コムトゥジュール (7)  『パルミエ・ショコラ(カカオ&アールグレイ)』『焼きバナナのタルト』

京都市上京区、地下鉄北大路駅から北へ5分ほど、北山通にある「コム トゥジュール」さん。
焼菓子系がお得意で、ケーキ類もパイやタルトの種類が多いので目移りしてしょうがないお店。蜂谷シェフも“パイは一番大切な生地です”とパイ好きを自認していらっしゃいます。
季節ごとに品揃えも変わるし、新作も出るし、ということでなかなかパイ・タルトだけでも全品制覇とはいきません。今回も新顔がチラホラ。やっぱり食指が動いてしまいますね。


●『パルミエ・ショコラ (カカオ&アールグレイ)』 左右5.8~6.5cm 上下4.8~5.2cm 厚み0.7cmほど。
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こちらはバレンタインデー向けに用意された品。

パルミエは定番中の定番のパイですが、ハート型ということもあって、バレンタイン用に変身。カカオ、アールグレイ粉末を練り込んだ2種類が袋詰めされています。
片側半分に、それぞれミルクチョコとスイートチョコがコーティング。

どちらも一口食べて、その軽さに、ほほ~っ!
パルミエは、ほとんどのものが固くガッシリ焼いて、厚くカラメリゼしています。これはこれで好き。

ところが、なのです。
ふんわり、サクサクッと軽~くほどけてくれるのです。見掛けは素朴だけど、繊細な食感。
うん、なるほど、この軽さを出すために、パイ生地にストレスを加えていないから、生地の巻きがゆるく、形が不揃いなんですね。だってほら、サイズを測るとバラバラだったのです。

そうそう、カラメリゼもキビ糖かてんさい糖(?)をまばらに振りまいたレベル。甘さは少しプラスしてもカリカリの食感は不要。いいですねぇ。

アールグレイは香りがフッと香るけど、むしろバターがよく香っているかな。バター茶の趣き、といったところ。
カカオの方がより軽やか、香りも際立っていて……ふぅ、素晴らしい。蜂谷シェフもカカオがより好き、なのだとか。
コーティングのチョコもそれぞれ香りとよく合っているし、チョコの味わいでお菓子を食べた充足感も高まるし、気に入りました。

バレンタインデーだけと言わず、通年置いていて欲しい出来映え。
せめて、毎年、バレンタインデーの定番としてお目にかかりたいなぁ。じつに、お見事!




●『焼きバナナのタルト』 辺9.5cm 高さ3.5cmほど。
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これは未食の、定番焼きっぱなしのタルトの一品。

しっかり甘いパートシュクレ。風味の良さからいって、アーモンドプードル入りでしょうか。
そして湿気防止と味に深みを出すためのチョコレートが薄く塗られています。それから、クレームダマンドにカスタードがたっぷり入ったフランジパーヌ。
バナナにちらちらとレーズンが見え隠れしています。バナナはフランベをせずに、生のまま並べてただ焼いているだけとのこと。

“フルーツはそのままが一番美味しいです”と、パティシエらしくない発言。“素材より素材らしく”というのが、いまや一流シェフの目指すスローガン。
蜂谷シェフはそれに反して、ケーキをもっと日常的なものにしたいようです。どっしりと腰の座った生地を焼くことで、その上を飾るフルーツはすっぴんにしておくほうが、かえって素朴で素直な美味しさが伝わるということなのでしょう。

たしかにバナナの少し鄙びた味わいと、香り豊かなパートシュクレが素晴らしいマッチング。フランジパーヌは2つを無理なく結び付ける役割のようです。
シンプルですが、奥深い味わいを抽き出しています。



“何もしていません”といつも謙遜ばかりのシェフですが、生地の追求にかけては人後に落ちません。
今回のパイにしても、カカオ、アールグレイを練り込んだもの以外にも抹茶を練り込んだミルフィーユまでもがありました。
パイの可能性を積極的に開発しようとしているようです。新たな段階を目指す時期がやってきたのかもしれませんね。ますます楽しみ!



●『パルミエ・ショコラ』580円  『焼きバナナのタルト』350円

●「コム トゥジュール」
 京都市北区小山元町50-1  TEL075-495-5188  定休日/水曜