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zoom RSS ヴァントーズ (2) 『山菜とリー・ド・ヴォーのタルト』

<<   作成日時 : 2007/03/02 22:07   >>

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大阪・靭公園に面した好立地の「ヴァントーズ」。
最近、この界隈には多くの飲食店、各国料理の店が進出しているけれど、ここが元祖のようなもの。かつて、公園の南側にハーレクインという地中海料理の店があったりしたけれど長続きしなかった。リストランテ・イタロは公園から少し距離があり、公園の店というイメージが弱かった。
さて、ヴァントーズとはフランスの革命暦の6月、風月のこと。革命暦は西暦1792年の9月22日を1月1日として始まったから、本当はヴァントーズといえば、2月の末から3月の中旬までにあたる。
でも、公園に面した窓を開け放った時に入ってくる、6月の風の快適さに惹かれて「ヴァントーズ」と名付けたと、オーナーの豊田さんは言っている。その気持ちの良さはまさにそのとおり。
今回は本来のヴァントーズの間に、爽やかな料理を試食してきた。


●『山菜とリー・ド・ヴォーのタルト』
画像タルト台の上にチーズがたっぷり入ったアパレイユ。その上にシャンピニオンの生クリーム和え。これがベースになっていて、日替りの山菜とリー・ド・ヴォーのソテーがトッピングされる。
お手軽な料理には違いないけれど、吉田シェフ一人で切り盛りするキッチンのことを考えれば、去年のようなパイ包み焼では混み合った時間帯には出せなくなってしまう。このスタイルが正解だろう。
この日は山菜に、タラの芽とグリーンアスパラ、とんぶり、穂紫蘇の花を一つずつばらしたものが選ばれていた。リー・ド・ヴォーのクニュッとした感触と淡白な味わい、タラの芽のほろ苦さとソテーした香ばしさ。ブールブランが利いている。
とんぶりがプチッとはじける面白さは想像がついたけれど、穂紫蘇の香りがユニークで意外なほど、チーズの香り、バターの香りとマッチしている。
紫蘇というと、どうしても和のイメージにしばられがちだけど、捉われることなく挑戦することで新鮮なルセットが開かれることになる。ほんの(紫蘇の花一輪の)小さなことではあっても、あるのとないのでは大きく印象が違っていただろうと思う。

画像ベースとなるシャンピニオンまでのタルト部分は汎用性が高いので、これから定番化して、さまざまな実験の場となっていくのではいか、との予感がする。失敗しても大過のないベースを見つけたことで、毎日大胆に実験ができる。まだ20代の吉田シェフが大きく成長してくれれば、これほど嬉しいことはない。
「パイの日」キャンペーンをいい機会と捉えて成長してくれるシェフがいる。楽しみがまた一つ増えたように思う。



古いチンバリーのエスプレッソマシーンが姿を消していた。聞いてみると、故障して代理店でも直せないというので、直せる人が現れるまで大切に倉庫にしまっているという。あのザンクの渋い風合いは店に欠かせないものだった。これはイタロの平井シェフから遺贈されたもの。その想い出も含めて、気に入ったものは使えなくなっても大切にせずにはいられない人だ。
「ヴァントーズ」は、このような豊田さんの人柄を反映した店だ。……大切にされたという深いところでの満足感。黙って心を通わせる男らしさもある。ゆったりと過ごして豊かな気持ちで家路につくことができる。美味しいだけでなく、この快適さが嬉しい。



●『山菜とリー・ド・ヴォーのタルト』1680円(前菜の一品)

●「ヴァントーズ」
 大阪市西区京町堀1-13-17ハイツオオクラ靭公園  TEL06-6448-3999 定休日/日曜

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