アトリエ ラ パージュ ブランシュ (6)  『リンゴのタルト』

京都、市営地下鉄・松ヶ崎駅から北西に5分ほどのところにある「アトリエ ラ パージュ ブランシュ」さん。私たちの大好きなパティスリーの一つ。品数は多くありませんが、その一つひとつの完成度、思いの丈の詰まり具合が密な点では、傑出しているお店です。
今回、めずらしく焼きっぱなしの季節のタルトがあったので、やれ嬉れしやと飛びつくように指名して食べてきました。


●『リンゴのタルト』 辺6.8cm 高さ2.5cmほど。
画像
全体に白っぽい仕上がり。
お店も白で統一された清潔なイメージですが、このタルトもそのイメージを反映しているような姿ですね。

ブリゼにダマンド、紅玉のコンポート、そしてスライス。
ふむ、ごくごく普通のシンプルなタルト。
チエさんもこんなに気楽にタルトを焼くこともあるんだ、と違う側面を知ってちょっと嬉しい気分に。

一口食べて、その刹那“おやっ、違う!”と目が一瞬輝いていたはず。
というのも、ブリゼの生地がいつもようにザクッとした強さを含んだ軽やかな崩壊感ではなく、もっと繊細なサラサラと崩れる食感。これが、とても印象的(後で確認すると、意識的にいつもより高温で焼成だとか)。リンゴの酸味とコクを裏切らない繊細さなのです。

食感、香り、色、そのすべてが狙いとする味わいと調和しているのかどうか。気楽さのなかにも、繊細な気配り、細やかな神経が行き届いています。

紅玉もいい味わいですねぇ。品のいい酸味。
コンポートを白ワイン煮で作っているのですが、ワインが主役にならないように香りは完全に飛ばして、コクだけ深めるようにしているそうです。それが、少しも品下るところがありません。
“シナモンを使ってアップルパイみたいになるのが嫌だったので”と、ヴァニラを多用していることで、気品が生まれているのかもしれません。

ただし、この香りも表立って強く香るのではなく、あくまで紅玉の香りとして感じられるレベル。
私たちは、むしろ、食べ終った後、どこかホットな感じを受け、後口スッキリのイメージだったので、トップに振られていヴァニラシュガーの黒い点々を黒コショーと勘違いしたくらい。あら、不思議。“ヴァニラも焼いたら、スパイスっぽくなるかもね”、とチエさんと笑い話になってしまいましたが。あははっ。

ということで、カジュアルではあるけれど、やはり独自の視点で工夫を凝らしたオリジナルの世界、エレガントなタルト。何処にでもある『リンゴのタルト』とは一線を画す、チエさん流のお菓子になり得ているのです。




こちらは、たった1個のお菓子紹介にも関わらず、文章が湧き出て、ブログが成り立ってしまうものばかり。語りたくなるお菓子なのです。やはり、言葉が生まれてくる魅力を湛えているのでしょうね。
なお、紅玉がもうすぐ終わりますから、逃すと来年までお預けになってしまいますよぉ。うーん、みなさん間に合ってほしいな。



●「リンゴのタルト」400円

●「アトリエ ラ パージュ ブランシュ」
 京都市左京区下鴨北茶ノ木町28-6  TEL075-723-5329  定休日/不定休

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/201202/article_3.html)には、このお店のケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。