ブロードハースト (4) 『アップルミルフィーユ』『ピーカンパイ』
もうすっかりおなじみの大阪・玉造の「ブロードハースト」さん。
お店の前の並木も今は冬枯れですが、ショーケースは相変わらず充実していて、元気が出てきます。そんななかから、パイ2品をご紹介しましょう。
●『アップルミルフィーユ』 11×4cm 高さ5cmほど。
なんとも驚き! 常温ケースに置かれているミルフィーユの登場です。
他店で多く見られるミルフィーユはカスタードクリームに生クリームが加えられているのがほとんど。劣化しやすいため、冷蔵ケースに入れられています。冷蔵ケースは湿度保持されていますし、冷やしたパイは外に出したとたん外の空気の湿気を集めてしまいがち。
シェフのピーター・ジョンさんは、パイのサクサク感にとてもこだわり、冷蔵ケースではなく常温保存にしようと、アイデアをひねりました。
カスタードにはバターを加えムースリーヌタイプに。これで常温に保つことが可能になります。フィリングのリンゴは、紅玉をブラウンシュガーでバターソテーしたもの。ほのかで分からない程度ですがラム酒が少し。ムースリーヌでサンドすればパイはいつまでもサクサクのまま。
そして、オリジナリティが発揮されたのは、なんといってもパイの焼き方。かつてミルフィーユは表面をアイシングすることが普通でした。そこからヒントを得て、グラスロワイヤルをトッピング。パイ生地にグラスロワイヤルを流しカカオの矢羽根模様(これがまた懐かしいっ)を入れてオーブンへ。グラスロワイヤルが焦げやすいので、途中で取り出し、上層部分だけを薄く削いで、残りの部分はしっかり火を通し焼き上げ、完全に湿度を飛ばします。
午後4時頃入手し、食べたのは7時前になっていましたが、さすがのサクサク感。グラスロワイヤルのカシャシャクッとした食感も手伝って痛快! ムースリーヌの濃厚でありながらなめらか感、ソテーされたリンゴの酸味もいいアクセント。すっきりと迷いのない味、凄いです。
で、あぁ、いいものを食べたという満ち足りた気持ちにさせられます。
●『ピーカンパイ』 11×4cm 85gほど。
こちらはピータージョンさんのイギリス時代、米国人の先輩パティシェから教わったレシピ。国際会議のパーティの席に出されたデザートの1つ。サッチャーさんが大のお気に入りだったとか。キッシンジャー、モスクワ市長なども列席したパーティでの一コマだそうです。
塩気を控えたショートクラスト生地に薄くプリンのような卵生地、その上にチョコレート生地、そしてよく炒られたピーカンナッツがぎっしり。ナッツの香りも素晴らしいのですが、チョコレートの風味がとても官能的。
これは、ヴェネズエラ産のカカオ70%というエルレイ社のクーベルチュールを使用。テンパリンクが難しく用途も狭いことから、大阪では2軒しか使ってるところがないとのこと。でも、単一品種100%で、香り・風味が個性的でなんとも素晴らしく、これじゃなきゃと惚れ込んでいるそうです。たしかに、この豊かで特徴的なカカオの香りなくして、このパイなし、とのこだわりが感じられます。
一口ごとにナッツとチョコの香りのマリアージュに陶~然。豊かな香りに満たされると、無邪気に幸せな気分になります。
なお、キャラメルソース、ホイップクリームを添えると、また一味変わって楽しめる、と教えてくれました。
毎回、ピーター・ジョンさんの香りや味、食感へのこだわり、そこから来る素材の厳しい選択、素材の鮮度、商品の鮮度に対する眼差しの誠実さが伝わってきます。
どれも優しい味わいなのに、シャープな印象が残るのは、仕事への姿勢が反映してのことなのでしょう。
●『アップルミルフィーユ』380円 『ピーカンパイ』370円
●「ブロードハースト」
大阪市中央区玉造2-25-12 TEL06-6762-0009 定休日/月曜
