グロス・オーフェン(2)『マザリン』『マンデルトーチヘン』『すぐりのタルト』『チュリンガーブロート…

阪急箕面線の一つ目の駅、桜井はなんとも不思議な町です。ここだけ時計が止まっているような…。街道沿いには蔵を備えた瓦屋根の立派で古いお屋敷がいくつも立ち並んでいます。もっと先へ行くと豪壮なお屋敷があり、細い河原に直接、階段で降りる門を持っていたりします。そのまま、史跡にしたいような。そんな床しい町の駅前に「グロスオーフェン」はあります。
作っているお菓子も焼菓子を中心としたドイツ菓子。これも旧いイメージで受け取られるのでしょうか。でも、素朴だからこそ、素材の本当の美味しさを伝えてくれる生き生きとした味わい、魅力です。
じつはこちらのお店は、『豚の耳』(=パルミエ)で紹介済み(2005年10月7日)。
その当時は“パイ日和”をスタートさせて間がなかったので、折パイのみの紹介にこだわっていた時期でした。いまは少し緩めてタルトもOK、デニッシュも時には…というスタイル変更しました。
前回食べたものも含めて、記憶の糸をたぐり寄せながら、小さなタルトを5つご紹介することにしましょう。


●『マザリン』 径6.5cm 高さ3cm 50gほど。
画像こちらのお店を象徴するような素朴なお菓子。
タルト生地にクレームダマンドの卵の黄身の代わりに卵白を使った生地が流されています。トップにアーモンドが乗り、ポンヌフのように十字の模様が描かれています。
商品カードに書かれているように、お菓子の原型で武骨な姿。

黄身を使っていないので、味はさっぱり。その分、アーモンドと、なかにほんの少し忍ばせているスグリ(?)のジャムの印象が引き立ちます。
メレンゲのサクサク感も心地いいものです。




●『マンデルトーチヘン』 径6cm 高さ2.5cm 60gほど。
画像こちらは一転、濃厚系。
タルト台にクレームダマンドにカスタードを加えたフランジパーヌ。
その上はフロランタンのような…アーモンドスライスを蜂蜜と生クリームのカラメルで固めたもの。
さらにドレンチェリーとオレンジピール。
カラメル、アーモンドにオレンジピールのアクセントが素晴らしいハーモニー。

わずかに手が加わったことで、すでに素朴から洗練の域に踏み込もうとしているというところでしょうか。秀逸です。





●『松の実のタルト』 径7cmほど。
画像タルト生地にクレームダマンド。その底に少しスグリ(?)のジャム。トップにたっぷり松の実を散らして、アプリコットのナパージュ。
タルトは柔らかく焼いてあり、松の実の食感とマッチしています。松の実とアプリコットの酸味も違和感なく寄り添っていますね。

松の実のツンとした香りを楽しむタルト。松の実が好物なだけになんとも嬉しい出来の良さです。





●『すぐりのタルト』 (測り忘れ)
画像タルト生地にクレームダマンド。甘酸っぱいスグリがしっかり主張しています。
薄く焼いた柔らかなタルトは出しゃばらず、そっと全体を支える感じです。
ダマンドもおとなしめで、スグリの鋭い酸味の角を抑えるように回って、脇役の仕事をきっちり果たしています。

こういう辺鄙な場所で、これだけ鋭いスグリの味わいに出会える嬉しさは格別。





●『チュリンガーブロート』 7×4cm 高さ(測り忘れ)。
画像タルト生地にアーモンドとレーズンを砂糖、牛乳、バター、塩、シナモンで煮た、カラメル状のものを流して固めたお菓子。表面は細く切ったタルト生地で編み目が描かれます。
ドイツ、チューリンク地方の伝統菓子として名高いものです。
タルト生地を二段にして間にジャムを挟んだり、ヘーゼルナッツが主役になったり、いろいろなレシピがありそうです。

こちらのもは少しシンプルにしたバージョン。それでも濃厚な味わいです。






オーナーの清水さんは職人気質で知られ、素材にもこだわりがあり、いいものを徹底して使っているとのこと。お年寄りの多い土地柄、鋭くなりがちな味を少し丸めはするものの、自分の作りたいお菓子だけを作っているようです。
ショーケースからは“どうだ”という気合いに満ちた声(でも、その声は静かな響き)が聞こえてきそうなケーキが並んでいます。その水準の高さに、再びこの不思議な町に魅了されるのです。



●『マザリン』189円  『マンデルトーチヘン』189円  『松の実のタルト』263円  『すぐりのタルト』263円  『チュリンガーブロート』179円

●「グロス・オーフェン」
 箕面市半町2-12-45  0727-23-9151  定休日/水曜

※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)にも、こちらのパイ以外のケーキを紹介しています。よかったら、どうぞ。