ビゴの店 (5) 『タルトノルマンディ(りんご)』『タルトノルマンディ(アプリコット)』

兵庫県芦屋市、阪急神戸線芦屋川駅から南東に10分ほど。国道2号線沿いにある「ビゴの店・本店」さん。
本店の芦屋市をはじめ、神戸市、西宮市、宝塚市、川西市、そして東京と、いまや13店舗。フランスの食文化を伝え続けてくれています。日々の貢献が認められて、2003年には“レジオン・ドヌール勲章”を仏大統領より受章。
パンもケーキも、チョコレートにいたるまで、すべて生活に根ざした日常的なもの安全なものという姿勢を貫いているのが、とても有り難いお店です。価格の身近さも嬉しいですが、しっかり美味しいのに、構えずに食べられる気楽さが、よりゆったりとした満足感を与えてくれているようです。
本場の味を伝えるという使命感をお持ちなのに、すこしも威張ったところがないのも素敵。その反映なのか、スタッフの皆さんもリラックスしたゆとりと親切心があって、買い物が楽しくなるお店です。


●『タルトノルマンディ(りんご)』 径15cm 厚み1.5cm(パイ生地のふち)ほど。
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堅く引き締まった折りパイに、薄くリンゴのコンボートを潰したものを塗り、リンゴの薄切りを敷き詰めて焼き上げたもの。

薄焼きのタルトフィンと呼ばれるものと同じと考えていいでしょう。
ザクッと力強い焼き上がり。でも薄いので、軽快さも合わせ持っています。

リンゴは酸味がややある、というレベルで甘みのほうが勝っています。
優しい甘さ、ほのかなリンゴの香りとともにザクザクと食べ進める軽快さ、シンプルな美味しさが気安さを作り出しています。

このサイズで350円という、つい財布の紐が緩む値段の嬉しさもあって、満足度が3倍ほど跳ね上がりますね。
こういう日常的なお菓子では、あえて素材のこだわりなどと言わないのが正解。当たり前に美味しいという安心感こそが大切なのではないでしょうか。




●『タルトノルマンディ(アプリコット)』 径15cm 厚み1.5cm(パイ生地のふち)ほど。
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こちらは、同じく堅く引き締まった折りパイに、クレームダマンドを敷いて、アプリコットの半切りを並べて焼いたもの。
ダマンドの卵の比率が高いのか、一見クラフティのように見えます。

ピザのように手に持って、ガブリッ。
うん、うまいっ!

アプリコットの強い酸味と、クラフティ風ダマンドの豊潤な甘さと柔らかさ、卵のコクが相性抜群。パイ生地はこちらもザックリ堅く、食べすすめる際の強いリズム感が楽しいですねぇ。

どちらも、気軽に、おしゃべりしながらの食卓にお似合い。
朝食や昼食にも、おやつタイムにも、夜食にも。そばにいてくれると、ちょっと嬉しい。日常の豊かさを実感できます。



素材に最高のものを求める努力は大変なものがありますが、予算を考えないのであれば、むしろ簡単。日常的な食べ物という、価格に制限のある世界で、品質と安全性を追求しつづけることは大変な営業努力が必要。かえって難しいことのように思います。
「ビゴの店」さんのように長年築いた信用と人脈があってこそ、業者の方からいいものの照会がやってくるのでしょう。
それでも、材料の値上げブームのなかで、商品価格を低く抑えつづけることの難しさの一端をお聞きしました。なかには6倍にも跳ね上がったようなものもあったとか。産地の変更や、セミドライで仕入れていたものをドライに切り替えて、内部でセミドライの状態に漬け込む手間を加えるなど、企業努力がつづけられているそうです。
財布の中身がいつの間にか軽くなってしまっている昨今、本当に頭の下がるお話。

そうそう、今回いろいろなお店を廻っていると、ビゴさんの人間味溢れる愉快なエピソードを披露してくれるお店が何軒かありました。面白いのは、“あの親爺~っ”と言いつつ、みなさんこぞって笑顔(詳しい内容はいずれまた、ね)。ビゴさんのあれこれの話をするのが楽しくってしょうがない、といった雰囲気。ふふふっ、愛されているのですね。
こういう懐の深いお店は、いまの時代、得難いお店なのです。



●『タルトノルマンディ(りんご)』350円  『タルトノルマンディ(アプリコット)』350円

●「ビゴの店・本店」 芦屋市業平町6-16  電話0797-22-5137  定休日/月曜
●「ビゴの店・ビゴコウベ店」 神戸市中央区御幸通8-1-6 神戸国際会館B2 電話078-230-3367  定休日/第3水曜