしましょう。



●『りんごのタルト』250円  『アーモンドとグリオットのタルト』250円

●「マルクパージュ Marque-page」
 京都市中京区釜座通竹屋町下ル亀屋町325  TEL075-252-5678  定休日/火曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/201111/article_7.html)には、このお店の生ケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。