ビストロ・ヴェー (1) 『自家製ベーコンと野菜のキッシュ』

大阪・新世界で18年目を迎えた老舗ビストロ。地域の人に愛される一方、フランスからの交換留学生が定期的にアルバイトにやってくるなど、フランス庶民食文化の息吹も伝えてくれる貴重な存在。
自家製のソーセージやベーコンも好評で、持ち帰り客も多く人気だ。


●『自家製ベーコンと野菜のキッシュ』
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薄く伸ばされたパイのブリゼ生地は軽くサクサクと軽快。
アパレイユはグリュイエールチーズ、生クリーム、牛乳、卵。
具は自家製のベーコンと玉ねぎ、いんげん豆。

アパレイユはチーズのコクがありながら塩気を控えた優しい味わい。玉ねぎの甘みもよく生かされている。
出色なのは、自家製ベーコン。燻香が淡く品が良く、塩気も控えめなので豚本来の旨みが味わえる。具として少量使われていても、その良さがちゃんと発揮されている。
持ち帰りを意識せず、お店でサービスすることを前提にした作りなので、デリカテッセンなどでよく口にするキッシュに比べて、かなり柔らかな仕上げ。ぎりぎり形を保っているレベル。その優しい口当たりも魅力の一つ。
そして、パイ生地の端を高く立ち上げてくれているので、サクサク感も味わうことができ、キッシュに求める味わいが十二分に発揮されていと言えるだろう。細部への目配りに阪本雅巳シェフの経験の豊かさが感じられる。

日常の料理ではあるけれど、惣菜の地位に置くのはもったいないと思うほどに、繊細さが追求され、完成された皿だ。
これだけの味わい、しかもボリュームもたっぷりでいながら720円。昼も夜もOKのオードブルとは嬉しい限り。最初から高揚した気分で、メインに進めるというものだ。気軽にパイに慣れ親しむいい機会になるだろう。


長い経験のなかで磨かれたレシピ。その安定感こそが魅力の店。気取らず気張らず、本来あるべき食の楽しみを素直に味わえる良心が息づいている。ふたたび活気を取り戻しつつある新世界の担い手の一人だ。



●『自家製ベーコンと野菜のキッシュ+ピクルス添え』720円 ※オードブルの一品、昼夜ともOK

●「ビストロ・ヴェー」
 大阪市浪速区恵比須東1-22-6  TEL06-6643-2234  定休日/木曜