エルベラン (2) 『レモンパイ』『アップルパイ』『マロンパイ』『チーズパイ』『パルミエ』など

兵庫県西宮市、阪急神戸線夙川駅の北2分ほどのところにある「エルベラン」さん。
この越木岩筋は北へ1kmほどの間に、つい先日も新しいお店がオープンしてケーキ激戦区に拍車がかかってきました。
数えてみると裏道のお店まで入れて6軒。イカリスーパーもあるし、カフェはとりどりあるし、甘いものには事欠きません。

その先鞭をつけたのが、こちら。たしか今年で45年目(多分)。
初代シェフの柿田衛さんが今も健在で、毎日店頭でニコニコお客の相手。前を通ると、元気良くタッタカターッとお客さんの車の誘導している姿をよく見かけます。70歳代というのに、おっちゃん風でもあり、可愛いコックゥ~さん♪ という歌がぴったりのシェフ。あの笑顔に出会うと、つい買いたくなるでしょう。
それに、なんてったって安い! 今どき、ぎりぎり200円台のケーキが結構並んでいるし、あれぇっ、400円という数字は見なかったような。
もうひとつの特長が、創業当時からよその1/3という抑えた砂糖使い。素材の味の良さが美味しさ、という時代を先取りした考え方を貫いているのです。


●『レモンパイ』 辺9cm 高さ3.5cmほど。
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純白。表面にたっぷりの、生クリームの白さとシンプルさに惹かれます。

薄いパイ生地3層の間にレモンクリーム。マイルドですが、ちゃんと酸味とレモンの風味。

表面に分厚く生クリーム。よく泡を含んで軽い仕上がりです。
この生クリームにこだわりがあって、創業当初から蒜山高原のジャージー牛のものだとか。
高級素材を使って低価格路線、ファンができるはず。

もう何回か食べたことがあるのですが、今回ちょうど、出来立てだったこともあり、パイのサクサク感もあり、クリーム類の軽快さとの相性がとてもよく感じました。
見た目通りに爽やかなケーキ。これを食べると、初夏を実感します。

これだけ軽いと、ホールだってへっちゃら。
ホールの方が表面の滑らかな白が断然、美しいですし。素人がカットするとぐちゃぐちゃになるかもしれませんけどね。





●『アップルパイ』 辺10cm 高さ3.5cm強ほど。
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懐かし系のアップルパイ。
この季節、リンゴはフジ。酸味は薄く、もっぱらジューシーで柔らかな甘味を堪能するように出来ているといえるでしょう。パイ生地表面のナパージュもリンゴのシロップを使っているようです。

パイ生地のサクサク感については、上下にスポンジをかましているけれど、それでも追い付かないくらいリンゴがジューシーで、少ししんなり。

それでも、芳ばしいのです。
それがちょっと変わっていて、バターたっぷりの豊満な香りでもないし、焼き込んだ苦味を伴った芳ばしさでもなく……軽い味わいを追求しながら、香りは独得の芳しさを放っています。
ふむ、何故に?

スタッフに聞いてみると、“ある意外なもの”を細かな粉末にして、ほんの少し隠し味レベルで薄力粉に混ぜて、パイ生地に仕立てているとか。
冷凍パイの『すぐれ味』『ビー・ポレン』、焼菓子の『みつばちの贈り物』以外は、基本の生地は同一(一つひとつの商品に求められる食感やボリュームに合わせて、折りの回数や生地の厚みを1点1点の調整有り)で、例の秘密の素材で芳ばしさが加えられているのだそうです。

へぇ、こんな工夫、はじめて。
そういゃあ、そんな匂いがどこからともなく、粉末になる前の原型が頭の中でぐるぐる回りはじめてしまいましたぁ、あはは~っ。

一応、企業秘密とやらでここでは書けませんが、お店で尋ねれば気軽に教えてもらえます。興味のある方はお店へどうぞ。





●『マロンパイ』 径7cm 高さ3.3cm 50gほど。
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懐かしくなるような、クチナシで色づけしたような真っ黄色の栗を、やはり黄色いスポンジで覆い、さらにパイ生地で覆って焼いています。

パイ生地は薄く、ほんの少し食感と芳ばしさをプラスするための脇役に徹している感があります。
栗のほんのりした甘さを、スポンジが軽く補って優しい甘さの世界を作り出しています。

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圧倒的な強さではありませんが、なにか独得の懐かしいような存在感のあるパイです。
素直に栗の味が楽しめていいんじゃないでしょうか。


あぁ、この懐かしさの原因、スポンジの焼き目の部分の香り、これが生きているのですね。細かな芸当といえるでしょう。






●『チーズパイ』(写真左) 2.2×5.5cm 厚み0.5cmほど。
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パイと名乗っていますが、ほとんど層らしい部分は見当たりません。クッキーのような食感。
チーズは生地に練り込まれています。ひょっとすると、パイの2番生地に練り込むことで、層が無くなってしまっているのに、あくまでパイ生地ということなのでしょうか。
カリサクと軽く、チーズの風味も利いていて、いいおやつ、いいあてです。


●『アーモンドパイ』(写真右) 3.2×5.6cm 厚み0.5cm弱ほど。

薄~いパイ生地に薄いアーモンドスライスを載せ、カラメリゼ。
カリッサクサクッとした、歯応え。なにより、アーモンドとパイの一体感がいいですねぇ。





●『みつばちの贈り物』 3.5×6cm 厚み0.3cmほど。
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商品名の下に“みつばちの花粉のクッキー”と書かれています。
こちらの名物、冷凍パイ菓子『ビー・ポレン』の焼菓子版といったところ。

パイ生地に花粉が練り込まれているそうです。
ハチミツのような濃厚な香りではないのですが、独得の優しい甘やかな香りがほんわかと漂っています。
ほろほろ、さわさわと脆く崩れる柔らかな食感。優しい甘さ。

とても上品な洒落たお菓子です。ハイティーのいいお供ではないでしょうか。






●『パルミエ』 幅2.5×天地2.5cm 厚み0.5cm 一袋70gほど。
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なんとも小さいですねぇ。
たくさん集まった姿はまるで、おはじき。

面積でいうと普通サイズの1/10くらいかな。
それでも一人前にきっちり巻けています。

カリカリと小気味のいい食感、適度な甘味と強い風味で、袋に伸びる手が止まりません。
口の中にまだ残っていても、2個、3個とたてつづけに放り込みたくなる、ちょっと病みつきになる味わい。
これが、小ささの効用。
う~ん、いろんなアイデアがあるものだなぁ。




町のケーキ屋さんに徹したお店ですが、品質にこだわるプライドと、いかに美味しく食べさせるかについての尽きることのないアイデア、長く愛される理由がはっきりあります。その意気で末永く楽しませてくださいね。



●『レモンパイ』315円  『アップルパイ』315円  『マロンパイ』213円  『チーズパイ』@42円  『アーモンドパイ』@42円  『みつばちの贈り物』@42円  『パルミエ』263円(一袋)

●「エルベラン」
 兵庫県西宮市相生町7-12  TEL0798-74-4349  定休日/火曜・第2&第3水曜