パティスリー・リョウ (2) 『和栗のパイ』『苺のミルフィーユ』『龍華町のサクサクパイ(りんご)』

大阪府八尾市、JR大和路線久宝寺駅の北側すぐの好立地にお店を構える「パティスリー・リョウ」さん。
周辺は新しく開発された新興住宅街。お店の前は幼稚園の送迎バスの発着所でもあり、ファミリー層の支持を受けて、まだ開店2年目ですが、すでに軌道に乗っているようにお見受けしました。
八尾の「ナポレオン」、東大阪・小阪の「フランクス」と、地域で絶対的な支持を受けている地域No.1のお店で修業した人だけに、ファミリー層の需要をよく心得ているようです。

隅田龍介シェフと奥様、そしてスタッフの皆さんが和気あいあいとしたチームワークで、心のこもったケーキを作っています。お店を大きくすることよりも“実直でありたい”と、30代とは思えない言葉が返ってきました。
その生真面目なシェフが手掛けている“実直な”パイをご紹介しましょう。


●『和栗のパイ』 径7.5cm 高さ5.5cmほど。
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薄い折りパイ生地のカップに、栗とうぐいす豆の甘煮を入れ、カスタードを流して、一度焼きます。
その上に、カスタードにバタークリームとマロンクリームを加えたマロン・ムースリーヌをたっぷり。
表面をパイクラムで覆い、栗とうぐいす豆で飾り。
金粉で軽くお化粧。

モンブランの変形のようなイメージのケーキ。和栗の風味の良さが活かされています。

けっこうなボリュームなので、マロンの山をフォークで掘るように食べてみました。
まずは、栗の風味を主役にしたクリームがたーっぷり。どこまで行っても、わーい、クリームだぃ。
と熱中していると、パイの器へと突入していきます。
パイのなかのカスタードがいい香りです。なめらかで卵の風味がほどよく、ふくよかな甘味を備えていて、ホッとなごむような優しさ、さりげなさ。
そこに、栗とうぐいす豆。

大きなサイズにも関わらず、最後まで飽きずに食べ進められますね~。
それは、ムースリーヌに対してカスタード、パイクラムに対してパイカップ、栗に対してうぐいす豆と、それぞれに味の重層性が仕組まれていて、二段構えの味の構成になっているからでしょうか。食感の変化も考えられていますしね。

味わいの点でも、量、価格の点でもじつに満足度の高いパイです。





●『苺のミルフィーユ』 測りにくいので大まかに6×7cm 高さ6.5cmほど。
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醗酵バターを包んだパイ生地を小さく切ってから焼き上げてるので、切り口が塞がれ、湿気難くなっています。
そのパイ生地が2段。
それぞれの上に、カスタードとスライスした苺。たっぷりの生クリームを絞って苺をトッピング。
両サイドを半分に切ったパイ生地で覆っています。

カスタードは生クリームも入っているようですが、ぽってりとした食感を残したもの。
オレンジキュラソーの香り、バニラビーンズの香りでほんわかいい匂い。パイ生地の強い香り、苺の噎せ返るような香りと十分対抗しています。

それとたっぷりの生クリームの美味しいこと。
いつもながら、いい材料を使っていますね。やや泡を抑えることでなめらかさがより強調されているようです。
しっかりよく火の通った、ザクザクと力強いパイと好対照。苺も女峰かほのかを使うとのこと。酸味のある存在感のはっきりした苺。

パイ、カスタード、生クリーム、苺。
4つのパートがそれぞれに力を持ちつつ、全体がひとつによくまとまっています。
クリームの甘さがしっかりあるので、ファミリー向けとしての出自を証明している感じですが、その枠に収まり切らない強さも持っています。

なお、夏場にはトッピングがイチジクに変わるそうです。
キルシュでマリネしてイチジクの水っぽさを無くして、安定した味わいになるよう工夫しているそうですよ。それも楽しみ!





●『龍華町のサクサクパイ(りんご)』 5.5×23.5cm 高さ2.3cmほど。
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龍華町、というお店の住所が商品名。
地域に根ざしてやっていこうという決意表明のような名前、おまけにシェフの名前も折り込まれていて思い入れが強いのでしょうね。

バンドタイプのパイ生地にクレームダマンドを敷き、リンゴのスライスを並べ、サッと焼いて、アプリコットのナパージュ。

本当にシンプルな、焼きっぱなしタイプのパイ。
醗酵バターを使っているのでよく香ります。
リンゴのシャキシャキ感が心地よく、フレッシュな味わい。
ナパージュのたっぷりな甘さから、リンゴの爽やかさが飛び出してくるよう。
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長ーい、長ーいパイ。
一人でずんずん食べ進めてもいいし、お土産に持って行って、ナイフで人数分カットしてもいいし。
この価格で箱入り、というのも嬉しいですね。


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なお、このシリーズは4種類あります。
残りは洋梨、さつまいも、ベリー(フランボワーズ、ブルーベリーなど)がトッピングされています。ベリーだけが苺ジャムでナバージュされているそうです。
どれもシンプルでストレートな美味しさで迫ってきます。




気を衒わず、まっすぐにファミリー向けの分かり安い味に立ち向かっています。惜しまずいい材料を使い、充実した味わい。持って帰る時に、箱から、ケーキの豊かな香りがふわ~っと。なかなかないことです。
控えめながら所々に隅田シェフならではの軽い自己主張で、親しみのある味わいをブラッシュアップ。新しい時代の香りもアクセントになっているようです。



●『和栗のパイ』330円  『苺のミルフィーユ』340円  『龍華町のサクサクパイ(りんご)』690円

●「パティスリー リョウ」
 大阪府八尾市龍華町2-1-20  TEL072-999-4717  定休日/火曜