ラトリエ・ドゥ・マッサ(新店情報2011年3月18日オープン)(1)『ミルフィーユ』『タルトタタン…

神戸市、阪急神戸線六甲駅すぐのところにあった名店「ティータイム」さん。
すでに、料理・お菓子研究家の上田悦子さんから、息子さんの真嗣さんにシェフが交替していましたが、この3月18日(金)10:30から、新店をオープンさせます。場所は、2駅大阪寄りの、阪急神戸線・岡本駅から西へ10分ほどの山手幹線沿い。道路の反対側に、本山第二小学校があります。
店名も改め「ラトリエ ド マッサ」(L'atelier de Massa)と真嗣シェフの名前を取ったものになりました。これまで修業してきたお店のルセットのお菓子が続々登場しそうです。「ルコント」「ローランデュシェーヌ」「セバスチャンブイエ」「ラデュレ」といずれ劣らぬ名店揃いなので、真嗣シェフのオリジナルともども、期待が高まりますね。
(※本日16日、プレオープンがあり、招待されたのでご報告いたします)


●『ミルフィーユ』
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葉っぱ形に焼いたリーフパイでサンドした、ミルフィーユ。
フレッシュの苺と生クリーム入りのカスタードを挟んでいます。

ナイフを入れてまず、びっくり!
苦もなく、サクッとまっぷたつ。
これほど爽快なナイフの通りはなかなか経験できません。

“ミルフィーユにしたら生地が薄すぎるかな”とシェフが心配する薄さが逆に切りやすさにも繋がっていて、大正解。ちゃんと存在感はあるし、サクサクッとした食感と焼けた香りが存分楽しめます。
カスタードはほのかな味わいですが、酸味のあるたっぷりの苺に負けない力強いコクも併せ持っています。懐の深いクリームです。

バランス、いいですねぇ。酸味、甘み、芳ばしさ、サクサク感、ジューシーさ、トロリ感。
すべてが一体となって軽やかに魅力を振りまく感覚が、ありそうで、ない。じつにいいですね。
う~ん、甘美な幸せに包まれます。




●『タルトタタン』
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わっ可愛い、林檎そのものの姿。ヴァニラのさやが、林檎の柄。
つやつやと輝いています。表面に金箔粉がちらほら。

パイ生地の器に、カスタードを薄く敷いた上に、カラメリゼしたリンゴがたーっぷり。ねっとり感のある型くずれしにくいフジを使っているとのこと。

リンゴはカルヴァドスやブランデーでフランベされているようで、香りの奥行きがあります。
カラメリゼのかすかな苦味、リンゴのほのかな酸味、両方の甘みがジュワッ! と一気に迸り出てきます。
カスタードにもカルヴァドスが少し使われているようで、一体感が強いですね。
カスタードはほとんどリンゴのコクを深める役割に徹していると言っていいでしょう。

特筆すべきは、イキイキとしたパイ生地の魅力。
サクッ! と音が鳴るのです。
ジューシーなリンゴを切り分けて到達した底の部分で、サクッと乾いた音が。潤と乾、この対象の妙が印象的です。

リンゴの深い味わいといい、舌を包み込むような、まとわりつくようなねっとりした成熟した食感の魅力といい、力強さがありますね。
そして、それを軽く感じさせるパイのリズム感の良さといったら。なんて素敵なのでしょう。

まーるい林檎が私に微笑みかけてくれている、そんな嬉しさ。うん、これまたいいですねぇ。




●『ケーク デ シトロン』 9.5×5cm 高さ4~6.5cmほど。
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このケーキはパリのMOF保持のシェフ、ローラン・デュシェーヌ氏のルセット。
日本人シェフとして、初めて再現を許されたとか。

レモンのコンフィとブリゼ・ヌガー(アーモンドのカラメル和えを細かく砕いたもの、クラクランに近いのかな)の入った、アールグレイ風味のケーキ。

上田シェフ曰く“パンデピスと似ているかな”。
ふむ、ハチミツが入っているのかしらん、と錯覚させるほどに、ねっとり感に近いようなしっとり感のある生地は似てなくもありません。
スパイスの香りの代わりに、レモンとアールグレイのベルガモットの香り、二つの柑橘系の爽やかな、でも濃厚な香りに置き換えられています。
二つの香りが交錯しあって、とても面白い。重奏的に響いてくるのです。

力強い味わいと、優しい口当たり、かぎりない上品さ。
ふうっ、見事というしかない美味しさ。静かに、深く驚いてしまいます。素晴らしいですね。

これは、本日のプレオープンの招待客に配られたミニサイズ版。レギュラーサイズでも1本ペロリと食べてしまいそうな、誘惑の強いケーキです。
いやいや、ゆったりとした心で少しずつ味わいたい、特別な日のための特別なお菓子だと云えるでしょう。




画像従来の悦子さんの生ケーキ少し(定番の『モンシューシュー』や『バルーン』などなど)と大半の焼菓子も揃えて、従来のお客さんの要望も満たしつつ、20種類ほどの真嗣さんの生ケーキが楽しめるようになりました。
しっかりした印象を与える目覚ましいケーキです。とはいえ、後口はきれいなので、3、4個は平気です、私たち。
“フランスの味をそのまま出すと、甘過ぎるとか強すぎると言われるので”と帰国後2年の経験で、当たりの路線を把握しつつ、自分の個性の出し方を突き止めたようですね。
とても安定感のある、美しいケーキが揃っています。


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お店は白を基調として淡いオレンジを配した、明るいインテリア。
叔母様によるコーディネイトはロココ調とかで、お祖母様のお家にあった45年前のシャンデリアがあったり、カフェは猫足の椅子だったり、シックなイメージ。
だけど、ドアや窓が大きくて店内がよく見えるし、親しみ易さがあって、ついつい入りたくなります。





画像そうそう、ロゴなどのデザインはイギリス在住のデザイナーさんで、従兄弟の方。接客のメインは奥様だし、今日はお父様もいらっしゃって、もちろん、お母様も。にこやかに、ご家族揃い踏み。
高級感は漂っているのに、和やかな空気が流れていたのはそのせいでしょうか。
ふふっ、温かな家庭に招かれたような雰囲気。なんだか居心地もよくて、入り浸りになりそうなお店が出来ました。



あぁ、まだまだお知らせしたいことが山ほどあるのですが……、次回にまたゆっくりじっくりと。
まずは、新店のオープン、おめでとうございます! ますますのご活躍をお祈りいたします。



●『ミルフィーユ』450円  『タルトタタン』480円  『ケーク デ シトロン』(価格不祥)

●「ラトリエ・ドゥ・マッサ」
 神戸市東灘区岡本4-4-7  TEL078-413-5567  定休日/火曜
 ※御影阪神百貨店内の「ティータイム」は従来通り営業