※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)、はじめました。よかったら、どうぞ。
お店の前の並木も今は冬枯れですが、ショーケースは相変わらず充実していて、元気が出てきます。そんななかから、パイ2品をご紹介しましょう。
●『アップルミルフィーユ』 11×4cm 高さ5cmほど。なんとも驚き! 常温ケースに置かれているミルフィーユの登場です。
他店で多く見られるミルフィーユはカスタードクリームに生クリームが加えられているのがほとんど。劣化しやすいため、冷蔵ケースに入れられています。冷蔵ケースは湿度保持されていますし、冷やしたパイは外に出したとたん外の空気の湿気を集めてしまいがち。
シェフのピーター・ジョンさんは、パイのサクサク感にとてもこだわり、冷蔵ケースではなく常温保存にしようと、アイデアをひねりました。
カスタードにはバターを加えムースリーヌタイプに。これで常温に保つことが可能になります。フィリングのリンゴは、紅玉をブラウンシュガーでバターソテーしたもの。ほのかで分からない程度ですがラム酒が少し。ムースリーヌでサンドすればパイはいつまでもサクサクのまま。
そして、オリジナリティが発揮されたのは、なんといってもパイの焼き方。かつてミルフィーユは表面をアイシングすることが普通でした。そこからヒントを得て、グラスロワイヤルをトッピング。パイ生地にグラスロワイヤルを流しカカオの矢羽根模様(これがまた懐かしいっ)を入れてオーブンへ。グラスロワイヤルが焦げやすいので、途中で取り出し、上層部分だけを薄く削いで、残りの部分はしっかり火を通し焼き上げ、完全に湿度を飛ばします。
午後4時頃入手し、食べたのは7時前になっていましたが、さすがのサクサク感。グラスロワイヤルのカシャシャクッとした食感も手伝って痛快! ムースリーヌの濃厚でありながらなめらか感、ソテーされたリンゴの酸味もいいアクセント。すっきりと迷いのない味、凄いです。
で、あぁ、いいものを食べたという満ち足りた気持ちにさせられます。
●『ピーカンパイ』 11×4cm 85gほど。こちらはピータージョンさんのイギリス時代、米国人の先輩パティシェから教わったレシピ。国際会議のパーティの席に出されたデザートの1つ。サッチャーさんが大のお気に入りだったとか。キッシンジャー、モスクワ市長なども列席したパーティでの一コマだそうです。
塩気を控えたショートクラスト生地に薄くプリンのような卵生地、その上にチョコレート生地、そしてよく炒られたピーカンナッツがぎっしり。ナッツの香りも素晴らしいのですが、チョコレートの風味がとても官能的。
これは、ヴェネズエラ産のカカオ70%というエルレイ社のクーベルチュールを使用。テンパリンクが難しく用途も狭いことから、大阪では2軒しか使ってるところがないとのこと。でも、単一品種100%で、香り・風味が個性的でなんとも素晴らしく、これじゃなきゃと惚れ込んでいるそうです。たしかに、この豊かで特徴的なカカオの香りなくして、このパイなし、とのこだわりが感じられます。
一口ごとにナッツとチョコの香りのマリアージュに陶~然。豊かな香りに満たされると、無邪気に幸せな気分になります。
なお、キャラメルソース、ホイップクリームを添えると、また一味変わって楽しめる、と教えてくれました。
毎回、ピーター・ジョンさんの香りや味、食感へのこだわり、そこから来る素材の厳しい選択、素材の鮮度、商品の鮮度に対する眼差しの誠実さが伝わってきます。
どれも優しい味わいなのに、シャープな印象が残るのは、仕事への姿勢が反映してのことなのでしょう。
●『アップルミルフィーユ』380円 『ピーカンパイ』370円
●「ブロードハースト」
大阪市中央区玉造2-25-12 TEL06-6762-0009 定休日/月曜
※ブログ「パイ日和・おまけ」(http://pie-omake.at.webry.info/)、はじめました。よかったら、どうぞ。