プルチーノ (7) 『パスティエーラ(復活祭のお菓子)』

神戸、阪急神戸線六甲駅から南東に5分ほど、山手幹線沿いにある「プルチーノ」さん。2006年オープンのイタリア菓子専門店。
当初からクリスマスの『パネトーネ』だけでなく、復活祭にもイタリア伝統のお菓子を作りつづけています。それが2度目のご紹介となる『パスティエーラ』。
生活習慣、宗教行事の異なる日本で、イタリアの習慣を持ち込むことはかなり難しいこと。
それにもめげず美味しいお菓子だからと、この季節復活祭前後1ヵ月くらいは毎年作りつづけてくれています。地道な活動、頑張ってくれていますね。
この復活祭というもの、いわゆる“移動祝日”というやつで、“春分後、最初の満月後の最初の日曜日”というややこしい定義があるのです。最大1ヵ月あまりズレるので覚えにくいのが難点。
今年はそう、本日4月24日が復活祭当日なのです。


●『パスティエーラ(ホール)』 径15cm 高さ2.8cmほど。
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2年前にもご紹介しているのですが、あまりに美味しいので、またしても登場。
今回はホール買い。それほど気に入ってしまったというわけです。ふふふっ。

では、六等分にカットして、いただきまーす。
前回の繰り返しになりますが……パートシュクレに、アパレイユはリコッタチーズに少しクリームチーズを加えたもの。
なかに、小麦の発芽したもの(春の生命の誕生の象徴)が入っているのがポイント。
イタリアの小麦粒はかすかな酸味が伴うのだとか。失われた酸味をクリームチーズの酸味で補っているのだそうです。
最初の頃はオートミールを使っていたそうですが、試行錯誤を経て、3年前からこの方法に落ち着いているといいます。
アパレイユにはレーズン、オレンジピール、シナモンなどがほのかに利いています。
このほのかさが品が良くて、慈しみ深く、どれだけ食べても飽きの来ない味わいなのですね。

それに木下美保シェフが作るこのお菓子は、とても香りが豊か。
シュクレやアパレイユの香りがとても高くて、箱を開けた途端にフッと鼻をくすぐられてしまいます。シュクレ生地にアーモンドプードルも入っているのでしょうか。この香りの高さは、食欲を刺激して余りがありますねぇ。

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タルト生地がほろほろと崩れ、やさしい口当たり。
すべてが仲良く寄り添っているような印象です。
時折、発芽小麦のプツプツした柔らかな食感も。ほかのお菓子で出会ったことのない食感。刺激があって楽しいというだけでなく、独得の美味しさだと言えるでしょう。

優しさが基調だと、時には物足りなさへ繋がることがありますが、いえ、これは満足度も高く、こころも充たされて行きます。
というのも、元々、フランスなどでよくあるお粥由来の古典的なお菓子の一つとも云えそうです。素朴な優しさにその原型を見る思いがします。
しかし、同時にわずかですがドライフルーツが入ることで華やいだ雰囲気も備えているのです。お粥菓子の頂点と言ってもいいかもしれませんね。
ふうぅ、やっぱり美味しくって和んでいきますねぇ、いいなぁ。


ちなみに「プルチーノ」さんでは、4月いっぱいくらいは作っているとのこと。
祭事菓子ではありますが、広く知ってもらうためにイタリアの習慣よりは長めに作ってくれています。嬉しいですね。
もう一つの、復活祭のお菓子『コロンバ』(パネトーネのようなお菓子、「パイ日和おまけ」2010年3月19日紹介済)も作っています。併せて、この機会にぜひどうぞ。
こんなに美味しいなら年中食べたくなります。が、やはり、1年に1回、この季節にこそ相応しいでしょう。毎年、春が巡って来るたびに『パスティエーラ』をいただいて、春の到来を歓び、新しい生命を実感する。素敵なことだと思いませんか。

あ~っと、あと1週間足らず。お菓子を求めて、急げ、六甲へ!



●『パスティエーラ』1200円(15cmホール) 320円(辺10.5cmピース)

●「プルチーノ」
 神戸市灘区森後町1-3-19  TEL078-856-0777  定休日/月曜・火曜