J.L.ムーラン (6) 『タルトポム ボンヌファム』

大阪府豊中市・阪急宝塚線曽根駅から南へ5分ほどのところにある「パティスリー J・L Moulin ジェイ・エル・ムーラン」。
赫々たる経歴を誇るジャン=リュック・ムーラン氏が曽根に自店をオープンして、2年半が経とうとしている。ベッドタウンという環境で地元客の要望を満たすために、ショートケーキ、ロールケーキ、プリンなど日本人のほうが得意にしているレパートリーにも注力しながら、フランス菓子の本道をいくレパートリーを少しずつ浸透させる努力を払ってきた。まだまだ本人の該博な知識と技術、センスのごくごく一部でしかないけれど、ようやく浸透しはじめたところ。
ムーランさんやっと安心の溜め息を一つ“ほっ”と漏らしつつ、いやまだこれからと、気持ちを引き締め直している今日この頃だ。
最近ショーケースを飾っているものから、一つ紹介しよう。(担当はクボタ)


●『タルトポム ボンヌファム』 辺14cm 高さ2cmほど。
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ボンヌファム bonne famme は直訳すれば“いい女”となるけれど、残念ながら美人を期待できない言葉。
“小母さん”ほどのニュアンスで、料理やお菓子に使われる場合“家庭の”とか“田舎風の”といった意味になる。

このタルトの場合も、タルトポムの上にシュトロイゼルが加えられている。このシュトロイゼルがドイツ起源のもので、フランスではアルザス地方でよく用いられる。それで、田舎風と名付けられる。

空焼きの薄いパートブリゼに、カラメルとバターでソテーしたリンゴのスライスにはヘーゼルナッツやクルミも加えられている。そこにクラフティに使うようなアパレイユを少量流し、シュトロイゼルで覆い、軽く砂糖を振って焼き上げ。

本来シンプルなお菓子だが、リンゴのソテー、煎り直したナッツの追加、アパレイユ、シュトロイゼル、そこにも少量のクルミ、仕上げの砂糖。意外と手が込んでいる。そして手を掛けられた分、数段、美味しくなっている。

手を掛けすぎたものは得てして、くどかったり、煩かったりするものだが、ムーランさんの手になるお菓子は華やぎはあるものの、落ち着きがあり、毎日食べたくなる穏やかな味だ。これぞ、ボンヌファムの魅力なのだろう。

こういう焼きっぱなしのお菓子が大好きと云うだけあって、見事な出来映え。姿もいいしね。
つくづく美味しい。




ムーランさん、能力を持て余している様子。どんどんフランス色を強めるチャンスが迫って来ているようですよ。日本人若手シェフの中には、ムーランさん以上にフランス色を強調している人が何人もいるくらいだからね。



●『タルトポム ボンヌファム』480円

●「パティスリー J・L Moulin ジェイ・エル・ムーラン」
 大阪府豊中市曽根南町1-5-6  TEL06-6867-0378  定休日/月曜、月1回月・火連休

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/201110/article_6.html)には、このお店の生ケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。