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zoom RSS ボンボン『コルネパイ』『ダマンドタルト』+川口屋『和菓子4種』

<<   作成日時 : 2008/08/10 22:04   >>

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名古屋市、地下鉄桜通線高岳(たかおか)駅から北へ3分ほどのところにある「洋菓子・喫茶 ボンボン」さん。
名古屋では知らない人のいない、というほど名の通った老舗。昭和24年創業です。
お店に一歩入ると、いえいえ、外観・看板から、すでにそこだけ昭和レトロ。テイクアウトコーナーも喫茶室もケーキもロゴまわりも、なにもかも懐かしい雰囲気がほんわかと漂っていて、タイムスリップした気分。
そして次から次へとお客さんがひっきりなしに詰めかけています。40台分ほどもある大きな駐車場が満車状態になるという人気ぶり。それもそのはず、ケーキの値段はほぼ230円! いや、ほんとに230円なのですよ、う〜ん、参った! 少し小振りで、懐かしいレパートリーばかりですが、よく練れた味わい。35種にものぼる豊富な品揃え。好きにならずはいられないお店です。
夏場でパイが少なかったのですが、なんとかパイとタルトを選んで味わってみました。


●『コルネパイ』 4×14cm 高さ4cm弱ほど。
画像
ふんわりサクッとしたパイ生地のなかに、淡いカスタード。
両方の口の部分にしっかり立てた生クリームを奇麗に絞り、全体に粉糖で仕上げています。

いやぁ、なんとも軽やかなお菓子であることよ。
まったく主張のないようなふりをしつつ、この軽やかさの主張は大したものです。けして最先端のケーキではありません。昔懐かしいケーキ。
その優しい甘さと、軽いパイ。いい組合わせです。
カスタードのほのぼのとした味わい。しっかりした生クリームがややバタークリームっぼく存在感があります。

そして、なんといっても、色白のパイ。
いま、こんな軽やかなパイを焼く若手のパティシエはいないでしょう。どうしてもパイというとガッシリ強く押さえて焼き、焦げ味を強調した強いものを目指してしまいます。
でも、ときにはこんなに軽いパイもいいではないですか。主張しない存在感。達観した大人の技ですねぇ。




●『ダマンドタルト』 径6.5cm 高さ3.3cmほど。
画像
薄いパートシュクレの台にアーモンドダイスの入ったクレームダマンドを流して焼き上げ、表面にアプリコットのナパージュ。
チョコレートクリームの絞り出しをトッピング。

ほとんどプチフールの焼菓子レベルのささやかなお菓子。
のはずなんですが、杏とチョコレートの力で豊かで味わい深いお菓子になりえています。
普通のアプリコットジャムをのばしたナパージュだし、チョコレートは昔のチョココルネパンのチョコレートを思わせる懐かしさ。普通に考えると、たいして美味しくなりようがないはずなのに。不思議い〜っ。

サクッと軽いシュクレ、淡いダマンド。
このベースの持ち味が品がよくて、愛すべき味わい。ダマンドのアーモンドダイスの食感が単調さを防いでいます。ほんのり酸っぱくて、軽いチョコの風味。
過剰なもののない世界。日常のほんのちょっとした、楽しみ。よく出来ています。


ボンボンさん。隣で「天津楼」という中華料理のお店も経営している(こちらも安くてお腹いっぱい、お得感のある店のようです)という、なんともざっくばらんなお店です。でもキャッチフレーズは“フランスの味 高級洋菓子”。そういう時代があったんだなぁ。
テイクアウトコーナーは、子供のバースディケーキを注文をしている若いお母さんや、おやつ用に買いにきた中年男性やカップル。喫茶室に入ってみると、おじいちゃんやおばあちゃんから若い人、はたまた近所の勤め人や自営業らしき人、男性一人客からファミリーまで……ふぅ、種々雑多な人たち。私たちがいた時間帯は年配の男性客の占める割合が高く、そうそう昔の喫茶店ってこんな感じだったよね〜と黄昏れてしまいました。
50席ほどもあるでしょうか、大きなスペースのいたるところでそれぞれにくつろいでいる風景はとても自然で、なごやかな空気に満ちています。普段、煙草の臭いは一切うけつけないのですが、意外なことにあまり気になりませんでした。もう心が完全にゆるゆるとおおらかになってしまっているのでしょうね、はははっ、いい気なものです。第一、神経を尖らせて食べたいケーキではないのです。そんなことをすると、逆に美味しくなくなりそう、そんなケーキです。

でも、雰囲気だけではありません。肝心なのは、その味。懐かしい姿ですが、素材は新鮮なものを使っておられるのがわかります。どれも、まっとうな味わい。高回転が好循環を生み出す典型のようなお店といえるでしょう。
そうそう、お店の人たち(若い女性から年配の方まで幅広い)も終始にこやかで優しい応対、だったこと。これまた、うまく回転しているゆとり、みたいなものを感じました。いろいろな意味で、味のあるいいお店でした。


*   *   *   *   *

さて、この「ボンボン」さん。情報がゼロだったわけではありませんが、ちょっと首を傾げていたお店。
ここへ行く決心をしたのは、錦にある和菓子の名店「川口屋」さんでお菓子を買っていて、気さくで朗らかな奥さんとあれよあれよと話が弾み、“名古屋の洋菓子といえばボンボンさん”ということで教えてもらったことがきっかけ。
急遽、予定を変更して行ってみたのです。おかげで愉しい名古屋の一日が過ごせました。ありがとうございます。

この川口屋さん、およそ320年の歴史を誇るお店のよう。その説明がまた結構興味深いのです。
お菓子がこれまた品良く、さらりとした美味しさ。奢り高ぶった余計なものがなにもない、清々しいお菓子。季題を静かにお菓子の世界で表してみせた、洒脱な茶の湯の世界が広がります。

●『朝顔』 長さ5cmほど。画像
もち粉をクレープのように焼いた皮で粒餡を包んだもの。





●『投網』 径5cmほど。画像
醤油風味の皮で漉し餡を包んだもの。表面の焼き目が投網。





●『緑蔭』 長径4cmほど。画像
漉し餡を薄く白餡で包み、さらに葛で包んだもの。葛のなかには緑に色づけされた道明寺。
涼しさの演出に餡の色を白餡で包んで隠したところがミソ。




●『蛇籠』 径4.5cmほど。画像
粒餡を同じく白餡で包み、ういろう生地で包んだもの。表面の押し目が蛇籠模様。
一箇所黒っぽく見えるのは大徳寺納豆。






これまで、おもに和菓子はアルバム「tea break」でしかご紹介してきませんでしたが、今回「ボンボン」さん紹介主の栄誉を称えて、ここでご紹介することにしました。とっても美味しかったですしね。
また機会があれば、立ち寄って、情緒ある生菓子、季節ごとに味わってみたいなぁと思いました。それに女将さんと「ボンボン」の話で花を咲かせたいですしね。ふふふ〜!



●『コルネパイ』230円  『ダマンドタルト』230円
●「洋菓子・喫茶ボンボン」
 名古屋市東区泉2-1-22  TEL052-931-0442  定休日/無休

●『朝顔』『投網』『蛇籠』各290円  『緑陰』300円
●「趣味の和菓子 川口屋」
  名古屋市中区錦3-13-12   TEL052-971-3389  定休日/日祝・第4土

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)にも、このお店のパイ以外のケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。

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