ビゴの店 (7) 『パルミエ』『パルミエシナモン』

関西の洋菓子、パンの業界で世代を経てずっと愛され、尊敬されつづける名店というものがどうも育ちにくい環境にあるようです。味を崩したり、旧いものを守ってくれなかったり。企業化されて手作りの良さが消えたり…。
その点、ビゴさんのお店は拡大基調にあるなかで、しっかり原点の味が守られています。
嬉しいことに、値段もお手頃。良心の鑑を見るようで、食べた後、いつも尊敬の念が湧いてくるのです。
今回もそのような逸品のご紹介。


●『パルミエ』 7.5×11cm 厚み1cmほど。
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サックリ折り込まれたパイ生地の表面をカラメリゼ。ごくごく標準的な焼き上がりに見えます。

一口食べてみると、カラメリゼが意外に強く、
カリッカリッ!  
の歯触り。痛快です。

でも一旦噛み砕くと、あとは軽いサクサク感に変貌を遂げます。
カラメルの衣装が割れて、中からパイ生地が躍り出て来て、主役は自分だとばかりに自己主張をはじめるといったところ。

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香りも同様に、カラメルの甘い香りに魅了されていると、やがて生地の芳ばしさとバターの豊潤な奥行きの深い官能性に取り込まれていくといった変化が味わえます。

こんなシンプルなお菓子で、時間の推移の楽しみが味わえるなんて!! ふうっ。
お見事の一言に尽きますね。







●『パルミエシナモン』 3×4.5cm 厚み0.5cmほど。
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こちらは賞味期限があと2日に迫っていて、105円引きになっていました。
むふふ、ラッキー。

というのも、期限が迫っていても、なおかつカリッ、サクッ、ポリッと景気のいい食感を保っているからです。

強いて探せば、どこかに湿気の始まりのようなしっとり感のようなものが生まれているかな、とは感じられるのですが、ぜーんぜん問題にならない範囲。これほどに品質が保たれているのは完全に水分が飛ぶまでじっくりと焼き込まれているからなのでしょうね。

大きいパルミエにくらべてカラメリゼが薄く、甘味も控えめ。それに合わせたかのようにシナモンもほのかに香る程度。品のいい香らせ方です。
2種類食べ比べる意味がありますよぉ。



こういう定番菓子には、圧倒的な安心感と安定感がありますね。さすがビゴさん。
フランスの伝統菓子をいただいて、期待を裏切られたことが一度もありません。これがブランドのブランドたるゆえん。世間の流行り廃りを一顧だにしない気持ちの強さ。
一つひとつのお菓子やパンの美味しさへの愛情が深ければこそ、その美味しさを裏切ることができない。客の好みに右往左往しないとも云えるかも知れません。
頑固なほどの愛情。これこそが名店の条件だと痛感しました。



●『パルミエ』525円(4枚入り)  『パルミエシナモン』367円(正価472円 15枚70g入り)

●「ビゴの店」
 兵庫県西宮市松下町9-33  TEL0798-37-3328  定休日/月曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/200912/article_7.html)にも、このお店のパイ以外のお菓子を紹介しています。よかったら、どうぞ。